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デレデレな父
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嗚呼、何と無情な条件なのだろうか...こんなことなら子供の頃に猫を飼っておけば良かった。
「そんなにへこまないでよサリ。わたしは『難しい』って言ったのよ。だから全然可能性が無い訳ではないの。昔のことだけれど、わたしの母、つまりあなたのお祖母ちゃんから例外がある話を聞いたことがあったわ」
例外...母は祖母からどんな話を聞いたのだろう。
「お母さんが聞いたお祖母ちゃんのその話を教えてよ~」
「...あぁ、え~と、ごめん。思い出せないわ。小さい頃に聞いた話で内容はあまり覚えていないの」
「そっかぁ...残念。でもいつかお祖母ちゃんと会った時に訊いてみるね」
さっきまで猫と話せるなんて思ってもいなかったし、少しでも可能性が残ったということで。
ふと気付くとラズの遊び相手は弟から父に代わっていて、父の戯れる様は溺愛する孫をあやすかのうようにデレデレだった。
こんな父からラズを取り上げてしまうことは残酷とさ言えるのではなかろうか?
しょうがないなぁ...
今夜はラズと猫じゃらしで遊ぶことを諦め、母とたわいも無い雑談をしたあとテレビの恋愛ドラマをボ~ッと観ながら時間を潰す。
ドラマが終わったところで父の方を見ると、猫じゃらしでのお戯れは終わったようで、父はラズを抱いて何やら話しかけていた。
そろそろ部屋に連れて行こうかな...
「お父さん、もう十分ラズと触れ合ったんじゃない?時間も時間だし、部屋に連れて行ってもう寝たいんだけど」
「お、おお。すまんすまん。ラズが可愛いもんだからついつい遊び過ぎてしまったみたいだな。ほれ、サリお姉ちゃんのところ行きなさい」
父はラズを床に下ろしてわたしの方に行くよう促した。
「ラズおいで~。わたしの部屋で一緒に寝るわよ~」
そう呼び掛けると「ニャー」と一鳴してわたし方へゆっくり歩み寄る。優しく手で抱きかかえウリウリ。これって人間同士のハグみたいなものだな。
弟は知らぬ間に部屋へ行ったようで、その場に残っていた両親に就寝前の挨拶をして自分の部屋に移動した。
部屋に入ってすぐにベッドの上にラズと一緒に寝転び話し掛ける。
「今日はたくさん遊べてもらえて良かったねぇラズ~。明日はわたしとも遊んでよね」
「ニャァ」
ん~、やっぱり「ニャァ」としか聴こえない。母は猫と会話をした事があると言っていたけれど、猫と話すって一体どんな感じなのだろう?
父の好奇心旺盛な性格を受け継いでいるのか、やはり気になって仕方がない。
「いつか君と話せる日が来るといいなぁ...」
ラズに話し掛けていると睡魔がやって来て、そのまま一緒に心地良い眠りについたのだった。
「そんなにへこまないでよサリ。わたしは『難しい』って言ったのよ。だから全然可能性が無い訳ではないの。昔のことだけれど、わたしの母、つまりあなたのお祖母ちゃんから例外がある話を聞いたことがあったわ」
例外...母は祖母からどんな話を聞いたのだろう。
「お母さんが聞いたお祖母ちゃんのその話を教えてよ~」
「...あぁ、え~と、ごめん。思い出せないわ。小さい頃に聞いた話で内容はあまり覚えていないの」
「そっかぁ...残念。でもいつかお祖母ちゃんと会った時に訊いてみるね」
さっきまで猫と話せるなんて思ってもいなかったし、少しでも可能性が残ったということで。
ふと気付くとラズの遊び相手は弟から父に代わっていて、父の戯れる様は溺愛する孫をあやすかのうようにデレデレだった。
こんな父からラズを取り上げてしまうことは残酷とさ言えるのではなかろうか?
しょうがないなぁ...
今夜はラズと猫じゃらしで遊ぶことを諦め、母とたわいも無い雑談をしたあとテレビの恋愛ドラマをボ~ッと観ながら時間を潰す。
ドラマが終わったところで父の方を見ると、猫じゃらしでのお戯れは終わったようで、父はラズを抱いて何やら話しかけていた。
そろそろ部屋に連れて行こうかな...
「お父さん、もう十分ラズと触れ合ったんじゃない?時間も時間だし、部屋に連れて行ってもう寝たいんだけど」
「お、おお。すまんすまん。ラズが可愛いもんだからついつい遊び過ぎてしまったみたいだな。ほれ、サリお姉ちゃんのところ行きなさい」
父はラズを床に下ろしてわたしの方に行くよう促した。
「ラズおいで~。わたしの部屋で一緒に寝るわよ~」
そう呼び掛けると「ニャー」と一鳴してわたし方へゆっくり歩み寄る。優しく手で抱きかかえウリウリ。これって人間同士のハグみたいなものだな。
弟は知らぬ間に部屋へ行ったようで、その場に残っていた両親に就寝前の挨拶をして自分の部屋に移動した。
部屋に入ってすぐにベッドの上にラズと一緒に寝転び話し掛ける。
「今日はたくさん遊べてもらえて良かったねぇラズ~。明日はわたしとも遊んでよね」
「ニャァ」
ん~、やっぱり「ニャァ」としか聴こえない。母は猫と会話をした事があると言っていたけれど、猫と話すって一体どんな感じなのだろう?
父の好奇心旺盛な性格を受け継いでいるのか、やはり気になって仕方がない。
「いつか君と話せる日が来るといいなぁ...」
ラズに話し掛けていると睡魔がやって来て、そのまま一緒に心地良い眠りについたのだった。
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