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ファルジオン邸2
「とりあえずお茶にしましょう。薔薇が見ごろなのよね」
いったん屋敷の中に入り、その奥の扉から中庭へと通される。
ここもさっきの前庭に負けず劣らずの美しい場所だ。
中庭の上部分には透明の天井が作られており、雨を防ぎつつ日光を得ることができるようになっていた。
そのおかげで最近の長雨の影響も受けず、中庭の花々は綺麗に咲き誇っている。
使用人たちによってすでに整えられていた席に、私、フィリエル殿下、ミリネア様がつく。
「とにかくまた会えてよかったわ。私、ずっと外国にいたから……レイナも色々と大変だったみたいね」
ミリネア様は外交のためしばらく国内を空けていた。
そのため私がロージア家でどのような扱いを受けていたかは最近知ったらしい。
「平気ですよ。フィリエル殿下や、領地のみんなや、家族が今は優しくしてくれますから」
「な、なんていい子なの……! 本当に可愛いわね、レイナは」
「あ、あはは」
「で、ロージア家だっけ? 上等だわ。今すぐ潰してやるわよ。私の大事な友達を傷つけたんだから死ぬまで後悔するような目に遭わせてやらなきゃね」
ふふふふふ、と笑ってそんなことを言うミリネア様。
この目……本気だ……!
もともと苛烈な人だったけど、その性格は相変わらずみたいだ。
さすがは未来の女公爵と太鼓判を周囲に押されている人物だけある。
「――と、思ってたんだけど……まあ今回はもう少し様子を見ようかしらね」
不意にそんなことを呟くミリネア様。
私の立場で言うのもなんだけど、珍しい対応だ。
「そうですね。ミリネア様にまでご迷惑をおかけするのはさすがに」
「そういう意味じゃないわよ、お馬鹿。友達を傷つけられて放置するのは私の主義じゃないわ。……けど、今回はなんか企んでるやつがいるみたいだから、そっちに任せようって話」
そう言ってちらりとフィリエル殿下を見るミリネア様。
フィリエル殿下はわざとらしく肩をすくめる。
「さて、何の話かなあ」
「とぼけるなら私がやるわよ」
「わあ、待った待った! とりあえず、ロージア家のことは任せてくれていいよ。今は色々と準備をしているところなんだ」
んんん?
なんだかこの言い方だと、フィリエル殿下もロージア家に対してなにか不穏な考えを持っている気がする。
「あの……この件でお二人に迷惑をかけるのは心苦しいので、しばらく静観というのは」
「「却下」」
「うう」
声を揃えて拒否された。
気持ちはとても嬉しいんだけど、これで二人に迷惑をかけてしまうのが申し訳なさ過ぎる……! でもここまで二人が私のことを考えてくれるのに邪魔するのも……
私が悶々としていると、ミリネア様がフィリエル殿下に尋ねた。
「それで、二人は今日はどうするの? 予定がないならうちで夕食を食べていきなさいよ」
「悪いんだけど、実は先約があるんだ」
「あらそう? 残念ね」
ミリネア様が本当に残念そうに言う。
フィリエル殿下はふとこんな提案をした。
「そうだ、実は今日レイナを連れていく店がドレスコードにうるさいところでね。本当はこのまま服を買いに行こうかと思っていたんだけど……よかったらミリネアが見立ててくれないかい?」
「いいわね! 久しぶりにレイナを着飾らせることができるなんて腕が鳴るわ」
ミリネア様がにやりと笑う。
「ドレスコードのあるお店って……あの、聞いていないんですが……」
「ああごめん、言い忘れてたんだ」
「そ、そんな」
「まあまあ、ミリネアに任せておけば問題ないだろうからさ」
「そういうことよ。私に任せなさい、レイナ! とりあえず私の部屋に行くわよ!」
私はミリネア様に引きずられるように中庭を後にするのだった。
いったん屋敷の中に入り、その奥の扉から中庭へと通される。
ここもさっきの前庭に負けず劣らずの美しい場所だ。
中庭の上部分には透明の天井が作られており、雨を防ぎつつ日光を得ることができるようになっていた。
そのおかげで最近の長雨の影響も受けず、中庭の花々は綺麗に咲き誇っている。
使用人たちによってすでに整えられていた席に、私、フィリエル殿下、ミリネア様がつく。
「とにかくまた会えてよかったわ。私、ずっと外国にいたから……レイナも色々と大変だったみたいね」
ミリネア様は外交のためしばらく国内を空けていた。
そのため私がロージア家でどのような扱いを受けていたかは最近知ったらしい。
「平気ですよ。フィリエル殿下や、領地のみんなや、家族が今は優しくしてくれますから」
「な、なんていい子なの……! 本当に可愛いわね、レイナは」
「あ、あはは」
「で、ロージア家だっけ? 上等だわ。今すぐ潰してやるわよ。私の大事な友達を傷つけたんだから死ぬまで後悔するような目に遭わせてやらなきゃね」
ふふふふふ、と笑ってそんなことを言うミリネア様。
この目……本気だ……!
もともと苛烈な人だったけど、その性格は相変わらずみたいだ。
さすがは未来の女公爵と太鼓判を周囲に押されている人物だけある。
「――と、思ってたんだけど……まあ今回はもう少し様子を見ようかしらね」
不意にそんなことを呟くミリネア様。
私の立場で言うのもなんだけど、珍しい対応だ。
「そうですね。ミリネア様にまでご迷惑をおかけするのはさすがに」
「そういう意味じゃないわよ、お馬鹿。友達を傷つけられて放置するのは私の主義じゃないわ。……けど、今回はなんか企んでるやつがいるみたいだから、そっちに任せようって話」
そう言ってちらりとフィリエル殿下を見るミリネア様。
フィリエル殿下はわざとらしく肩をすくめる。
「さて、何の話かなあ」
「とぼけるなら私がやるわよ」
「わあ、待った待った! とりあえず、ロージア家のことは任せてくれていいよ。今は色々と準備をしているところなんだ」
んんん?
なんだかこの言い方だと、フィリエル殿下もロージア家に対してなにか不穏な考えを持っている気がする。
「あの……この件でお二人に迷惑をかけるのは心苦しいので、しばらく静観というのは」
「「却下」」
「うう」
声を揃えて拒否された。
気持ちはとても嬉しいんだけど、これで二人に迷惑をかけてしまうのが申し訳なさ過ぎる……! でもここまで二人が私のことを考えてくれるのに邪魔するのも……
私が悶々としていると、ミリネア様がフィリエル殿下に尋ねた。
「それで、二人は今日はどうするの? 予定がないならうちで夕食を食べていきなさいよ」
「悪いんだけど、実は先約があるんだ」
「あらそう? 残念ね」
ミリネア様が本当に残念そうに言う。
フィリエル殿下はふとこんな提案をした。
「そうだ、実は今日レイナを連れていく店がドレスコードにうるさいところでね。本当はこのまま服を買いに行こうかと思っていたんだけど……よかったらミリネアが見立ててくれないかい?」
「いいわね! 久しぶりにレイナを着飾らせることができるなんて腕が鳴るわ」
ミリネア様がにやりと笑う。
「ドレスコードのあるお店って……あの、聞いていないんですが……」
「ああごめん、言い忘れてたんだ」
「そ、そんな」
「まあまあ、ミリネアに任せておけば問題ないだろうからさ」
「そういうことよ。私に任せなさい、レイナ! とりあえず私の部屋に行くわよ!」
私はミリネア様に引きずられるように中庭を後にするのだった。
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