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第3話 芥藻屑との戦 ノ89
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源蔵に言われた紗夜は素直に従い、部屋の障子を閉め部屋の中へ入る。
韋駄地家の長女とはいえ紗夜は未だ十二歳。父、蔵之介の余りにも残酷な話しを耳にして、さらには兄が父の命を奪おうという衝撃的な場面に兄を止めたことは、奇跡に等しい行動であった。
現に紗夜は、心の平静を取り戻しつつある現状において身体が小刻みに震え、恐怖の感情に押しつぶされそうになっていた。
そんな妹のことを想ってか源蔵は猛っていた己を自制し、可能な限り冷静さを保ちつつ安心させるため紗夜に優しく語りかける。
「...ありがとう紗夜。其方のお陰で父上を斬らずに済んだ...もう安心して良い。僕が父上を此処で斬るようなことは二度と起こるまいよ」
源蔵の気遣いが届いたのか紗夜の身体の震えがスッと消えた。
彼女は源蔵の顔が敢えて視界に入らぬ位置に正座する。
「...兄様、承知しました。紗夜は此処におりますゆえ、どうぞ伝えなさりたいことを存分にお話くださいませ...」
「...心得た...」
先ほどまでの混乱していた状態と違い、源蔵はにわかに平常心を取り戻し、冷静な思考と判断が出来そうであり、父、韋駄地蔵之介に向かって落ち着いた調子で語り出す...
「父上、今しがた僕は貴方の命を奪おうとしました...これで貴方と同様の罪を背負ったことになります...」
「...もはや俺の言葉に信憑性などあろう筈はない。だがそれは違うぞ、源蔵。其方が取った行動の原因は全て、父である俺の不甲斐ないなさが産んだ所業によるもの...其方は罪など背負っておらぬ...」
蔵之介の心境もまた複雑であった。今や源蔵に刺客を向けたことを深く、深く後悔すると共に、己の存在価値など皆無なのではないかと考えているところへ、我が子が己と同様に堕ちてしまったようなことを口走るとは......蔵之介はこの後に及んでも、息子が罪の意識に囚われないようにしたかったのである...
その気持ちが伝わったのか否か定かでなかったけれど、源蔵は首を横に振ったあと話しを続けた...
「父上...長話をする暇はございませぬ。これから話すことをしかと肝に命じて下さい...まずは、僕は話し終えたら直ちに家を出てこの地を離れ、二度と家へ戻りませぬ...したらば、世間には僕が死んだと思わせるため刺客の屍を焼き土に埋め、僕の墓として造ってくだされ。さすれば一件落着となりましょう...そして父上は、これから一生懸命に家族を守って行くのです。もしも、僕の云ったことが果たせぬようであれば貴方を許さず、僕は貴方を亡き者にするためこの家へと戻りましょう...」
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現に紗夜は、心の平静を取り戻しつつある現状において身体が小刻みに震え、恐怖の感情に押しつぶされそうになっていた。
そんな妹のことを想ってか源蔵は猛っていた己を自制し、可能な限り冷静さを保ちつつ安心させるため紗夜に優しく語りかける。
「...ありがとう紗夜。其方のお陰で父上を斬らずに済んだ...もう安心して良い。僕が父上を此処で斬るようなことは二度と起こるまいよ」
源蔵の気遣いが届いたのか紗夜の身体の震えがスッと消えた。
彼女は源蔵の顔が敢えて視界に入らぬ位置に正座する。
「...兄様、承知しました。紗夜は此処におりますゆえ、どうぞ伝えなさりたいことを存分にお話くださいませ...」
「...心得た...」
先ほどまでの混乱していた状態と違い、源蔵はにわかに平常心を取り戻し、冷静な思考と判断が出来そうであり、父、韋駄地蔵之介に向かって落ち着いた調子で語り出す...
「父上、今しがた僕は貴方の命を奪おうとしました...これで貴方と同様の罪を背負ったことになります...」
「...もはや俺の言葉に信憑性などあろう筈はない。だがそれは違うぞ、源蔵。其方が取った行動の原因は全て、父である俺の不甲斐ないなさが産んだ所業によるもの...其方は罪など背負っておらぬ...」
蔵之介の心境もまた複雑であった。今や源蔵に刺客を向けたことを深く、深く後悔すると共に、己の存在価値など皆無なのではないかと考えているところへ、我が子が己と同様に堕ちてしまったようなことを口走るとは......蔵之介はこの後に及んでも、息子が罪の意識に囚われないようにしたかったのである...
その気持ちが伝わったのか否か定かでなかったけれど、源蔵は首を横に振ったあと話しを続けた...
「父上...長話をする暇はございませぬ。これから話すことをしかと肝に命じて下さい...まずは、僕は話し終えたら直ちに家を出てこの地を離れ、二度と家へ戻りませぬ...したらば、世間には僕が死んだと思わせるため刺客の屍を焼き土に埋め、僕の墓として造ってくだされ。さすれば一件落着となりましょう...そして父上は、これから一生懸命に家族を守って行くのです。もしも、僕の云ったことが果たせぬようであれば貴方を許さず、僕は貴方を亡き者にするためこの家へと戻りましょう...」
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