刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

流川おるたな

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第3話 芥藻屑との戦 ノ1

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 仙花の言葉を聞き、半ば信じ難しといった表情をした夫婦は互いの顔を向け合い。

「あ、あんた!?」

「おっ、おおう!?」

「ははぁぁ。御無礼を致しましたこと、こ、この通りお詫び申し上げますぅ」

 夫婦は違う意味で再び土下座して許しを乞うた。

 仙花がキョトンとした顔で言う。

「これこれ、いったい何に許しを乞うておるのだ。そんな無駄なことをする暇があったら早よう娘のところに行ってやるがよい」

 夫婦がまたもや揃って顔を上げ、互いに目を合わせ意思疎通を図って立ち上がり、何度も何度もお礼を言い、ようやくその場を離れて娘のもとへと向かったのだった。

 喜び勇んで走る夫婦を並んで眺める仙花とお銀。

「一応にして人助けにはなったようだな」

「左様にございますねぇ。仙花様、ここらで一つご忠告させていただいても?」

「なんだなんだ。余り耳の痛くなる話はするでないぞ」

「それは約束出来かねますし続けたく存じます。これから行く先々では名を訊かれる機会も多くあることでしょう。その折は『徳川』の性を出すのは極力お控え下さいまし」

「んん?なぜだ?」

「『徳川』は現将軍様の高貴な性にございます。場合によっては将軍様の名を汚すことにもなりかねますゆえ、恐悦至極に存じますが名乗る場合は慎重にされた方がよろしいかと...」

「...うむ、承知した。それより先ほどの質問の答えを聞きたいのう」

 お銀は観念したような表情をして静かに語る。

「...芥藻屑の巣窟は存じております。もちろん手前が答えずとも下総に入れば芥藻屑の悪名は嫌でも耳に及ぶのですが」

「ほほう、そんなに悪名高い奴らなのか?」

「左様にございます。芥藻屑は五年程前より勢力を伸ばし、今や一つの集落を構えるほどに大きな組織となっていると聞いております。仙花様、念のために言っておきますけれど、奴らには手出ししない方が御身の為かと...」

 旅は未だ初日で始まったばかり。芥藻屑のことを多少なりとも知るお銀は出鼻から面倒事は極力避けたく、仙花の考えることはとっくに予想できていたが、ダメ元で言ったみたのだ。

「否、手出し無用とは儂の選択肢に在らず」

 ダメ元はやはりダメだった。

「真面目に働き平穏に暮らす民を襲う悪党どもなど滅ぼした方が正義に決まっておる。芥藻屑を儂らの手で滅ぼすぞ!良いなお銀!」

「...正義、ですか...仕方、ありますまいねぇ。その意向、確かに承知致しました」

 お銀の頭の中でまとまっていなかったのか、首を横に振りながら応じた。

「お主。口にする言葉と動きがあっておらぬぞ」
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