魔法少女セイントリリィ ~愛と正義のヒロインが敵幹部に洗脳調教され快楽に堕ちるまで~

エルトリア

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第1話 魔法少女

 ――日本、関東の某県に位置するとある街。

 何の変哲もない、という枕詞をつけても誰も文句を言わないであろう街の駅前広場の中心で、この日も光と闇の戦いが繰り広げられていた。

「フレアプロミネンス!」
「マリンストリーム!」

 高らかに発せられた二つの声。まだ幼さを残したその声は、まるで女児向けのアニメ作品の技名のようだった。

 そうまるで、魔法少女の魔法のような。
 だがその表現は正確ではない。のような、という表現は蛇足なのだ。
 なぜならそれは、正真正銘、魔法少女の魔法なのだから。

 生み出された赤の光は太陽のような灼熱の炎を、青の光は大嵐のような水の奔流となって、怪物の身体を貫いた。

「ぐああああああああっ!」

 聖なる魔力を帯びた二つの光条に貫かれた異形の巨体は、断末魔の声を残して崩れ去ってゆく。

 魔法という存在が、フィクションの中にしか存在しなかったのはもう過去の話だ。

 魔法界と呼ばれる異世界とこの世界を繋ぐ門が開くようになってからというもの、様々な人や組織がこの世界へとやってくるようになった。

 魔法が存在しないにもかかわらず、科学技術だけでここまで発展したこの世界を、あまたの世界の悪の組織が放っておくはずもなく、この世界はたちどころに侵略者たちに狙われた。

 いかなる科学技術も、異世界の魔法の前には為す術もなく、最新鋭の戦車や爆撃機すらも、侵略者の暴力の前に破壊されていった。

 世界は侵略を受け入れるしかないかと思われていたそのとき、救い手は現れた。

 魔法界の秩序を司る賢者たちが、この世界の人間に魔法の力を授けたのだ。

 この世界の住人の大半は魔法を扱う適性を持たない。そんな中で、穢れのない心を持った十代の少女たちだけが、聖なる力を用いて魔法を使うことができた。

 そんな少女たちを、世界は魔法少女と呼んだ。

 今、怪物を浄化させたのも、その一人――いや、二人。

 一方は、ピンクを基調とした魔法少女。燃えさかる炎のようなツインテールを風に揺らし、あどけない顔立ちには見ている方まで元気が湧いてくる、太陽のような笑みを浮かべる彼女はリリィフレア。

 一方は、水色を基調とした魔法少女。艶やかな長髪に、華奢な肢体。大人びた美貌が氷の彫像のような彼女はリリィマリン。

「くぅっ……またしてもあたしの邪魔をっ!」

 バチィンッ、と。怪人の背後に控えていた女性が、その手に持った鞭を路面に打ちつける。

 配下の怪人を失って、エキゾチックな美貌を悔しげに歪める女性はネビュラ。

 モデルのようにすらりと伸びた肢体を黒革のボンデージで包み込んだその姿は、男女を問わず惹きつけ堕落させる、食虫花のような妖しげな色香を帯びている。

 それもそのはず、彼女こそがこの世界のあらゆる人間を淫欲に溺れさせることを目論む悪の組織、ネビリムの使徒の一員にして、この街の侵略を一手に引き受ける幹部である。

「さて、どうするのネビュラ? 頼みの怪物は今日も倒しちゃったけど?」
「そろそろ観念してお縄についてくれませんか?」
「くっ……魔法界の賢者どもに力をもらったからって調子に乗ってっ……」

 真珠のように白い歯を、今にも砕けそうなほどに軋ませてから、ネビュラは手に持った鞭を振るった。目的はセイントリリィの二人ではない。

 パシィンッ、と鞭が虚空を打ったかと思うと、空間の歪みが生まれ、ネビュラはそこに飛び込んだ。

「覚えてなさいっ! 次こそっ! 次こそは、アンタたちを色狂いの淫乱ビッチに変えてやるんだからっ!」

 品のない捨て台詞を残して、空間に生まれた歪みは消えた。
 歪みを利用した移動をするために、何度戦っても本拠地が一向に見つからず、対処法的な戦い方しかできずにいる。

 二人は口惜しさを感じながらも、改めて周囲に目を向ける。
 怪物の登場によって避難していた人々や、遠巻きに見ていた人々が駅前に戻ってきていた。

「ネビュラおばさんもいなくなったことだし、いつものやろっか」
「はい」

 フレアの言葉に、マリンも頷く。二人は同時に息を吸い込むと、街の人々に向けて口を開く。今日もまた、自分たちは勝ったのだと、心配する必要はないのだと、勝ちどきを上げるように。

「私たち、セイントリリィがいる限り!」
「ネビリムの使徒の好きにはさせません!」

 声高な宣誓にあわせて、二人はポーズを決める。

 リリィフレアとリリィマリン、二人揃って魔法少女セイントリリィ。
 それがこの街を守る、可愛らしくも力強い絶対の守護者の名前だった。



 ひとけのない場所まで転移すると、二人の身体を包んでいたコスチュームが光の粒子になってほどけてゆく。

 光が完全に消えたときには、そこにいたのは二人の魔法少女ではなく、セーラー服姿の、ごく普通の少女たちだった。

 変身を解除したところで変わるのは衣装だけ。顔立ちや体型は何も変わらない。しかしそれだけで、誰も二人がセイントリリィであったことを認識できなくなる。

 魔法少女のコスチュームには人の認識をズラす魔法がかけられている。
 この世界の秩序は彼女たち魔法少女たちによって守られている。

 異世界からやってくる様々な組織に対抗することができるのは、同じく異世界由来の力を持つ魔法少女たちだけなのだ。

 しかし同時に、彼女たちがまだ年端もゆかぬ少女たちであることも事実。

 魔法少女の正体が悪の組織に知られれば、魔法少女たちは常に自分や、周囲の人々にいつ危害が及ぶかわからない。それでは気の休まる暇もない。

 そのような理由から、魔法少女たちにはそれぞれ魔法名が与えられ、正体を探ることは法律でも禁止されている。

「お疲れ様っ、まりな」
「ほむらちゃんもお疲れ様です」

 太陽のような笑みを浮かべるフレアこと神崎ほむらの言葉に、マリンこと雨宮まりなも微笑みを浮かべて頷きを返す。

「まりな、どうかしたの?」

 親友の柔らかな微笑みの奥にわずかな懸念があることを、ほむらが敏感に察して問いかける。
 まりなは一瞬、自らの懸念を話すか隠すか迷うような素振りをみせたものの、すぐに首を横に振った。

「ほむらちゃんには敵いませんね」
「何か心配事があるんだったら、私でよければ聞くけど」

 ほむらのまっすぐな眼差しに貫かれて、まりなは嬉しそうに頬を綻ばせながら頷く。

「本当に、大したことではないんです。ただ、少し不安になって」
「不安って、なにが?」
「なんだかとっても嫌な予感がするんです。胸騒ぎがするというか……ネビリムの使徒だって馬鹿じゃないでしょう。こんなに毎回あっさりと負け続けていたら、いつか何かしてくるんじゃないかと思って……」
「そうかな? アイツらって前からあんな感じだよ?」

 ほむらの言葉は根拠がないようでいて、経験に裏打ちされたものでもある。
 魔法少女になってまだ一年足らずのまりなと違って、ほむらは既に魔法少女を三年も続け、いくつもの悪の組織を蹴散らしてきたベテランなのだ。

 そのほむらに気にならないと言われてしまうと、途端に自分の感じた不安が気のせいのようにも思えてくる。

「正面から戦ってるうちは大丈夫だと思います。でも――」
「なにか卑怯な手を使ってくるかもしれないってこと?」
「はい……」
「大丈夫だよ」

 あまりにもあっけらかんとしたほむらの言葉に、まりなは目を丸くする。

「まりなと一緒なら、どんな卑怯な罠だろうと乗り越えていけるもん」

 そう言って、ほむらはまりなの手を取った。
 重ねられたてのひらから、温かい熱が伝わってきて、不安に冷えていた心が温められてゆく。

「ほむらちゃん……」
「だから心配いらないよ。セイントリリィは無敵の魔法少女なんだから」
「そう、ですね……わたしも、ほむらちゃんと一緒なら、誰にも負ける気はしません」

 重ねられた手を、まりなもまた握り返す。
 自分の温もりが、ほむらに伝われば良いと思いながら。

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