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林の中の結界
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「黒川さん良ければなんだけど、これからはあだ名で紗理っちと呼んでも良いかな?」
わたしは家族や友人からは「サリ」というあだ名で呼ばれている。
「サリ」より、「紗理っち」の方が可愛いかも?…
「もちろん構いませんよ。何だか可愛らしく聴こえるし」
「決まりだね。僕の事も『久慈っち』と呼んでくれて良いよ」
「それは無理です。すみません」
あ、まずい...反射的に即答で否定してしまった。
「そ、そう…」
久慈さんが残念そうにしているけれど、現段階で先輩をあだ名で呼ぶには抵抗がありすぎる。
悪いと想ったので事務所へ戻る途中にフォローしておいた。
程なく事務所に着き、ロッカールームで私服に着替えタイムカードを押す。
「久慈さん、準備オッケーです!」
「じゃあ、やしあか温泉に行きますか。場所はやしあか食堂の裏だよ」
「えっ!?やしあか食堂の裏側って確か木の立ち並ぶ林になっていますよね。確か立入禁止の看板があって、鉄のチェーンが張られていたような…」
「とにかく行ってから説明するよ。さ、行こう」
やしあか食堂に着き建物の裏手に回る。
思っていた通り改めて見ても草木の生い茂る林になっていて、木に巻きつけられた鉄のチェーンが横に張られ、「立入禁止」の看板が掲げられていた。
「この林の奥にやしあか寮とやしあか温泉があるんだ」
「林の奥は暗くて何も見えませんね。何だか不気味な雰囲気がします」
「ハハハ、大丈夫だよ。このチェーンをくぐって先に進もう」
「は、はい」
夕陽が僅かに残っていたけれど、林の中には光があまり通らず薄暗くなっていて少し怖い。
林に入って30mほど進むと久慈さんがピタッと足を止めた。
「紗理っち、ここに来て掌をゆっくり前に突き出してみて」
わたしは久慈さんの背後から左横に移動する。
「こう、ですか?」
「そう、ゆっくりね」
言われた通りにやると…
「っと!?」
腕を伸ばし切る前に、わたしの掌が目に見えない何かに触れた。
「触れたみたいだね。それは透明な結界の壁だよ。誤って一般人がこの林に入ったとしても、この先には行けないようになっているんだ」
結構厳重にしているんだなと感心する。
「でも、この結界をどうやって通るんですか?」
「合言葉のようなものがあって、ある言葉を発すると数秒のあいだだけ結界の壁を通る事が出来るようになっている」
「合言葉…」
「簡単だから覚えてね。じゃあやるよ。やしあかあやかしあやしいな!」
久慈さんが言った直後に「ヴン!」と音がして目の前の空間が歪んで見える。
「今だ!前に進んで!」
「あ、はい!」
見えない壁は無くなり何事も無く前に進めた。
わたしは家族や友人からは「サリ」というあだ名で呼ばれている。
「サリ」より、「紗理っち」の方が可愛いかも?…
「もちろん構いませんよ。何だか可愛らしく聴こえるし」
「決まりだね。僕の事も『久慈っち』と呼んでくれて良いよ」
「それは無理です。すみません」
あ、まずい...反射的に即答で否定してしまった。
「そ、そう…」
久慈さんが残念そうにしているけれど、現段階で先輩をあだ名で呼ぶには抵抗がありすぎる。
悪いと想ったので事務所へ戻る途中にフォローしておいた。
程なく事務所に着き、ロッカールームで私服に着替えタイムカードを押す。
「久慈さん、準備オッケーです!」
「じゃあ、やしあか温泉に行きますか。場所はやしあか食堂の裏だよ」
「えっ!?やしあか食堂の裏側って確か木の立ち並ぶ林になっていますよね。確か立入禁止の看板があって、鉄のチェーンが張られていたような…」
「とにかく行ってから説明するよ。さ、行こう」
やしあか食堂に着き建物の裏手に回る。
思っていた通り改めて見ても草木の生い茂る林になっていて、木に巻きつけられた鉄のチェーンが横に張られ、「立入禁止」の看板が掲げられていた。
「この林の奥にやしあか寮とやしあか温泉があるんだ」
「林の奥は暗くて何も見えませんね。何だか不気味な雰囲気がします」
「ハハハ、大丈夫だよ。このチェーンをくぐって先に進もう」
「は、はい」
夕陽が僅かに残っていたけれど、林の中には光があまり通らず薄暗くなっていて少し怖い。
林に入って30mほど進むと久慈さんがピタッと足を止めた。
「紗理っち、ここに来て掌をゆっくり前に突き出してみて」
わたしは久慈さんの背後から左横に移動する。
「こう、ですか?」
「そう、ゆっくりね」
言われた通りにやると…
「っと!?」
腕を伸ばし切る前に、わたしの掌が目に見えない何かに触れた。
「触れたみたいだね。それは透明な結界の壁だよ。誤って一般人がこの林に入ったとしても、この先には行けないようになっているんだ」
結構厳重にしているんだなと感心する。
「でも、この結界をどうやって通るんですか?」
「合言葉のようなものがあって、ある言葉を発すると数秒のあいだだけ結界の壁を通る事が出来るようになっている」
「合言葉…」
「簡単だから覚えてね。じゃあやるよ。やしあかあやかしあやしいな!」
久慈さんが言った直後に「ヴン!」と音がして目の前の空間が歪んで見える。
「今だ!前に進んで!」
「あ、はい!」
見えない壁は無くなり何事も無く前に進めた。
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