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スケッチ
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私は芝生の上に立派に育った一本の柳の木に腰掛けて、ヒツジのスケッチをしている。一つ一つの羊毛を鉛筆でなぞらえていく。時たま、遠い南風が牧場にそよいで芝生が海のようになびく。空は綺麗に晴れている。柳の葉からの木漏れ日が私の右手を照らす。そしてスケッチブックから程よい影が伸びる。春はもうすぐだろうか。ゆっくりとスケッチブックから手を離すと、地面に手を置いた。温かく少し湿っている。草花には最適な状態だ。私はこのスケッチをヒツジに見せようとしたが、ヒツジにその興味はなかったようである。私はスケッチブックをたたむと、納屋から苗を持ってくる。アカシアの苗である。今からどれくらいすれば、育つだろうか。
そしたらヒツジに目一杯の香りを嗅がせてやろう。私はスコップを使って、ほどよい深さを掘ると、それを植えた。春はもうすぐである。柳の方を見ると、ヒツジは柳を舐めていた。今しがた植えたアカシアの苗は南風で揺れていた。
冬ももうすぐでさよならだ。
「さようなら」
私は微笑んで冬に向かって言った。その時、ヒツジは私の方を見た。
「違うよ、メシじゃないよ。」
そういっても、まあ、わからない。私が声を出すのはそれくらいだったから。でも、不思議だったろうな。
聞き慣れない言葉だったから。
「わかったよ、今持ってくるから」
春まで、あと、もう少し。 あと 少しだけ。
そしたらヒツジに目一杯の香りを嗅がせてやろう。私はスコップを使って、ほどよい深さを掘ると、それを植えた。春はもうすぐである。柳の方を見ると、ヒツジは柳を舐めていた。今しがた植えたアカシアの苗は南風で揺れていた。
冬ももうすぐでさよならだ。
「さようなら」
私は微笑んで冬に向かって言った。その時、ヒツジは私の方を見た。
「違うよ、メシじゃないよ。」
そういっても、まあ、わからない。私が声を出すのはそれくらいだったから。でも、不思議だったろうな。
聞き慣れない言葉だったから。
「わかったよ、今持ってくるから」
春まで、あと、もう少し。 あと 少しだけ。
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