刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

流川おるたな

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第3話 芥藻屑との戦 ノ63

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 「島原の乱」は多くの死者を出したものの、幕府軍の力によって鎮静し終わりを迎えたのだが、二人の重要人物の生死、若しくは行方が謎のままであった。

 一人は討伐隊の前から忽然と姿を消した韋駄地源蔵。そしてもう一人は、指揮官であり指導者でもあった天草四郎である。

 内戦に勝利した幕府軍によれば、荒れ果てた戦場で天草四郎の死体を探し当てたとのことだった。
 
 だが真実とは少し違うようである...

 確かに幕府軍の発見した死体は彼を象徴するところの「奇抜」な身なりをしていた。しかし発見当時、死体の顔は鉄の鈍器で何度も叩かれたかのように潰され、全身の皮膚も刃物による裂傷が激しかったため、実際にはこの死体を「天草四郎」だと断定するには材料が乏しかったのだけれど...
 幕府軍にとってはこの死体が「天草四郎」であってくれた方が戦後の処理上なにかと都合が良かったのである。

 画して、死体は幕府軍によって「天草四郎」だと断定され、彼の死は世間にあっという間に知れ渡ったのだった。

 極少数派の意見としては幕府軍の情報は虚偽であり、「本当は南の薩摩国へと逃げ延びたのだ」などという噂も囁かれることもあったが、この時の時点では真実を知るものはいなかった。

 天草四郎が歴史に名を残すほど有名になった一方で、一騎当千の実力を持ちながら歴史に名を刻むこともなかった韋駄地源蔵。

 この先、戦場から幽霊の如く消え去った彼を目撃者した者は一人として現れず、幕府軍兵士達の広めた噂も「韋駄地源蔵」という名よりも、「鬼武者」という二つ名だけが人々の記憶に残り、数年後には単なる伝説として語り継がれていった...


 
 さて、韋駄地源蔵の物語はまだまだ語り尽くせぬほどあるがこの辺にして、「島原の乱」終結より五十年以上の時が経過した今に戻ろう。

 芥藻屑の賊が居住する土地「蛇腹(じゃばら)」。
 その中央に位置する他の建造物より品質や見た目も良い社の屋根上には、「島原の乱」当時と全く同じ身なりの「鬼武者」韋駄地源蔵が立っている。

 これまで芥藻屑の賊を三十人近く斬り捨てた仙花が彼に一騎討ちを挑まんと、信じがたい跳躍力で中央社二階の手摺に飛び乗り、そこから屋根上へ一気に飛び乗った。

 仙花が遂に伝説の豪傑「鬼武者 韋駄地源蔵」と対峙する。
 だが彼女は彼がどれほどの強者なのかを知る由もない...

「やっと........というほどでも無いが、う~む、やはり、やっと会えたな韋駄地源蔵!いきなりだが死ぬ覚悟はできておろうな!?」
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