刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

流川おるたな

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第3話 芥藻屑との戦 ノ50

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「分身の術かっ!?」

「そうだ!」

 くノ一のお銀が不可思議な現象を忍術の一つである「分身の術」と分析し、即座に判断するや否や、背後から果綱紅樹の低い声が聞こえ斬りかかって来た!

「ドンッ!」

「ぐっ!?」

 ほぼ反射的に反応したお銀が向きを変えずそのまま後ろ蹴りを放つと、刀を振り下さんとしていた紅樹はそれをもろに鳩尾へ喰らい、痛みと息苦しさでよろめき堪らずお銀から距離を取った。

 此処でようやく紅樹の方へ振り向くお銀が冷たく笑う。

「フフフ。あんたも馬鹿な男だねぇ、声を出すなら斬り捨てたあとにすべきというものさ。まぁ、声がしなくてもあんたの殺気で気付いちゃぁいたけどねぇ」

 お銀の発言は嘘か誠か、それとも彼女の気を読む力が優れているのか、もしかすると果綱紅樹が忍者として未熟なだけなのか?
 何にせよ、若くしてくノ一頭領の座につくお銀の忍者としての才能は天賦のものと云えた。
 
「たかがくノ一が、まぐれの一撃を入れたくらいで調子に乗るなよ」

「あらあらあら、あんたの忍者としての誇りを傷つけちゃったかしらねぇ。でも安心していいわよ。その未熟で小さな誇りを完膚なきまでにズタズタにしたあと殺してあげるから」

 薄い笑みを浮かべ片目を瞑り話すお銀には余裕と色香があったけれど、果綱紅樹の目には不気味な女として映っていたかも知れない。

「語るは易し、だな。面白い。その口から漏れた戯言が、どこまで真に迫っているのか闘ってみれば分かること...」

 紅樹が己の顎下あたりで手を組んで僅かに瞼を閉じ精神統一を図ったかと思うと、カッと開けて力のみなぎる眼をして素早く印を結び忍術を発動させる。

「忍法雷遁の術!雷絶飛翔(らいぜつひしょう)!」

 叫んだ紅樹の両手に一瞬で白光の雷が宿り薄笑いを浮かべる。

「くくく、こいつで丸焦げにしてやるから覚悟しろ!」

「あらあらあら、そんな小さな雷で大丈夫かしら?」

 お銀が発動した忍術を笑い飛ばす間に紅樹が彼女に向かって疾る!

「死ねっ!」

 間を詰めて右腕を突き出したその時!

「雷遁の術!剛龍白雷(ごうりゅうびゃくらい)!」

 お銀が攻撃されるのを待ちかねていたかのように同系統の忍術を発動させた!

 彼女の全身から眩い光が溢れ、その光が瞬く間に幻想的な龍の形を成し大きな口を開き紅樹を襲う!

「ピシャァァァーーーッ!!!!」

「なっ!!?ぐっ!?ああああああああああ!!?

 雷龍に呑み込まれた紅樹の痛烈な悲鳴が轟いた!

 お銀の身体から光が消えると、役目を果たした雷龍もまた消えていく。
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