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序章
12話目 爆音
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男が振り返り環奈と目がかち合うも、何も言わずそのまま下へ飛び降り姿を消した。
環奈は何もできなかった自分への苛立ちを抑え、倒れて動かない雇い主の元へ駆け寄り安否を確かめる。
「くっ...」
悲惨な外観からしても雇い主の死は明らかだったが呼吸と脈まで確認した環奈はガックリと肩を落とした。
と突然、左耳に付けているイヤホンからプロメテウスの声が聴こえる。
「環奈様、落胆している暇はございません。要様の身体を1分以内に地下シェルターへ運んでください」
昨今、金持ちの屋敷には地下シェルターが増設されるケースが増えている。この古い桐生家の屋敷にも要の考えで数年前にかなりの金をかけて地下シェルターを増設していた。
だが、環奈と黒川に暮井冬春を含めた三人はその存在こそ知っていたが、「どうしようもない緊急時だけ使用を許可する」と主人の桐生要に言われていたため、未だかつてシェルターに入ったことは一度もなかった。
プロメテウスの言葉に「ハッ」とした環奈が雇い主の身体を抱えようとすると。
「環奈さん、私に任せてください」
不意に現れたのは手榴弾の爆発からギリギリのところで難を逃れた黒川だった。
侵入者達が急に撤退し居なくなったのを見計らい、階段が破壊されていたため自力で二階へと這い上がったのである。
両腕で桐生要を抱える神妙な面持ちの黒川に涙の溢れそうな環奈が告げる。
「宗ちゃん、要様が死んじゃった」
「そのようですね。ですが今は悲しんでいる場合ではありません。とにかく地下シェルターへ急ぎましょう」
黒川はそう言うと動かなくなった主人の身体を大事そうに抱えまま、とても70歳を超える人間とは思えぬ動作で無くなった階段の端から一階へ飛び降り、そのまま室内倉庫にある地下シェルター入口を目指して廊下を駆け出した。
室内倉庫に隠された地下シェルターへの入口には書物がどっさりと置かれている。
環奈は黒川が直ぐに入口へ入れるようにするため、持ち前の俊足で黒川を抜き去り、どっさりと積み重なった分厚い書物を荒々しくブンブンと放り投げた。
室内倉庫に到着した黒川に環奈急きたてる。
「宗ちゃん早く早く!」
「これはありがたい!」
黒川が地下シェルターへと続く階段に足を一歩踏み入れた瞬間!
「ドンッ!ドドドンッ!」
凄まじい爆音が二人の耳に響いた!
これは20人ほどいた侵入者達のうち、半数が別行動で屋敷の壁中に幾つものC4爆弾を仕掛け、安全圏まで撤退した侵入者が起爆スイッチを押して作動したための爆音であった。
爆音は数秒に渡って鳴り響き、伝統ある桐生家の屋敷は桐生要を殺した男が言った通りの姿となってしまったものである。
またもや危機一髪で命の危険を回避できた環奈と黒川の二人は、地下シェルターへ辿り着き疲弊と安堵が入り混じった表情を浮かべたのだった...
環奈は何もできなかった自分への苛立ちを抑え、倒れて動かない雇い主の元へ駆け寄り安否を確かめる。
「くっ...」
悲惨な外観からしても雇い主の死は明らかだったが呼吸と脈まで確認した環奈はガックリと肩を落とした。
と突然、左耳に付けているイヤホンからプロメテウスの声が聴こえる。
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プロメテウスの言葉に「ハッ」とした環奈が雇い主の身体を抱えようとすると。
「環奈さん、私に任せてください」
不意に現れたのは手榴弾の爆発からギリギリのところで難を逃れた黒川だった。
侵入者達が急に撤退し居なくなったのを見計らい、階段が破壊されていたため自力で二階へと這い上がったのである。
両腕で桐生要を抱える神妙な面持ちの黒川に涙の溢れそうな環奈が告げる。
「宗ちゃん、要様が死んじゃった」
「そのようですね。ですが今は悲しんでいる場合ではありません。とにかく地下シェルターへ急ぎましょう」
黒川はそう言うと動かなくなった主人の身体を大事そうに抱えまま、とても70歳を超える人間とは思えぬ動作で無くなった階段の端から一階へ飛び降り、そのまま室内倉庫にある地下シェルター入口を目指して廊下を駆け出した。
室内倉庫に隠された地下シェルターへの入口には書物がどっさりと置かれている。
環奈は黒川が直ぐに入口へ入れるようにするため、持ち前の俊足で黒川を抜き去り、どっさりと積み重なった分厚い書物を荒々しくブンブンと放り投げた。
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「宗ちゃん早く早く!」
「これはありがたい!」
黒川が地下シェルターへと続く階段に足を一歩踏み入れた瞬間!
「ドンッ!ドドドンッ!」
凄まじい爆音が二人の耳に響いた!
これは20人ほどいた侵入者達のうち、半数が別行動で屋敷の壁中に幾つものC4爆弾を仕掛け、安全圏まで撤退した侵入者が起爆スイッチを押して作動したための爆音であった。
爆音は数秒に渡って鳴り響き、伝統ある桐生家の屋敷は桐生要を殺した男が言った通りの姿となってしまったものである。
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