ちっぽけねずみとしょーと、しょーと

紅色とかげ

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ねず乃とさびしがりおばけ

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ねず乃とさびしがりおばけ



ねずは元気いっぱいの女の子!
今日もなかよくお友だちとかくれんぼをしています。
こんどはねず乃がかくれる番。
お友だちに見つからないようにかくれなくちゃ。
ねず乃は木のふもとにぽっかりあいた穴を見つけます。
真っ暗でよく見えません。
ぜったいにここなら見つからない!
ねず乃は思いっきり飛びこみました。
ずさささ、と音を立ておくへおくへと落ちていきます。
やがてお友だちがねず乃を探しにやってくる音がひびきました。


お友だちはねず乃が穴の中にいることを知らずに、通りすぎていきました。
ねず乃はうまくかくれられたと大喜び。
しかしいつまでたっても見つけにきてくれません。
不安に思ったねず乃は穴から出ようと思いました。
しかし、深い深い穴に落ちてしまったのでしょう。
お空が遠くにあるのを、ねず乃はただぼうぜんと見つめていました。


お空は朱い夕焼け雲へと変わりました。
そろそろ帰らないと家族にまた怒られてしまいます。
もっと早く帰ってきなさい!
ねず乃はいつも門限を破ってしまうのです。
どうしようと目線を落としたその時、後ろから物音がしました。
ころん。
ねず乃はびっくりしてこしをぬかしました。後ろをふり向くことができません。
もしかしたら、ここはお化けのすみかだったのかも。
お化けはまた、物音を立てました。
ころん。
ねず乃はぶるぶるとふるえだしました。お母さん、お父さん助けにきて。
ころんころん。
ねず乃は勇気を出して、ふり向いてみようと思いました。
ころん。
お化けの正体は。


そこにいたのは、ねず乃と同じくらいのせたけをしたしまりすでした。
ころんころんという音は両手いっぱいに抱えているどんぐりを落としていた音だったのです。
なぜそこにいるのとねず乃は聞きました。
ここはぼくの家だよお客様。
しまりすはそう言ってどんぐりを手わたしてくれました。
明日、地上に送ってあげる。今日はもうおそいからとまっていってよ。
ねず乃としまりすはおとまり会をすることになりました。
いっぱい話をしました。
いっぱい遊びました。
夜はあっという間にふけてしまいました。


次の日、しまりすはねず乃を地上まで送ってくれました。
また遊びに来るねと指切りげんまんをしようとすると、しまりすは手を払いました。
僕を見つけてくれてありがとう。お友だちになってくれてありがとう。
だれにも話しかけてもらったことがなかったからうれしかったんだ。
さびしいけど、さようなら。
いつか僕のことをわすれてね。
最後の言葉を聞いたとき、一番のお友だちのねず美が泣きそうな顔をしてこちらに駆けてくるのが見えました。
どうして昨日いなくなったのと抱きつかれます。
ねず乃はしまりすに手をふってお別れをしました。
みんみんぜみの声がうるさいほどに鳴りひびいていました。



数日後、ねず乃はねず美を連れてしまりすの家に遊びに行きました。
しまりすの穴は、どこにいってもなんどさがしても、見つかることはありませんでした。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.05 花雨

ほっこりする作品ですね♪♪
ねず助 笑 他の作品も気になったのでお気に入り登録しました。ありがとうございます(^^)♪

2021.08.05 紅色とかげ

読んでいただきありがとうございます(*´ω`*)
これからもねず助や他のねずみたちが出てきますが仲良くしてあげてください♪

解除

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