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ノ26 何処からか
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彼の「久しく見ていない可愛い娘」という言葉に過剰反応を示すお銀、禍々しい気を放ちながら「キッ!」と九兵衛を睨みつける。
主の仙花に関してだけは寛容なお銀であったけれど、どちらかというと完璧主義な彼女は、うっかり九兵衛の言動などには必要以上の反応を示してしまうのである。
が、見た者を石にしてしまうのでは?などと感じさせる恐ろしいお銀の眼差しは、腹ペコで串団子を前にした有頂天状態の九兵衛には無意味であったようで...
「うひょ~!!絶品!大絶品串団子でやんすね~♪」
デレデレ顔でさも嬉しげに次々と食べる九兵衛であった。
青い空には白い雲が幾つも並びんで浮かび、地理的にも高い峠から見下ろす景色も美しく、仙花一味の全員がたいそう美味な串団子を食べ終えお茶を啜っていると、串団子を運んでくれた若い娘が皿を引き揚げに現れお盆に乗せ始めた。
その様子を眺めていたお銀がものは試しにとダメ元で訊く。
「娘さん。ちと可笑しなことを訊いて申し訳ないのだけれどぉ、出雲国で仙人なんて者の噂を耳にしたことはないかい?」
お銀の急な問いに皿を片付ける手を休め、振り返った娘が訝しげな表情をして口を開く。
「仙人、ですかぁ?う~ん、御伽話か何かで聴いたことはありますけれどぉ...実際に見たって人の話は記憶にないかもですねぇ...お役に立てず申し訳ございません」
「で、あろうなぁ...あ、気にせんでくれ。変なことを訊いたのはこちらの方なのだから...」
「儂ぁ、知っとるぞいぃ...」
「ん!?」
「なっ!?」
何処からかしゃがれた老婆の声が突然聴こえ、その場の全員が辺りをキョロキョロと見渡すも、老婆の姿など何処にも
見当たらない...
「くっくっくっ、お主ら、何処を見ておるのじゃぁ...儂ぁ此処におる。もっと根を詰めてさがさんかぁいぃ...」
またもや何処らともなく老婆の声が聴こえ、仙花達がややムキになって再度探すも見当たらない...
と、此処で雪舟丸が何故か黙ったまま刀を抜き放ち、仙花達の居る長椅子の方へつかつかと歩いて近づき、刀の切っ先を長椅子の下へ向けて言う。
「婆さん、悪いことは言わぬ。三つ数えるうちにそこから出て来ることをお勧めする...さもないと、この刀が老体を突き抜けてしまうことになるぞ...」
仙花を始め、他の者達も驚いた顔で長椅子から距離を取り、刀を突き付けられた長椅子の下部へ注目する。
「ひと~つ」
雪舟丸がゆっくりと一つ目を数えると...
主の仙花に関してだけは寛容なお銀であったけれど、どちらかというと完璧主義な彼女は、うっかり九兵衛の言動などには必要以上の反応を示してしまうのである。
が、見た者を石にしてしまうのでは?などと感じさせる恐ろしいお銀の眼差しは、腹ペコで串団子を前にした有頂天状態の九兵衛には無意味であったようで...
「うひょ~!!絶品!大絶品串団子でやんすね~♪」
デレデレ顔でさも嬉しげに次々と食べる九兵衛であった。
青い空には白い雲が幾つも並びんで浮かび、地理的にも高い峠から見下ろす景色も美しく、仙花一味の全員がたいそう美味な串団子を食べ終えお茶を啜っていると、串団子を運んでくれた若い娘が皿を引き揚げに現れお盆に乗せ始めた。
その様子を眺めていたお銀がものは試しにとダメ元で訊く。
「娘さん。ちと可笑しなことを訊いて申し訳ないのだけれどぉ、出雲国で仙人なんて者の噂を耳にしたことはないかい?」
お銀の急な問いに皿を片付ける手を休め、振り返った娘が訝しげな表情をして口を開く。
「仙人、ですかぁ?う~ん、御伽話か何かで聴いたことはありますけれどぉ...実際に見たって人の話は記憶にないかもですねぇ...お役に立てず申し訳ございません」
「で、あろうなぁ...あ、気にせんでくれ。変なことを訊いたのはこちらの方なのだから...」
「儂ぁ、知っとるぞいぃ...」
「ん!?」
「なっ!?」
何処からかしゃがれた老婆の声が突然聴こえ、その場の全員が辺りをキョロキョロと見渡すも、老婆の姿など何処にも
見当たらない...
「くっくっくっ、お主ら、何処を見ておるのじゃぁ...儂ぁ此処におる。もっと根を詰めてさがさんかぁいぃ...」
またもや何処らともなく老婆の声が聴こえ、仙花達がややムキになって再度探すも見当たらない...
と、此処で雪舟丸が何故か黙ったまま刀を抜き放ち、仙花達の居る長椅子の方へつかつかと歩いて近づき、刀の切っ先を長椅子の下へ向けて言う。
「婆さん、悪いことは言わぬ。三つ数えるうちにそこから出て来ることをお勧めする...さもないと、この刀が老体を突き抜けてしまうことになるぞ...」
仙花を始め、他の者達も驚いた顔で長椅子から距離を取り、刀を突き付けられた長椅子の下部へ注目する。
「ひと~つ」
雪舟丸がゆっくりと一つ目を数えると...
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