【完結保証】あれだけ愚図と罵ったんですから、私がいなくても大丈夫ですよね? 『元』婚約者様?

りーふぃあ

文字の大きさ
46 / 88

ミリネア様の逆鱗3

「な、なんで!? どういうことなの!?」

 混乱するマリー。

 店主に持ってこさせたたっぷりのお茶を、ミリネア様がマリーのドレス目がけて思い切りかけたのだ。

 よっぽど濃いお茶を使ったのか、ドレスは茶色いシミによってひどいことになっている。
 美しいドレスもあれでは台無しだ。

「よかったわね、マリー・ロージア。これであなたに『ふさわしい』ドレスになったわね」

 にっこり微笑んで告げるミリネア様。
 マリーは信じられないようなものを見る目でミリネア様を見た。

「これは一体何の真似よ! せっかくのヘルメスのドレスが!」
「あら? だってあなたのドレスはお茶をぶちまけて駄目になってしまったはずでしょう? なんで自分だけ綺麗なものを着られると思ったの?」
「は……?」
「本来あなたは汚れたドレスを着るはずだった。けれどそれを他人に押し付けて、自分だけ綺麗なドレスでパーティーに出るなんて虫が良すぎるでしょう? 自分のしたことの責任は取らないと」
「……な、まさか、それって」

 ミリネア様の言葉の意味に遅れて気付いたようにマリーが顔を青ざめさせた。

 ミリネア様が言っているのは、ランザスの十七歳の誕生日の出来事だ。

「なんでミリネア様がそれを知っているんですか!?」
「あなたがそれをしたのが、私の大切な親友だからよ。レイナ、もういいわ。こっちに来なさい」

 出番ってこのタイミングのことなんですね……

 私は意を決してミリネア様のもとに歩いていく。
 マリーは目をあらん限りに見開いた。

「……レイナ?」
「……こんにちは、マリー様」
「なんでこんなところにレイナがいるわけ!? ちょっと、早く出て行きなさいよ! あんたにはこの店は不釣り合いよ!」

 ミリネア様にされたことのショックもあってか、ヒステリックに喚くマリー。

「黙りなさい」
「っ、でも、ミリネア様!」
「黙りなさいと言ったはずよ。この店にふさわしくないのはレイナじゃなくてあなたのほう」
「なんでそうなるんですか!? あたしは子爵令嬢で、レイナは男爵令嬢ですよ!? しかも婚約者なのに逃げ出した最低女です!」

 マリーの言葉をミリネア様は鼻で笑う。

「それがなに? 紹介状もないくせに毎日この店の前で喚く人間が子爵令嬢として扱ってもらえるわけないでしょう。だいたい、レイナを虐げていたのはあなたたちのほう。レイナがあなたたちに愛想を尽かしたのも当然のことだわ」
「れ、レイナを虐げたりしていません。それはその女の捏造です!」
「残念ながら考える余地すらないわ。あなたが思っているより、私がレイナに置いている信頼は大きいのよ?」
「……なんで、なんでレイナなんかが」

 憎しみの籠った目で私を見てくるマリーに、ミリネア様がつかつかと近づいていく。

「最後に一つ言っておきましょう」
「な、なんですか」


「レイナはあたしから見ても尊敬に値する人間よ。あなたごときが『レイナ』と呼び捨てにしていいような相手じゃない。次にそう呼んでいるのを見かけたら――潰すわよ」
感想 121

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

愛を知った私は、もう二度と跪きません

阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。 家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。 「呪われた男にでも喰われてこい」 そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。 彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。 その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。 「エカテリーナ様、どうかお助けを!」 かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

待鳥園子
恋愛
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。 そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?