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第11話 失踪したほむら
「ほむらちゃん……」
ほむらが失踪してから、二週間が経過していた。
その間、まりなは暇さえあれば街中を駆け回り、ほむらのことを捜し回っていた。
まりなたちが魔法少女であることは、友人らはもちろんのこと、家族にさえも秘密にされている。それゆえに家族相手であっても、魔法少女だから誘拐されたのかもしれないと教えることはできないことが、まりなの胸に罪悪感として残っていた。
「お願いです……無事でいてください……」
元気いっぱいなほむらの顔を思い浮かべ、まりなは拳を握り締める。
この日、まりなが訪れていたのは、駅前からやや離れた場所にあるホテル街だった。
まりなのような年齢の子供が来るような場所ではなく、制服姿は至極浮いている。
もちろん、まりなは遊びにきたわけではないし、こんな状況でなくとも遊びにきたこともない。そんなまりながホテル街を訪れたのには当然理由があった。
ネビリムの使徒たちが信奉する淫堕神ネビリムは淫欲を司る邪神。もし彼らの本拠地があるならば、その可能性が高いのは、街の中で最も欲望の集まるホテル街だろうという推理である。
ほむらの家族や警察は、ほむらの行方を捜索している。しかしホテル街などほとんど調べているはずがない。まりなと同様、ほむらもまたこのような場所に来るような性格ではないのだから。
ほむらが魔法少女であることを知っているのは、相棒であるまりなだけ。誰にもその事実を話すことができない以上、ホテル街を捜してほしいなどと頼んだところで根拠に乏しい上、ほむらの名誉を穢すことにもなりかねない。
「わたしが……ほむらちゃんを見つけます……」
ときに警察に補導されそうになり、魔法少女の力を使って逃げることを繰り返しながら、街中の至るところを捜し回っていると、まりなの視界の端に、見覚えのあるツインテールが映り込んだ。
「ほむらちゃん……!」
ビルの角を曲がり、路地裏へと入っていったその髪は、まりなが毎日のように見つめ、頭の中に思い描き、夢にまで見た親友のものに間違いなかった。
確信を持って、まりなは棒のようになった足に鞭打ち、ビルの角まで走る。
「ほむらちゃんっ!」
息を切らせながら覗き込んだ路地裏には、人の姿はなかった。
あるのは打ちっぱなしのコンクリートと、室外機にゴミ箱の群れ。そして片付けられずにいる吐瀉物のあとくらいだった。
「……」
ほむらが失踪してからの二週間、見つけたと思って近づいて、別人だったことは何度もあった。そのたびに今度こそは間違いないと思って、裏切られ続けてきた。
「また、見間違いだったんでしょうか……」
落胆の息を吐きながら、それでももしかしたらという希望を捨てきれずに、まりなは薄暗い路地裏へと踏み入れる。エアコンの室外機が吐き出す新鮮とは言いがたい空気が、路地裏を独特の生暖かさで包んでいた。
最初は早足だった足取りも、次第に重くなってゆく。
(どこに行っちゃったんですか……ほむらちゃん……)
「ねぇ、まりな。誰を捜してるの?」
耳元で、ほむらの声が聞こえたような気がした。
それもまた、この二週間、何度も感じた幻聴。しかしその声は、まりなが知るほむらの声でありながら、ほむらのものとは思えない、甘い色香を帯びていた。その違和感が、まりなを振り向かせる。
「え……?」
そこには確かにほむらの姿があった。
見間違いでもなければ、目の錯覚でもない。二週間ずっと会いたかった親友であり相棒の姿がそこにはあった。
ほむらが失踪してから、二週間が経過していた。
その間、まりなは暇さえあれば街中を駆け回り、ほむらのことを捜し回っていた。
まりなたちが魔法少女であることは、友人らはもちろんのこと、家族にさえも秘密にされている。それゆえに家族相手であっても、魔法少女だから誘拐されたのかもしれないと教えることはできないことが、まりなの胸に罪悪感として残っていた。
「お願いです……無事でいてください……」
元気いっぱいなほむらの顔を思い浮かべ、まりなは拳を握り締める。
この日、まりなが訪れていたのは、駅前からやや離れた場所にあるホテル街だった。
まりなのような年齢の子供が来るような場所ではなく、制服姿は至極浮いている。
もちろん、まりなは遊びにきたわけではないし、こんな状況でなくとも遊びにきたこともない。そんなまりながホテル街を訪れたのには当然理由があった。
ネビリムの使徒たちが信奉する淫堕神ネビリムは淫欲を司る邪神。もし彼らの本拠地があるならば、その可能性が高いのは、街の中で最も欲望の集まるホテル街だろうという推理である。
ほむらの家族や警察は、ほむらの行方を捜索している。しかしホテル街などほとんど調べているはずがない。まりなと同様、ほむらもまたこのような場所に来るような性格ではないのだから。
ほむらが魔法少女であることを知っているのは、相棒であるまりなだけ。誰にもその事実を話すことができない以上、ホテル街を捜してほしいなどと頼んだところで根拠に乏しい上、ほむらの名誉を穢すことにもなりかねない。
「わたしが……ほむらちゃんを見つけます……」
ときに警察に補導されそうになり、魔法少女の力を使って逃げることを繰り返しながら、街中の至るところを捜し回っていると、まりなの視界の端に、見覚えのあるツインテールが映り込んだ。
「ほむらちゃん……!」
ビルの角を曲がり、路地裏へと入っていったその髪は、まりなが毎日のように見つめ、頭の中に思い描き、夢にまで見た親友のものに間違いなかった。
確信を持って、まりなは棒のようになった足に鞭打ち、ビルの角まで走る。
「ほむらちゃんっ!」
息を切らせながら覗き込んだ路地裏には、人の姿はなかった。
あるのは打ちっぱなしのコンクリートと、室外機にゴミ箱の群れ。そして片付けられずにいる吐瀉物のあとくらいだった。
「……」
ほむらが失踪してからの二週間、見つけたと思って近づいて、別人だったことは何度もあった。そのたびに今度こそは間違いないと思って、裏切られ続けてきた。
「また、見間違いだったんでしょうか……」
落胆の息を吐きながら、それでももしかしたらという希望を捨てきれずに、まりなは薄暗い路地裏へと踏み入れる。エアコンの室外機が吐き出す新鮮とは言いがたい空気が、路地裏を独特の生暖かさで包んでいた。
最初は早足だった足取りも、次第に重くなってゆく。
(どこに行っちゃったんですか……ほむらちゃん……)
「ねぇ、まりな。誰を捜してるの?」
耳元で、ほむらの声が聞こえたような気がした。
それもまた、この二週間、何度も感じた幻聴。しかしその声は、まりなが知るほむらの声でありながら、ほむらのものとは思えない、甘い色香を帯びていた。その違和感が、まりなを振り向かせる。
「え……?」
そこには確かにほむらの姿があった。
見間違いでもなければ、目の錯覚でもない。二週間ずっと会いたかった親友であり相棒の姿がそこにはあった。
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