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第169話 散乱

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「何故じゃ!?何故にお銀は人の幸せな気分をぶち壊しすようなことを言ってくれるのじゃ!?」

 むくれる仙花を収めようとお銀が口を開く。

「仙花様、そう怒らないでおくんなまし、注意深く見れば直ぐに分かることでありますゆえ...」

 仙花一味の目に映っているのは、田舎の村のよくある長閑な風景ではあるものの、人の手によって舗装がなされているがゴミや石ころなどが散乱して荒れており、距離を置いてポツン、ポツンと建っている木造の家屋のほとんどが修繕のいき届いていないものであった。

「言われてみれば、この村は今まで立ち寄った村に比べ寂しげで、どことなく異様さを感じるのう」

 そう言って仙花が歩みを止めると、他の者達も同様に歩みを止めたのだった...

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