刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

流川おるたな

文字の大きさ
36 / 131

第2話 出雲の地へ ノ12

しおりを挟む
「ふぅぅぅ....」

 ほんの僅かな時間の中にて、夜叉の如く野盗の四人を全滅せしめたお銀が息を整える。   
 鍛え抜かれた忍びの殺人術たるやげに恐ろしいものであろうか。
 無論、忍者であれば誰でも出来ると言った芸当ではなく、忍者界隈の中でも特殊上忍であるお銀だからこそなし得た所業だったであろう。

 兎も角、彼女の凄まじい働きによって野盗の面々は一掃された。
 あたり一面の床板に赤い血が飛び散っているのを眺め、意図せぬ結果に憤りを覚え顰めっ面の仙花が怒鳴る!

「お銀!なぜ野党どもを全員斬ったのだ!?儂は此奴らに正しい道を選ぶ機会を与えようとしておったのだぞ!それを無惨に殺すとは......今すぐ理由を説明せい!」

 怒りの圧を肌で感じ取ったお銀が仙花の目の前まで近寄り、神妙な面持ちをもって片膝をつき恭しくも弁解を始める。

「僭越ながら申します。仙花様の人の命を尊ぶお気持ちは極めて貴重であり、手前も痛く感心する所存。されど、斬り捨てたこの野盗どもは、此処らの地で幾たびも人の命と財貨を奪い奴隷として連れ去る「芥藻屑(あくたもくず)」なる集団の片鱗にございます。首に巻く黒い下地に白文字で『下衆』とあるのが何よりの証拠。例え天下の将軍による言葉とて、此奴らを改心させるはまず間違いなく不可能かと...」

 お銀の弁解を聞くうち、怒りで上がっていた息が平穏を取り戻しつつある仙花。

「う~む。そのようなこととは知らなんだ。だがのう...」

 捨てきれぬ想いを伝えようとした仙花だったが言葉を飲み込み、お銀の言った悪党集団「芥藻屑」のことが気に掛かり意識を切り換える。

「まぁよい。して、その『芥藻屑』の溜まり場に心当たりはあるのか?」

「.....まさかとは存じますが。『芥藻屑』の一団を成敗しようなどとお考えでしょうか?」

 質問の内容と口調から察し、質問には答えず聞き返す。

「無論だ。其方の話しからすればその『芥藻屑』とやらを世のため人のためにも懲らしめてやる必要があろうからな。して、知っておるのか?」

 お銀は余りにも心変わりの激しい仙花の言葉に少なからず動揺していた。
 此処で真実を話してしまえば一行を巻き込んでの大事となることは確定的であろう。

「お銀、少しばかり待っておれ」

 なんと答えるべきか思案するお銀に仙花がそう言い、平伏したまま怯えている女子の父母に近づく。

「お主のらの大事な子どもは彼方で保護しておる。行って安心させてやるがいい」

 「子ども」に反応した父母が同時に顔を上げ父親が訊く。

「まっ、誠にございますか!?あ、ありがたや、ありがとうございます。差し支えなければ命の恩人である貴方様のお名前を頂戴したいのですが」

「儂か?儂は徳川光圀の娘にして徳川仙花と申す者ぞ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...