やしあか動物園の妖しい日常 第一部

流川おるたな

文字の大きさ
33 / 93

秘密の場所

しおりを挟む
 それにしても、あまり進捗しないブログの計画は時間が勿体ない気がする。
 何か別の仕事はないだろうか...試しに訊いてみよう。

「久慈さん、ホームページの更新は終わっているので、わたしでもやれそうな仕事があれば回してください」

「お、丁度良かった。これをお願いしようと思っていたんだよ」

 どうやらタイミングが良かったようで、久慈さんが資料の束をわたしのデスクに置いた。

「この資料を5枚で1部として30部作ってくれないかな?ホッチキスはデスクの引き出しに入ってると思う」

「了解です!え~っとホッチキスはデスクの引き出しに...あっ!ありました」

 言われた通り資料をホッチキスで止めて作成して行く。
 単純作業はあまり頭を使わなく済むからたまには良いなぁ、あれ!?服装はおもいっきり作業服だけれど、事務作業はOLのやってる事と変わりないんじゃない?などと想いながらやっていると直ぐに片付いてしまった。

「久慈さん、終わっちゃいました~」

「えっ!?もう終わったの?なかなか手際が良いねぇ。じゃあこれもお願いしちゃうかな」

 こんな感じで事務作業を進めていると、やしあか動物の閉園時間になった。
 
 本日最後の給餌をするために担当の動物コーナーへ向かう。

「今夜の歓迎会は7時にやしあか食堂だから、給餌を済ませたらやしあか温泉に行ってさっぱりしよう」

 昨日、事務所で久慈さんに着替えを持って来るように言われていた。
 事務所の何処かにシャワーでもあるのかな?とばかり思っていたのだけれど...

「園内に温泉があるんですか?」

「あるよ~、一般人では絶対に分からない秘密の場所に。そこは人間に化けられる妖怪達の寮と、やしあか温泉が並んで建てらているんだ」

 そう言えば、やしあか動物園で人間の姿をしている妖怪達が、どんな所で寝泊まりしているのか気にはなっていた。

「そこって秘密の場所なんですよね?わたしと久慈さんだけで行って大丈夫なんですか?」

「ああ、大丈夫!園長に許可は取ってあるし、僕は何度も利用してるからね。因みに混浴じゃ無いから安心して良いよ」

「そ、そうなんですね...」

 混浴だったら流石に無理でした。
 そこはクリア出来たとして、妖怪達の使用する温泉は大丈夫なのだろうか?今はおどろおどろしいイメージしか湧かない。

 わたしの顔が物語っていたのか、久慈さんが笑顔でフォローする。

「そんな心配そうな顔をしなくても大丈夫だよ。やしあか温泉の中を見たらきっと喜んで貰えるはずだから」

「分かりました。その言葉を信じて楽しみにしておきます」

 まだ不安は残っていたけれど、取り敢えず自分を納得させる意味も含めてそう言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...