カレーの王さま

流川おるたな

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カレーの王さま

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 あるところに、すべての人たちがカレーしかたべないカレーのくにがありました。

 もちろん、カレーのくにの王さまや女王さまもカレーしかたべません。

 カレーの王さまがよるのカレーをたべながらいいます。

「しろのりょうり人がつくるカレーはいつたべてもおいしいな」

 となりでカレーをたべている女王さまもいいます。

「ほんとう、おいしくてたまらないわね」

 まい日まい日、一日三しょくカレーだけをたべていたのでした。

 そんなある日のこと、いつものようにカレーをたべていた王さまがいいます。

「しろのりょうり人がつくるカレーもおいしいのだが、もっとおいしいカレーをたべてみたいものだ」

 それをきいた女王さまがいいます。

「しろのりょうり人がつくるカレーより、おいしいカレーをつくったものには、ほうびをあたえるといって人をあつめてはどうでしょう」

 王さまは女王さまのいったことをすぐにおこないました。

 つぎのひ、おしろにはカレーづくりのうでじまんが、ひゃく人あつまってカレーをつくりました。

 できあがったひゃくさらのカレーを、王さまと女王さまがすこしずつたべてあじみをします。

 ざんねんなことに、しろのりょうり人がつくるカレーよりおいしいカレーはありませんでした。

 おちこんでいる王さまのもとに、とつぜんおとこのたび人があらわれていいました。

「王さま、こちらのシチューをたべていただけないでしょうか」 

 王さまがすこしおこったようなかおでたびびとにいいます。

「シチューはカレーよりおいしくないではないか。そんなものをたべるひつようはない!」

 でも、たびびとはひきさがりません。

「だまされたとおもって一口だけたべてみてください」

 たびびとのねっしんないいかたに、王さまは一口だけたべてみました。

「な、なんとおいしいのだ!このシチューはなにかとくべつなものでも入れているのか?」

 たびびとはわらいながらこたえます。

「いいえ、このシチューはふつうのシチューです。こんどはさいごにあじみをしたカレーをたべてみてください」

 王さまはたびびとのいうとおりにたべてみました。

「なんと!さっきよりこのカレーがおいしくかんじるぞ。なんでだ?」

 たびびとはまんぞくしたようなかおでこたえます。

「たしかにカレーはおいしいりょうりですが、ときにはべつのりょうりを口にすると、よりおしくかんじられることもあるのです」

 なるほど!とおもったおうさまはえがおになっていいました。

「カレーのおいしいたべかたをかんがえたこのものにほうびをあたえることにする」

 たびびとはたくさんのきんかやほうせきをもらうと、うれしそうにおしろをさっていきました。

 それからというもの、カレーのくにのすべての人たちは、カレーをたべるだけでなく、ときにはほかのりょうりもたべるようになったということです。
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