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第3話 芥藻屑との戦 ノ18
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「なるほどぉ、持ってるのは蓮さんでやすかい。こりゃぁ丁度良い。仙花様、暫くのあいだお待ちを」
そう言って九兵衛は彼女の元を離れ、己の犯した失態に茫然自失中の蓮左衞門の元へせかせかと駆け寄り耳打ちする。
「蓮さん蓮さん。ここは面目躍如の良い機会でやんす。仙花様から預かった印籠を持ってやすよね?」
「.......ん!?あっああ、持っているでござるが...」
「それを村人達全員に見せつけてこう言うでやんす。ゴニョゴニョ...........」
「お、おお!それならば村人達も黙って話しを聴くやも知れぬ。感謝するでござるよ九兵衛!」
九兵衛に印籠を顕す際の決め台詞を耳打ちされ、声にも元気の戻った蓮左衞門は袖の印籠をサッと取り出し村人達に見えるよう前面に差し出した。
続けて自分なりのキメ顔を表現し喉に力を込めて吠えたてる。
「ええ~い!控えいっ!控えおろ~っ!この紋所が眼に入らぬか!?」
「バン!!」
「チーーーーーーーーーン」
その場の時が止まったかのように静まりかえる。
決まった!決めてやったとばかりにキメ顔だった蓮左衞門の顔がみるみるうちに情け無く下手れ、九兵衛の方へ目を向けると「えっ!?」と言わんばかりに驚き固まっていた。
理由は一目瞭然、村人達は遠くにいたため蓮左衞門が何かを取り出して差し出したのは分かったが、それが何なのか夜の暗がりで確認できずにただ唖然としているだけだったのである。
やはり本家「うっかり」の九兵衛の策では詰めが甘かったのだろう。
「あたたたぁ....」
様子を眺めていたお銀がおでこに手をあて天を仰ぐ。仙花はことの成り行きを黙って見守っていた。
「み、皆の衆!と、とにかく、こちらに来てこの印籠をご覧になってくだせぇ!驚くこと請け合いでやんすよ~!」
蓮左衞門を巻き込んでしまった失敗を必至で挽回せんとする九兵衛が、まるで客でも呼び込むかのように手を振って村人達に呼びかけた。
仙花の一行の中では村人達が一番警戒しそうになく、親近感すら覚える九兵衛の素朴で間抜けそうな人柄に気を許したのか、村人達が荒れ果てた焚き火の側に恐る恐るではあったが歩み寄る。
蓮左衞門が未だに掲げる印籠を近くで確認し、驚愕の表情を浮かべた村長が強ばった口調で訊く。
「そ、それは、ま、まさか、徳川家の家紋にございますか?」
訊かれた蓮左衞門が気を取り直してキメ顔になり、待ってましたとばかりに口を開く。
「左様。彼方におわすお方こそ。先の天下の副将軍、水戸光圀公溺愛の娘である仙花様にあらせられるぞ!頭が高い!控えい、控えおろう!」
そう言って九兵衛は彼女の元を離れ、己の犯した失態に茫然自失中の蓮左衞門の元へせかせかと駆け寄り耳打ちする。
「蓮さん蓮さん。ここは面目躍如の良い機会でやんす。仙花様から預かった印籠を持ってやすよね?」
「.......ん!?あっああ、持っているでござるが...」
「それを村人達全員に見せつけてこう言うでやんす。ゴニョゴニョ...........」
「お、おお!それならば村人達も黙って話しを聴くやも知れぬ。感謝するでござるよ九兵衛!」
九兵衛に印籠を顕す際の決め台詞を耳打ちされ、声にも元気の戻った蓮左衞門は袖の印籠をサッと取り出し村人達に見えるよう前面に差し出した。
続けて自分なりのキメ顔を表現し喉に力を込めて吠えたてる。
「ええ~い!控えいっ!控えおろ~っ!この紋所が眼に入らぬか!?」
「バン!!」
「チーーーーーーーーーン」
その場の時が止まったかのように静まりかえる。
決まった!決めてやったとばかりにキメ顔だった蓮左衞門の顔がみるみるうちに情け無く下手れ、九兵衛の方へ目を向けると「えっ!?」と言わんばかりに驚き固まっていた。
理由は一目瞭然、村人達は遠くにいたため蓮左衞門が何かを取り出して差し出したのは分かったが、それが何なのか夜の暗がりで確認できずにただ唖然としているだけだったのである。
やはり本家「うっかり」の九兵衛の策では詰めが甘かったのだろう。
「あたたたぁ....」
様子を眺めていたお銀がおでこに手をあて天を仰ぐ。仙花はことの成り行きを黙って見守っていた。
「み、皆の衆!と、とにかく、こちらに来てこの印籠をご覧になってくだせぇ!驚くこと請け合いでやんすよ~!」
蓮左衞門を巻き込んでしまった失敗を必至で挽回せんとする九兵衛が、まるで客でも呼び込むかのように手を振って村人達に呼びかけた。
仙花の一行の中では村人達が一番警戒しそうになく、親近感すら覚える九兵衛の素朴で間抜けそうな人柄に気を許したのか、村人達が荒れ果てた焚き火の側に恐る恐るではあったが歩み寄る。
蓮左衞門が未だに掲げる印籠を近くで確認し、驚愕の表情を浮かべた村長が強ばった口調で訊く。
「そ、それは、ま、まさか、徳川家の家紋にございますか?」
訊かれた蓮左衞門が気を取り直してキメ顔になり、待ってましたとばかりに口を開く。
「左様。彼方におわすお方こそ。先の天下の副将軍、水戸光圀公溺愛の娘である仙花様にあらせられるぞ!頭が高い!控えい、控えおろう!」
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