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第3話 芥藻屑との戦 ノ58
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鷲尾雷角は元々が山賊上がりの荒くれ者であり、これといって語るような人物ではないけれど、芥藻屑の大将である韋駄地源蔵は武士の身分であった者であるため少し素性を語らねばなるまい。
かつて、江戸時代初期に起こった一揆とも戦争とも伝えられる大規模な内戦の「島原の乱」。
元の洗礼名は「ジェロニモ」であったが、島原の乱当時は「フランシスコ」に変わっていた「益田時貞(ますだときさだ)」でもあり、最も有名な名である「天草四郎(あまくさしろう)」が最高指揮官となり世間を騒然とさせた乱である。
その天草四郎の下、当時十八歳という若さで実力を認められ部下百人を従えていた韋駄地源蔵。
味方の苦戦する戦場に彼が赴くと、鬼神の如き強さでもって数多の敵を悉く打ち払い、味方を鼓舞して戦況を一変させたと云う。
特に彼の「鬼武者」たる所以についてだが...
たった一人で戦況を変えてしまう韋駄地源蔵を早急に討たねばならぬと幕府軍が取った策は、彼を孤立させ百人がかりで討ち倒すという強引なものだった。
誰もがたった一人の人間にいくらなんでも百人がかりとは大袈裟ではないのか?と考えた訳だが、この策は大袈裟だったどころか「百人では足りぬ」といった結果になったのである...
その日のは雨雲がどんよりと浮かぶ天候の中、足場の悪い戦場は泥々で五分五分の運びとなっていた。戦況を変えようと満を持して登場する韋駄地源蔵。待ってましたと思ったのは島原の軍勢だけではなく、彼を討つべく策を仕掛けていた幕府も然りであった。
まずは幕府軍後方の弓隊が温存していた弓矢を一斉に放ち韋駄地源蔵の小部隊を襲う。
普通の弓攻撃なんぞ彼にとっては箸が空から降ってくるようなもので、何本撃ち込まれて来ようが関係なく全て避けるなり刀で振り払うなりしていたのだが、彼を取り巻く百姓上がりの部下達はそうもいかなった。
慣れない矢の雨を上手く避けられず、哀れにも矢をまともに受け次々と倒れていく部下達。
遂には韋駄地源蔵の周囲には誰も居なくなり、部下をやられた怒りで我を忘れて幕府軍の弓隊に単独で突っ込んで行く。
予想通りとばかりに弓隊は武器を引っ込め全員が全力で後退する。罠とも知らずに韋駄地源蔵がそれを追う。
彼は重い鎧を纏っているというのに、幾ばくか走ると弓隊の最後部へ追いつこうとしていた。
だが、逃げていた弓隊が走る脚を突如として止め、刀を抜くと一斉に振り返った。
敵の妙な動きに一瞬戸惑った韋駄地源蔵が周囲を見回すと、視界を埋め尽くす敵衆にとり囲まれていたものである。
かつて、江戸時代初期に起こった一揆とも戦争とも伝えられる大規模な内戦の「島原の乱」。
元の洗礼名は「ジェロニモ」であったが、島原の乱当時は「フランシスコ」に変わっていた「益田時貞(ますだときさだ)」でもあり、最も有名な名である「天草四郎(あまくさしろう)」が最高指揮官となり世間を騒然とさせた乱である。
その天草四郎の下、当時十八歳という若さで実力を認められ部下百人を従えていた韋駄地源蔵。
味方の苦戦する戦場に彼が赴くと、鬼神の如き強さでもって数多の敵を悉く打ち払い、味方を鼓舞して戦況を一変させたと云う。
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普通の弓攻撃なんぞ彼にとっては箸が空から降ってくるようなもので、何本撃ち込まれて来ようが関係なく全て避けるなり刀で振り払うなりしていたのだが、彼を取り巻く百姓上がりの部下達はそうもいかなった。
慣れない矢の雨を上手く避けられず、哀れにも矢をまともに受け次々と倒れていく部下達。
遂には韋駄地源蔵の周囲には誰も居なくなり、部下をやられた怒りで我を忘れて幕府軍の弓隊に単独で突っ込んで行く。
予想通りとばかりに弓隊は武器を引っ込め全員が全力で後退する。罠とも知らずに韋駄地源蔵がそれを追う。
彼は重い鎧を纏っているというのに、幾ばくか走ると弓隊の最後部へ追いつこうとしていた。
だが、逃げていた弓隊が走る脚を突如として止め、刀を抜くと一斉に振り返った。
敵の妙な動きに一瞬戸惑った韋駄地源蔵が周囲を見回すと、視界を埋め尽くす敵衆にとり囲まれていたものである。
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