やしあか動物園の妖しい日常 第一部

流川おるたな

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天邪鬼(あまのじゃく)のアマノさん

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「ふぅ、ご馳走様~」

 今回も素晴らしい日替わり定食を心ゆくまで堪能させていただきました。

 食後のコーヒーが急に飲みたくなり、部屋に設置されたコーヒーメーカーで作ることにした。

「久慈さんもどうです?」

「お、ありがとう。じゃあ、お願いしようかな」

 二人分のコーヒーを入れてゆっくり飲んでいると、突然、久慈さんに一本の電話がかかって来た。

「はい、久慈です。...はい...いえ心当たりは無いです。何かわかったら連絡しますね。...失礼します」

 久慈さんが首を傾げながら電話切る。

「何かあったんですか?」

「ああ、うん。やしあか温泉とやしあか寮の掃除を担当している天邪鬼(あまのじゃく)のアマノさんという人が居るんだけど、その人が大事にしていた竹箒が無くなったって騒いでるらしいんだ」

 あ、まずい。今朝使ったあとに返すの忘れてた...

「それ、犯人はわたしです。遅刻しそうになってちょっと拝借しちゃいました」

「えっ!?そうなの?」

「はい、すみません...」

「あちゃ~。アマノさんはちょっと厄介な人だから、早く返さないとあとで悪戯されるかも知れないよ」

「わ、わかりました!事務所の壁に立て掛けてあるので、今から返しに行ってきます」

「僕も一緒に行って上げるから、その竹箒を取って来なよ。外に出て待ってる」

「ありがとうございます!すぐに取ってきますね」

 わたしは走って竹箒を取りに行く。

 まさか無くなったりしてないわよね...

 事務所に着き竹箒を置いた場所を見ると、今朝のままの状態でそこにあってするホッとする。

 竹箒を手に取り走ってやしあか食堂へ戻ると、久慈さんは約束通り待っていてくれた。

 やしあか食堂と事務所を往復して走ったので案の定息が切れしてしまう。

「はぁ、はぁ、すみません。竹箒を、はぁ、持って来ました」

「そんなに息切れしてて大丈夫?」

「だ、大丈夫です。はぁ、さ、行きましょう」

 こうして久慈さんと二人で林の中へ入って行った。

 わたしが竹箒を取りに行ってるあいだに久慈さんがリンさんに連絡して、リンさんがアマノさんに連絡してくれたらしい。

「それでアマノさんはどこで待ってくれてるんですか?」

「やしあか温泉の入り口付近で待ってるってリンさんが言ってたよ」

「悪いのはわたしなんですけど、やっぱり怒られちゃいますよね?」

「ハハハ、アマノさんは天邪鬼なだけに偏屈な人だけれど、そこまで怒られないと思うよ。とは今回ばかりは言い切れないな」

「そうなんですね...」

 「なんで返すのを忘れてしまったんだ。わたしの馬鹿ぁ!」、心の中で失念を悔やみ叫んだ。
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