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第2話 女体化ナノマシン
ゴポゴポとナノマシンを含む水が抜かれていくと同時に、カプセルの扉が開く音でアルフは目を覚ました。
「ん…っ」
ぼんやりとした思考で、アルフは閉じていた目を開く。
身体を拘束していた固定具が外れ、アルフはふらふらと開いたカプセルの扉を跨いで外に出た。
外の新鮮な空気が心地よく、ひとつ深呼吸をする。
気分はそこまで悪くないものの、何故か酷い違和感が拭えない。大切なものを取りこぼしてしまったような、悪寒が酷かった。
「なんだ……?」
朦朧とした頭を上げたところで、急に隣から悲痛な女性の悲鳴が聞こえた。
「どうなってるんだよこれ! 」
「……!?」
弾かれたように声の方を振り返れば、全裸の若い少女がわなわなと震えて叫んでいた。なだらかな銀髪に紫色の宝石のような瞳。紛れもなく、アウライ人だ。
(何故、ここにアウライ人がいる?)
その横を見れば他にも若いアウライ人の少女らが複数人、全裸でへたり込んでいた。その光景に、アルフは培養カプセルに入れられる前の記憶を思い出す。
培養カプセルは全て開いており、たゆたっていたはずのロタールの男性らは一人も居ない。
「まさか……! 」
ハッとアルフは確信する。慌ててもたついた足取りで、自分の出てきたカプセルに駆け寄った。
「これが……わ、私の身体なのか…!?」
ガラス製のカプセルに手をついて覗き込むと、十四歳ほどの年若いアウライ人としか言えない容貌をした女性が映り込む。
自分が片手をあげれば、鏡の中のアウライ人も片手を上げる。
「ど……どういう事だ……」
鍛え抜かれた胸板があったはずの胸部に触れれば、小さいとはいえ女性の胸の感触が返ってくる。
ショックのあまりその場に座り込みそうになるアルフだが、彼の誇りとプライドが許さなかった。
呆然とした空気が広がる中で、場を間断するように悪趣味な笑いが聞こえてくる。
「どうやら全員、上手くいったようですねぇ。どれもこれも、見事な雌になったようで良かったです」
知らぬ間に目の前に立っていた例の軍服男は、全員の顔を見回しながら拍手する。座り込んでいたアウライ人達も皆弾かれたように立ち上がり、口々に男を痛罵した。
「お前は……!」
「ふざけるな、一体なんなんだよこれ!!」
「なんで俺たち、女になってるんだ!」
だが男は何処吹く風と言った様子で肩を竦める。
「ふざけるなも何も、これが我々の技術です。生意気で誇りだけは無駄に高いロタールの人間を、決して我々に逆らえない雌へと調教する。それが『ロタール女体化計画』だ」
想像以上に悪趣味な施設に、アルフは絶句させられる。ナノマシンだけでなく男をアウライ人にするというその技術は、国内はおろか全世界中を出し抜くほどの技術力だ。
いかに彼らが本気でこの計画に力を入れているか否応にも理解し、アルフは背筋が寒くなるのを感じた。
「大尉」
パンパン、と男が手を叩いた途端、どこからともなく見たことの無い男が現れる。中年で中佐の男とは違い、突然現れた白軍服を纏った男はまだ若く二十代前半にも見えた。
「はっ。ただ今参りました」
「ええ。これらが貴方の新しく担当する『雌』ですよ。たっぷりと仕込んであげて下さいねぇ」
「誰が雌だ!」
いくら女性にされてしまったとはいえ、雌と言われてアルフは顔を真っ赤にして噛み付く。
「この『雌』は優秀だが特に反抗的ですので、貴方にもぴったりだと思いましてね。しっかりと教育してくださいねぇ」
「なるほど……承知しました」
中佐はねっとりとした視線をアルフに向け、笑みを浮かべて足音を立てながらあっさりと去っていった。
その場には白軍服の男と、戸惑いを隠せないアルフらだけが残される。
(一人なら……いや、今逃げるのは無理そうだな)
一瞬、脱走の二文字がアルフの脳をかすめるが、直ぐに首を振る。
大尉と呼ばれた男は、身長も高く鍛え抜かれた体格をしていた。少女にされてしまった今、不意を突かなければまず筋力差では勝てないだろう。
(それにまだ、この施設の間取りを理解していないしな)
反抗的な態度を見せれば、拘束を強められる可能性もある。じっくりと計画を練らなければとアルフは思案した。実際この場の少女達も、ここで男に抗ったとして適わないと自覚しているのだろう。誰もが剣呑な視線で、大尉と呼ばれた男を睥睨する。
男は腕を組みながら、アルフらを見回した。
「見てのとおり、このナノマシンを注入されればどんな男もアウライ人の雌になる。凄いだろう? アウライ帝国の化学の集大成だ。もっともその効果は、貴様らの体でよく実感してるみたいだがなぁ?」
「こんなことを認められるわけがないだろう! 早く私たちを元の体に戻さないか!」
アルフの抗する言葉も、男は鼻で笑って一蹴する。
「元の姿に戻すだと? 捕虜の分際で楯突くとは良い度胸だな。自分の立場がわかっているのか?」
「くっ……」
「俺の言うことを大人しく聞いていれば、お前らの安全は保証してやる。まあ、お前らはこれから逃げようにも逃げられなくなるからな。 ――このナノマシンで女体化した人間はなぁ、食事ではなく精液でしか栄養を摂取出来なくなっていくんだよ」
「は……!?」
「何だって……?」
それまでがなっていた少女たちが、一斉に黙り込む。愕然とした空気が広がった。
「ナノマシンで性転換したお前らもこれから、ザーメンで食事を摂るようになるんだ。それ以外は開発される毎に、段々身体が何も受け付けなくなっていくんだ」
(な、何の冗談だ……! )
言葉の意味を理解し、アルフはゾッと肝を冷やした。
何より元は同じ男ということもあり、想像するだけで背筋が凍りつく。
アウライ帝国もロタール連邦も深刻な女性、ひいては人手不足ではあったが、まさか裏で人権の無い捕虜に非情な実験をしていたとは。
他の少女らも、顔色を赤くしたり青くしたりと絶句していた。男は大袈裟に腕を組みなおし、わざとらしい仕草でアルフらの顔を交互に見やる。
「お前ら傲慢で反抗的なロタールの奴らをどうすれば従えることが出来るか……上の偉い奴らの出した答えが、お前らの今の姿だよ。無駄に忠誠のお高い貴様らを全員、それも最も有効的に利用し尽くせる方法でな。これから貴様らは漏れなく、アウライ帝国にとって必要な駒として働いていくんだ。素晴らしいだろう?」
全員が何も言えなくなったところで、男はゆったりと言葉を続けた。
「お前らの体には、注入されたナノマシンが今も滞在している。良いか? お前らはもう、俺たちアウライ帝国の所有物なんだ。抵抗なぞ無意味な考えは持たないことだな。貴様らの命は俺が握っている。お前ら雌は俺たちのため、これから忠実な奴隷に生まれ変わるんだよ」
男から女へと変えられただけでなく、さらに徐々に開発が進む事に精液でしか生きられない体になるという。思った以上に最悪の状況に、アルフは危機感を募らせた。
(雌奴隷だと……冗談ではない! 何て悍ましい考えを思いつくのか、アウライは…! 今の話が本当だとしたら、余計なことをされる前に早く脱出しなければ……)
そっと調教師と囚われた仲間らに視線を向け、唇を噛み締める。
(まさか捕虜を、性別を変えて繁殖のために利用していたとは……アウライ人は我々を心のない人間だと言うが、これではどっちが悪魔だか……)
調教師を名乗る男が嘘を着いているとは到底思えない。すなわち脱出が遅れれば遅れるほど、逃げ出す可能性はより低くなっていく。悪辣で非人道的なアウライ帝国の実験に、盛大な嫌悪感を抱いた。
「ん…っ」
ぼんやりとした思考で、アルフは閉じていた目を開く。
身体を拘束していた固定具が外れ、アルフはふらふらと開いたカプセルの扉を跨いで外に出た。
外の新鮮な空気が心地よく、ひとつ深呼吸をする。
気分はそこまで悪くないものの、何故か酷い違和感が拭えない。大切なものを取りこぼしてしまったような、悪寒が酷かった。
「なんだ……?」
朦朧とした頭を上げたところで、急に隣から悲痛な女性の悲鳴が聞こえた。
「どうなってるんだよこれ! 」
「……!?」
弾かれたように声の方を振り返れば、全裸の若い少女がわなわなと震えて叫んでいた。なだらかな銀髪に紫色の宝石のような瞳。紛れもなく、アウライ人だ。
(何故、ここにアウライ人がいる?)
その横を見れば他にも若いアウライ人の少女らが複数人、全裸でへたり込んでいた。その光景に、アルフは培養カプセルに入れられる前の記憶を思い出す。
培養カプセルは全て開いており、たゆたっていたはずのロタールの男性らは一人も居ない。
「まさか……! 」
ハッとアルフは確信する。慌ててもたついた足取りで、自分の出てきたカプセルに駆け寄った。
「これが……わ、私の身体なのか…!?」
ガラス製のカプセルに手をついて覗き込むと、十四歳ほどの年若いアウライ人としか言えない容貌をした女性が映り込む。
自分が片手をあげれば、鏡の中のアウライ人も片手を上げる。
「ど……どういう事だ……」
鍛え抜かれた胸板があったはずの胸部に触れれば、小さいとはいえ女性の胸の感触が返ってくる。
ショックのあまりその場に座り込みそうになるアルフだが、彼の誇りとプライドが許さなかった。
呆然とした空気が広がる中で、場を間断するように悪趣味な笑いが聞こえてくる。
「どうやら全員、上手くいったようですねぇ。どれもこれも、見事な雌になったようで良かったです」
知らぬ間に目の前に立っていた例の軍服男は、全員の顔を見回しながら拍手する。座り込んでいたアウライ人達も皆弾かれたように立ち上がり、口々に男を痛罵した。
「お前は……!」
「ふざけるな、一体なんなんだよこれ!!」
「なんで俺たち、女になってるんだ!」
だが男は何処吹く風と言った様子で肩を竦める。
「ふざけるなも何も、これが我々の技術です。生意気で誇りだけは無駄に高いロタールの人間を、決して我々に逆らえない雌へと調教する。それが『ロタール女体化計画』だ」
想像以上に悪趣味な施設に、アルフは絶句させられる。ナノマシンだけでなく男をアウライ人にするというその技術は、国内はおろか全世界中を出し抜くほどの技術力だ。
いかに彼らが本気でこの計画に力を入れているか否応にも理解し、アルフは背筋が寒くなるのを感じた。
「大尉」
パンパン、と男が手を叩いた途端、どこからともなく見たことの無い男が現れる。中年で中佐の男とは違い、突然現れた白軍服を纏った男はまだ若く二十代前半にも見えた。
「はっ。ただ今参りました」
「ええ。これらが貴方の新しく担当する『雌』ですよ。たっぷりと仕込んであげて下さいねぇ」
「誰が雌だ!」
いくら女性にされてしまったとはいえ、雌と言われてアルフは顔を真っ赤にして噛み付く。
「この『雌』は優秀だが特に反抗的ですので、貴方にもぴったりだと思いましてね。しっかりと教育してくださいねぇ」
「なるほど……承知しました」
中佐はねっとりとした視線をアルフに向け、笑みを浮かべて足音を立てながらあっさりと去っていった。
その場には白軍服の男と、戸惑いを隠せないアルフらだけが残される。
(一人なら……いや、今逃げるのは無理そうだな)
一瞬、脱走の二文字がアルフの脳をかすめるが、直ぐに首を振る。
大尉と呼ばれた男は、身長も高く鍛え抜かれた体格をしていた。少女にされてしまった今、不意を突かなければまず筋力差では勝てないだろう。
(それにまだ、この施設の間取りを理解していないしな)
反抗的な態度を見せれば、拘束を強められる可能性もある。じっくりと計画を練らなければとアルフは思案した。実際この場の少女達も、ここで男に抗ったとして適わないと自覚しているのだろう。誰もが剣呑な視線で、大尉と呼ばれた男を睥睨する。
男は腕を組みながら、アルフらを見回した。
「見てのとおり、このナノマシンを注入されればどんな男もアウライ人の雌になる。凄いだろう? アウライ帝国の化学の集大成だ。もっともその効果は、貴様らの体でよく実感してるみたいだがなぁ?」
「こんなことを認められるわけがないだろう! 早く私たちを元の体に戻さないか!」
アルフの抗する言葉も、男は鼻で笑って一蹴する。
「元の姿に戻すだと? 捕虜の分際で楯突くとは良い度胸だな。自分の立場がわかっているのか?」
「くっ……」
「俺の言うことを大人しく聞いていれば、お前らの安全は保証してやる。まあ、お前らはこれから逃げようにも逃げられなくなるからな。 ――このナノマシンで女体化した人間はなぁ、食事ではなく精液でしか栄養を摂取出来なくなっていくんだよ」
「は……!?」
「何だって……?」
それまでがなっていた少女たちが、一斉に黙り込む。愕然とした空気が広がった。
「ナノマシンで性転換したお前らもこれから、ザーメンで食事を摂るようになるんだ。それ以外は開発される毎に、段々身体が何も受け付けなくなっていくんだ」
(な、何の冗談だ……! )
言葉の意味を理解し、アルフはゾッと肝を冷やした。
何より元は同じ男ということもあり、想像するだけで背筋が凍りつく。
アウライ帝国もロタール連邦も深刻な女性、ひいては人手不足ではあったが、まさか裏で人権の無い捕虜に非情な実験をしていたとは。
他の少女らも、顔色を赤くしたり青くしたりと絶句していた。男は大袈裟に腕を組みなおし、わざとらしい仕草でアルフらの顔を交互に見やる。
「お前ら傲慢で反抗的なロタールの奴らをどうすれば従えることが出来るか……上の偉い奴らの出した答えが、お前らの今の姿だよ。無駄に忠誠のお高い貴様らを全員、それも最も有効的に利用し尽くせる方法でな。これから貴様らは漏れなく、アウライ帝国にとって必要な駒として働いていくんだ。素晴らしいだろう?」
全員が何も言えなくなったところで、男はゆったりと言葉を続けた。
「お前らの体には、注入されたナノマシンが今も滞在している。良いか? お前らはもう、俺たちアウライ帝国の所有物なんだ。抵抗なぞ無意味な考えは持たないことだな。貴様らの命は俺が握っている。お前ら雌は俺たちのため、これから忠実な奴隷に生まれ変わるんだよ」
男から女へと変えられただけでなく、さらに徐々に開発が進む事に精液でしか生きられない体になるという。思った以上に最悪の状況に、アルフは危機感を募らせた。
(雌奴隷だと……冗談ではない! 何て悍ましい考えを思いつくのか、アウライは…! 今の話が本当だとしたら、余計なことをされる前に早く脱出しなければ……)
そっと調教師と囚われた仲間らに視線を向け、唇を噛み締める。
(まさか捕虜を、性別を変えて繁殖のために利用していたとは……アウライ人は我々を心のない人間だと言うが、これではどっちが悪魔だか……)
調教師を名乗る男が嘘を着いているとは到底思えない。すなわち脱出が遅れれば遅れるほど、逃げ出す可能性はより低くなっていく。悪辣で非人道的なアウライ帝国の実験に、盛大な嫌悪感を抱いた。
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