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ファルジオン邸
数日かけて王都へとやってきた。
ここに来るのも久しぶりだけど、なんだか不安だ。
ロージア家の人たちと顔を合わせたりしないだろうか……
「大丈夫だよ、レイナ。この客車に乗っている限りは外から見えないし」
私の不安を読んだようにそう告げるフィリエル殿下。
「すみません、ご心配をおかけして」
「気にすることはない。君の立場からすれば無理もないよ」
「……はい」
優しいフィリエル殿下の言葉に安堵させられる。
少し落ち着いたところで、私は今さらな質問をフィリエル殿下にしてみた。
「それでフィリエル殿下、私に会ってほしい人というのはどなたですか?」
「それなんだけど……先に別の場所に寄っていいかな?」
「え?」
「実はレイナが王都に来るならどうしても会わせろと言って聞かない人がいてね。先にそちらに寄りたい。あ、もちろんレイナに危害を加えるような人じゃないから心配いらないよ」
私に会いたい人が他にもいるようだ。
どのみち私はフィリエル殿下に従ってここにいる身だし、今さら行き先が一つ増えたところで問題ない。
「わかりました」
「助かるよ。これで断られたら僕が痛い目を見るところだった……」
フィリエル殿下が力なく笑う。
このリアクションは……
あ、なんとなく行き先がわかった気がする。
馬車が向かったのは王都の中心、貴族街に位置する大きな屋敷だった。
華やかな庭園が特徴的で、そこに限れば王城すら超えると評判の場所である。
馬車が庭園に入っていくと、屋敷の扉から一人の女性が現れる。
赤い髪を豪奢にロールさせた美女だ。
恐れ多くもフィリエル殿下にエスコートされつつ馬車を降りる。
すると待ち構えていた赤髪の美女が私にいきなり抱き着いてきた。
「会いたかったわ! 私の可愛いレイナ!」
「ちょっ、ミリネア様!? いきなり抱き着かれては危ないですよ!」
「仕方ないじゃない! 会うのがもう何年振り? ってくらい久しぶりなんだもの! テンションも上がるわよ!」
「相変わらずだねミリネアは……」
疲れたように言うフィリエル殿下。
私に抱き着いている女性の名前はミリネア・ファルジオン。
王国きっての有力貴族、ファルジオン公爵家の長女だ。
年齢は私やフィリエル殿下と同じ十八で、フィリエル殿下と同じく、学院時代の友人でもある。在学中はよくこの三人で過ごしていた。
ちなみに、ランジスの妹に奪われたドレスを贈ってくれたのがこのミリネア様だ。
ここに来るのも久しぶりだけど、なんだか不安だ。
ロージア家の人たちと顔を合わせたりしないだろうか……
「大丈夫だよ、レイナ。この客車に乗っている限りは外から見えないし」
私の不安を読んだようにそう告げるフィリエル殿下。
「すみません、ご心配をおかけして」
「気にすることはない。君の立場からすれば無理もないよ」
「……はい」
優しいフィリエル殿下の言葉に安堵させられる。
少し落ち着いたところで、私は今さらな質問をフィリエル殿下にしてみた。
「それでフィリエル殿下、私に会ってほしい人というのはどなたですか?」
「それなんだけど……先に別の場所に寄っていいかな?」
「え?」
「実はレイナが王都に来るならどうしても会わせろと言って聞かない人がいてね。先にそちらに寄りたい。あ、もちろんレイナに危害を加えるような人じゃないから心配いらないよ」
私に会いたい人が他にもいるようだ。
どのみち私はフィリエル殿下に従ってここにいる身だし、今さら行き先が一つ増えたところで問題ない。
「わかりました」
「助かるよ。これで断られたら僕が痛い目を見るところだった……」
フィリエル殿下が力なく笑う。
このリアクションは……
あ、なんとなく行き先がわかった気がする。
馬車が向かったのは王都の中心、貴族街に位置する大きな屋敷だった。
華やかな庭園が特徴的で、そこに限れば王城すら超えると評判の場所である。
馬車が庭園に入っていくと、屋敷の扉から一人の女性が現れる。
赤い髪を豪奢にロールさせた美女だ。
恐れ多くもフィリエル殿下にエスコートされつつ馬車を降りる。
すると待ち構えていた赤髪の美女が私にいきなり抱き着いてきた。
「会いたかったわ! 私の可愛いレイナ!」
「ちょっ、ミリネア様!? いきなり抱き着かれては危ないですよ!」
「仕方ないじゃない! 会うのがもう何年振り? ってくらい久しぶりなんだもの! テンションも上がるわよ!」
「相変わらずだねミリネアは……」
疲れたように言うフィリエル殿下。
私に抱き着いている女性の名前はミリネア・ファルジオン。
王国きっての有力貴族、ファルジオン公爵家の長女だ。
年齢は私やフィリエル殿下と同じ十八で、フィリエル殿下と同じく、学院時代の友人でもある。在学中はよくこの三人で過ごしていた。
ちなみに、ランジスの妹に奪われたドレスを贈ってくれたのがこのミリネア様だ。
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