やしあか動物園の妖しい日常 第一部

流川おるたな

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大満足のご馳走様

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「あの塩って、この食堂で出してる物ですよね?」

「たぶんそうだと思うよ。ずっと置いてあるから良くは知らないけれど」

 ここの塩であれば味に問題は無いだろう。席を立ち塩を取りに行って戻り、肉一切れのソースのかかっていない部分にササっとかけた。
 フフフ、どんな味かな...
 塩だけかかった部分を切り離し、ヒョイッと口に入れた。
 こ、これは!?トンカツソースの強い主張とは違い、塩が脇役となって肉本来の味を引き立てている。美味し!

「ご馳走様~」

 食べ方を変えてロースカツを楽しむわたしを尻目に、あっさりと完食する久慈さん。
 恐らくこのパターンはこれからずっと続くのだろう。
 久慈さんがスマホを取り出しいじり出したので、放って置いて食事を楽しむことに集中した。

 最後に味噌汁を啜って完食!

「ご馳走様~!今日も幸せでした~」

 いやぁ、満足満腹。

「食事をするだけで幸せな気持ちになれるって何か良いよね」

「えっ!?早く食べ終わってしまう久慈さんにもそんな感情が湧くんですか?」

「ハハハ、僕の場合は料理が美味しいとついついかき込んじゃうんだ。早く食べ終わって淡白に見えるかも知れないけれど、実はこんな料理を食べられて幸せだな~って思ってるよ」

 これはこれは久慈さんの意外な告白を頂きました。

 食後も暫く同じ部屋で休憩を取り、午後一の仕事は昨日と同じという事で、二人で担当コーナーへ歩いて向かう。

「黒川さん、この時間帯に行うお客さんへの説明は、ゆっくりと覚えれば良いからね」

「ありがとうございます!暫くは後ろで勉強させてもらいますね」

 久慈さんがそう言ってくれるのは本当に助かった。
 しっかりした知識を備えないと、お客さんへの説明はきっと出来ないだろう。もし質問なんかされたら、今のわたしの知識量ではあたふたしてしまうのが目に見えている。

 久慈さんの説明は分かりやすくスムーズで、頷きながら真剣に聞くお客さんが多かった。中には説明の途中で居なくなってしまうお客さんも居たけれど、「それは僕の努力不足だから仕方がないよ」などと殊勝な事を言う姿は格好良いと想う。ま、まぁ、ちょっとだけど。

 1時間ほど経過して事務所に戻り事務作業を行う。
 わたしは午前中にしていたホームページ更新の続きに取り組む。
 と言っても動物の新しい画像や説明文の更新は済ませたので、ブログの内容ををどうするか計画を立てている段階だ。

 いっそのこと、久慈さんが最初に言った「新人飼育員の奮闘記」をタイトルにしてしまおうかと考えたけれど、折角自由度の高い仕事を与えられたのだから、もう少しおもしろ味があるものにしよう...
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