女装令嬢奮闘記

小鳥 あめ

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好敵手の条件 ①

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 グラデウス曰く、昨日は騎士学校時代からの友人と会っていた、その友人は医療魔術師であったので、一晩呪いを治める治療をして貰い、今朝薬も貰って帰って来たとのこと。


いやいや、いやいや。


突っ込みたいのを抑えつつ、そんな苦しい言い訳を笑顔を張り付けたまま、最後まで聞いてやった僕を誰か褒めて欲しい、切実に。


そして僕は完璧に貴族の淑女スタイルで身を固め、教会の前に馬車で訪れている。馬を引くのは執事のカールさんだ、最近ワルツ家の使用人も大分僕の行動に馴れてきたと見える。良いことだね。


「嬢ちゃん、これからどうするんで?」
 
 僕の武器を預かって、背後に控えているハンスが問いかける。


 もちろん、討ち入りじゃぁ!


「教会燃やすんですか?」


いや、それは最後の最後。
まずは話し合い(物理)しないとでしょ。


女性の姿なら、そこまで手ひどくされないだろうと踏んで態々、重いドレスに身を包んできたんだからね。


まぁ、向こうが暴力奮って来たら、殴られた姿で町に逃げてこの教会の存続と、神父の社会性の抹殺しようとか考えてないですよ。ほんとほんと。


 だってさ、グラデウスの言い訳まじ無いわって感じなんだもん。騎士学校からの友人とか言ってたけど、友人が治療で口づけをしたり、下半身弄ったりするんですかね。それなら言い訳しない方がましだったな。


 まぁ、彼は誠実だから完全な嘘は付けないんだろうけれど、こちとら一応婚約者なんだからそういう配慮は欲しい訳で、そうなったら相手に言い分を聞くしかないということになる。


はぐらされる可能性も無くわないけど、面と向かって話してみないと分からないことは沢山あるからね。


 そういう訳で、護衛を従い、僕は教会の扉を開いた。


 ステンドグラスから優しい光が降り注ぐ教会の礼拝室、赤い絨毯のその先にある祭壇に、目的の人物は本を持ってゆったりと寄りかかっていた。


昨夜とは違い、桃色の巻き毛を緩やかに三つ編みにした青年は、黒い神父服の上に真っ白のローブを羽織っている。


何の気負いもないその表情、やっぱり僕が来るの分かっていたな。


「ごきげんよう、お嬢様。礼拝をお望みかしら?それとも懺悔?」
「どちらでもありませんわ、ごきげんよう。わたくしの婚約者の友人の方。昨夜はグラデウスがお世話になったようでしたので。お礼をしにまいりましたの。」
「それはご丁寧に。」


 巻き毛男はニコリと笑うと、頬に手を当てて。「護衛一人で来るなんて、お転婆さんなのねぇ。」困ったように言った。


「貴方が呼んだのではありませんか。」


夢の中で。


あれは、唯の夢ではなく、魔術を介したモノのはずだ。


「まぁ、確かに夢渡りで脅したことは確かだけれど。」


ちょっと思っていたのと、違った結果になったわね。


物珍しそうなその視線を、鉄の扇を広げて遮る。


「夢で脅せば、怖がって泣きわめいてくれると思ったのにぃ」


残念僕は泣き寝入りするような、令嬢では無いのだ。
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