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ミリネア様の逆鱗3
「な、なんで!? どういうことなの!?」
混乱するマリー。
店主に持ってこさせたたっぷりのお茶を、ミリネア様がマリーのドレス目がけて思い切りかけたのだ。
よっぽど濃いお茶を使ったのか、ドレスは茶色いシミによってひどいことになっている。
美しいドレスもあれでは台無しだ。
「よかったわね、マリー・ロージア。これであなたに『ふさわしい』ドレスになったわね」
にっこり微笑んで告げるミリネア様。
マリーは信じられないようなものを見る目でミリネア様を見た。
「これは一体何の真似よ! せっかくのヘルメスのドレスが!」
「あら? だってあなたのドレスはお茶をぶちまけて駄目になってしまったはずでしょう? なんで自分だけ綺麗なものを着られると思ったの?」
「は……?」
「本来あなたは汚れたドレスを着るはずだった。けれどそれを他人に押し付けて、自分だけ綺麗なドレスでパーティーに出るなんて虫が良すぎるでしょう? 自分のしたことの責任は取らないと」
「……な、まさか、それって」
ミリネア様の言葉の意味に遅れて気付いたようにマリーが顔を青ざめさせた。
ミリネア様が言っているのは、ランザスの十七歳の誕生日の出来事だ。
「なんでミリネア様がそれを知っているんですか!?」
「あなたがそれをしたのが、私の大切な親友だからよ。レイナ、もういいわ。こっちに来なさい」
出番ってこのタイミングのことなんですね……
私は意を決してミリネア様のもとに歩いていく。
マリーは目をあらん限りに見開いた。
「……レイナ?」
「……こんにちは、マリー様」
「なんでこんなところにレイナがいるわけ!? ちょっと、早く出て行きなさいよ! あんたにはこの店は不釣り合いよ!」
ミリネア様にされたことのショックもあってか、ヒステリックに喚くマリー。
「黙りなさい」
「っ、でも、ミリネア様!」
「黙りなさいと言ったはずよ。この店にふさわしくないのはレイナじゃなくてあなたのほう」
「なんでそうなるんですか!? あたしは子爵令嬢で、レイナは男爵令嬢ですよ!? しかも婚約者なのに逃げ出した最低女です!」
マリーの言葉をミリネア様は鼻で笑う。
「それがなに? 紹介状もないくせに毎日この店の前で喚く人間が子爵令嬢として扱ってもらえるわけないでしょう。だいたい、レイナを虐げていたのはあなたたちのほう。レイナがあなたたちに愛想を尽かしたのも当然のことだわ」
「れ、レイナを虐げたりしていません。それはその女の捏造です!」
「残念ながら考える余地すらないわ。あなたが思っているより、私がレイナに置いている信頼は大きいのよ?」
「……なんで、なんでレイナなんかが」
憎しみの籠った目で私を見てくるマリーに、ミリネア様がつかつかと近づいていく。
「最後に一つ言っておきましょう」
「な、なんですか」
「レイナはあたしから見ても尊敬に値する人間よ。あなたごときが『レイナ』と呼び捨てにしていいような相手じゃない。次にそう呼んでいるのを見かけたら――潰すわよ」
混乱するマリー。
店主に持ってこさせたたっぷりのお茶を、ミリネア様がマリーのドレス目がけて思い切りかけたのだ。
よっぽど濃いお茶を使ったのか、ドレスは茶色いシミによってひどいことになっている。
美しいドレスもあれでは台無しだ。
「よかったわね、マリー・ロージア。これであなたに『ふさわしい』ドレスになったわね」
にっこり微笑んで告げるミリネア様。
マリーは信じられないようなものを見る目でミリネア様を見た。
「これは一体何の真似よ! せっかくのヘルメスのドレスが!」
「あら? だってあなたのドレスはお茶をぶちまけて駄目になってしまったはずでしょう? なんで自分だけ綺麗なものを着られると思ったの?」
「は……?」
「本来あなたは汚れたドレスを着るはずだった。けれどそれを他人に押し付けて、自分だけ綺麗なドレスでパーティーに出るなんて虫が良すぎるでしょう? 自分のしたことの責任は取らないと」
「……な、まさか、それって」
ミリネア様の言葉の意味に遅れて気付いたようにマリーが顔を青ざめさせた。
ミリネア様が言っているのは、ランザスの十七歳の誕生日の出来事だ。
「なんでミリネア様がそれを知っているんですか!?」
「あなたがそれをしたのが、私の大切な親友だからよ。レイナ、もういいわ。こっちに来なさい」
出番ってこのタイミングのことなんですね……
私は意を決してミリネア様のもとに歩いていく。
マリーは目をあらん限りに見開いた。
「……レイナ?」
「……こんにちは、マリー様」
「なんでこんなところにレイナがいるわけ!? ちょっと、早く出て行きなさいよ! あんたにはこの店は不釣り合いよ!」
ミリネア様にされたことのショックもあってか、ヒステリックに喚くマリー。
「黙りなさい」
「っ、でも、ミリネア様!」
「黙りなさいと言ったはずよ。この店にふさわしくないのはレイナじゃなくてあなたのほう」
「なんでそうなるんですか!? あたしは子爵令嬢で、レイナは男爵令嬢ですよ!? しかも婚約者なのに逃げ出した最低女です!」
マリーの言葉をミリネア様は鼻で笑う。
「それがなに? 紹介状もないくせに毎日この店の前で喚く人間が子爵令嬢として扱ってもらえるわけないでしょう。だいたい、レイナを虐げていたのはあなたたちのほう。レイナがあなたたちに愛想を尽かしたのも当然のことだわ」
「れ、レイナを虐げたりしていません。それはその女の捏造です!」
「残念ながら考える余地すらないわ。あなたが思っているより、私がレイナに置いている信頼は大きいのよ?」
「……なんで、なんでレイナなんかが」
憎しみの籠った目で私を見てくるマリーに、ミリネア様がつかつかと近づいていく。
「最後に一つ言っておきましょう」
「な、なんですか」
「レイナはあたしから見ても尊敬に値する人間よ。あなたごときが『レイナ』と呼び捨てにしていいような相手じゃない。次にそう呼んでいるのを見かけたら――潰すわよ」
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