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第3話 芥藻屑との戦 ノ90
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自己の絶体絶命の窮地に取った選択肢により姿形は変貌したものの、十三歳である源蔵の変わらぬ精神年齢からすれば、途方も無い覚悟と、厳しく険しい自らの道を呈し、父親への懇願をも含めた家族を護るための言葉だった。
我が子の決意を悟った蔵之介はただ「委細、承知した」とだけ返し、源蔵の背後では、これが敬愛する兄との今生の別れであることを感じとった紗夜が、しくしくと大粒の涙を流して泣いていた。
「元気でな紗夜。さらばだ」
源蔵は妹の紗夜だけに短く別れを告げると、宣言通りその場から煙の如く消え去り、住み慣れた韋駄地家の屋敷から遠く離れたのだった。
「ヒュウヒュウ」と音を立てて吹く冷たい秋の夜風を浴びながら、行く宛の無い夜道を一度も振り向かずにひたすら前へ、前へと走り続ける韋駄地源蔵。
彼の目には悲しみの涙が浮かぶ...
と、外部からではなく、自身の内から契約を結んだ怪異である「鬼」が語りかけて来た。
鬼は源蔵と契約を結んだ時点で力を分け与え、今の今まで休眠状態に入り沈黙していたのである。
「源蔵、命を奪おうとした父親を殺さなかったようだが、本当にそれで良かったのか?」
鬼の存在を忘れていた源蔵が一瞬戸惑うも、走る脚を休めて応じる。
「...ああ、あれが最善の選択だった筈だ...だが万が一にも、父上が僕にした仕打ちを家族にするようなことがあったなら、その時には躊躇せず八つ裂きにしてやるさ...」
「...ほう、儂としてはそうなってくれた方が面白いが...多分お前はそんな結果なぞ望んではおらんだろうな」
「...勿論だ」
源蔵はたったこれだけの返事をするのに一間置いた。それが怪異との共存による精神的侵食の影響を受けた、源蔵にはほとんど無かった凶暴性の膨張の発端であったのだが、彼の頭の中は家族との決別と、この先どうやって生きていけば良いのか?という大きな不安により、考えて意識する余裕など微塵も無かった...
こうして、人々から神童と賞賛され、家族からも将来を期待され将来有望だった筈の少年は、不幸にも正体不明の病によって人生を大きく狂わされ、何もかもを失って尚、生きることへの希望を捨てず、やがて薩摩の地を北上し、島原の天草四郎との運命的な出会いを経たのち、内に潜む怪異たる「鬼」の侵食により圧倒的な戦闘力を得て凶暴な鬼武者となり、少年の頃の韋駄地源蔵が望むことは無かったであろう修羅の道を歩むこととなる...
鬼武者の痛烈かつ壮絶な物語は、片手間などでは到底語り尽くせぬであろう...
我が子の決意を悟った蔵之介はただ「委細、承知した」とだけ返し、源蔵の背後では、これが敬愛する兄との今生の別れであることを感じとった紗夜が、しくしくと大粒の涙を流して泣いていた。
「元気でな紗夜。さらばだ」
源蔵は妹の紗夜だけに短く別れを告げると、宣言通りその場から煙の如く消え去り、住み慣れた韋駄地家の屋敷から遠く離れたのだった。
「ヒュウヒュウ」と音を立てて吹く冷たい秋の夜風を浴びながら、行く宛の無い夜道を一度も振り向かずにひたすら前へ、前へと走り続ける韋駄地源蔵。
彼の目には悲しみの涙が浮かぶ...
と、外部からではなく、自身の内から契約を結んだ怪異である「鬼」が語りかけて来た。
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「源蔵、命を奪おうとした父親を殺さなかったようだが、本当にそれで良かったのか?」
鬼の存在を忘れていた源蔵が一瞬戸惑うも、走る脚を休めて応じる。
「...ああ、あれが最善の選択だった筈だ...だが万が一にも、父上が僕にした仕打ちを家族にするようなことがあったなら、その時には躊躇せず八つ裂きにしてやるさ...」
「...ほう、儂としてはそうなってくれた方が面白いが...多分お前はそんな結果なぞ望んではおらんだろうな」
「...勿論だ」
源蔵はたったこれだけの返事をするのに一間置いた。それが怪異との共存による精神的侵食の影響を受けた、源蔵にはほとんど無かった凶暴性の膨張の発端であったのだが、彼の頭の中は家族との決別と、この先どうやって生きていけば良いのか?という大きな不安により、考えて意識する余裕など微塵も無かった...
こうして、人々から神童と賞賛され、家族からも将来を期待され将来有望だった筈の少年は、不幸にも正体不明の病によって人生を大きく狂わされ、何もかもを失って尚、生きることへの希望を捨てず、やがて薩摩の地を北上し、島原の天草四郎との運命的な出会いを経たのち、内に潜む怪異たる「鬼」の侵食により圧倒的な戦闘力を得て凶暴な鬼武者となり、少年の頃の韋駄地源蔵が望むことは無かったであろう修羅の道を歩むこととなる...
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