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本編 テレザとアドルフとステファン
38.緊急報告
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ステファンが念願叶ってテレザと結ばれて1ヶ月ほど経った頃、テレザは昼間も眠たくなったり、吐き気を催したりして、医師の診察を受けた。
それから数日後の夜、ステファンは急ぎの報告をするためにテレザの私室に向かった。
「奥様、申し訳ありません!急ぎで報告しなければならないことがあったので、こんな夜更けにお邪魔します。旦那様とお坊ちゃま方が次期コーブルク公爵とその婚約者を賊に襲撃させようとして逃亡中です。その他の余罪もありますので、3人はこのお屋敷に戻られることは二度とないでしょう」
衝撃的な知らせでテレザの頭は一瞬で覚めた。
「え・・・?ルドルフ様は亡くなっているわよね?アドルフがいったい誰を害そうとしたの?アドルフだけでなくて、フェリクスとクリストフも共犯なの?」
「次期コーブルク公爵とは、これから養子になられる当代公爵の妹君の令息ラルフ様です。旦那様はクリストフ様に次期コーブルク公爵になっていただきたかったようですが、残念ながら選ばれませんでした。それでラルフ様と婚約者のロプコヴィッツ侯爵令嬢ゾフィー様を殺害しようとした疑いがアドルフ様方にかけられています」
「なんてこと!おふたりはご無事なの?」
「はい、襲撃は未然に防げたそうです」
2人が無事とわかったら、テレザはラムベルク男爵家取り潰し以降に無実のベルンハルトと使用人達がどうなるか気になった。どちらもヨナスの仲介でコーブルク公爵家が悪いようにはしないと約束してくれたことを知り、安堵した。だが、なぜヨナスの仲介なのか、テレザは不思議に思った。
「どうしてヨナスとコーブルク公爵家が関係あるの?」
「前に彼の行動が怪しいとお伝えしたことがありましたよね。彼はコーブルク公爵家の影で、旦那様の悪事を暴くために当家で色々と調査しておりました。奥様に近づいたのも・・・!!」
ステファンは下を向き、爪がめり込むほど拳を固く結んだ。
「ステファン、いいのよ。彼にはいい夢見させてもらったわよ」
「そんなっ!あいつは奥様を騙してもてあそんだのですよ!」
「仕方ないわ・・・そんなことも見抜けなかった私の責任よ・・・」
テレザは吹っ切れて気にしていないようだったが、ステファンはテレザの言葉を聞いても悔しそうだった。だが、過ぎ去ったことよりもこれからのことについてステファンはテレザと話さなければならなかった。
「奥様、明日の夜、ここを出ませんか?明日の夜までに家を出てアドルフ様、フェリクス様、クリストフ様と縁を切るなら、コーブルク公爵家がアドルフ様との離婚申請に協力してくださるそうです」
「ええ、そうするわ。その後は市井の食堂でもどこでも働ける所で働いて生活することにする」
「それなのですが・・・この家を出る時は私と一緒に行きませんか?どこかの貴族家の執事か執事補佐の仕事を私に紹介いただけると公爵閣下が約束してくださいました。今の生活水準とは程遠くなりますが、奥様が急いで働き先を探す必要はなくなります」
「そんなわけにいかないわ。私が貴方に養ってもらう筋合いはないでしょう?それに私がラムベルク男爵夫人でなくなって貴方がこの家の使用人でなくなったら、貴方と私には主従関係もないし、私には貴方に給料を払うお金もないのよ」
「私が貴女を養う理由は十分あります。私は貴女とそのお腹の中の子と一緒にいたいのです。2人のためなら何でもしたいのです。」
「・・・ヨナスの子かもしれないわよ」
「そんなこと聞きたくありません!誰がなんと言っても貴女と私の子です」
「私にはわからないわよ。この歳で無事に産めるかどうか知らないけど、私は子供と2人で生きていくわ・・・」
「そんなこと言わないで下さい!心配で仕方なくて放っておけません。それに結婚する前にこんなことになったのは私の責任でもあります」
「責任を感じる必要はないわ」
「私は責任からプロポーズしているんじゃないんです。貴女は私の初恋相手で、今も想い人なんです。お願いです、離婚が成立したら、私と結婚して下さい。しがない平民でお金もなくて申し訳ないですが、愛と仕事はあります。順序が逆になってしまって申し訳ありませんが、どうか私と家族を作りませんか?」
ステファンはテレザに懇願し、遂に彼女は共に家を出て行くことを了承した。
それから数日後の夜、ステファンは急ぎの報告をするためにテレザの私室に向かった。
「奥様、申し訳ありません!急ぎで報告しなければならないことがあったので、こんな夜更けにお邪魔します。旦那様とお坊ちゃま方が次期コーブルク公爵とその婚約者を賊に襲撃させようとして逃亡中です。その他の余罪もありますので、3人はこのお屋敷に戻られることは二度とないでしょう」
衝撃的な知らせでテレザの頭は一瞬で覚めた。
「え・・・?ルドルフ様は亡くなっているわよね?アドルフがいったい誰を害そうとしたの?アドルフだけでなくて、フェリクスとクリストフも共犯なの?」
「次期コーブルク公爵とは、これから養子になられる当代公爵の妹君の令息ラルフ様です。旦那様はクリストフ様に次期コーブルク公爵になっていただきたかったようですが、残念ながら選ばれませんでした。それでラルフ様と婚約者のロプコヴィッツ侯爵令嬢ゾフィー様を殺害しようとした疑いがアドルフ様方にかけられています」
「なんてこと!おふたりはご無事なの?」
「はい、襲撃は未然に防げたそうです」
2人が無事とわかったら、テレザはラムベルク男爵家取り潰し以降に無実のベルンハルトと使用人達がどうなるか気になった。どちらもヨナスの仲介でコーブルク公爵家が悪いようにはしないと約束してくれたことを知り、安堵した。だが、なぜヨナスの仲介なのか、テレザは不思議に思った。
「どうしてヨナスとコーブルク公爵家が関係あるの?」
「前に彼の行動が怪しいとお伝えしたことがありましたよね。彼はコーブルク公爵家の影で、旦那様の悪事を暴くために当家で色々と調査しておりました。奥様に近づいたのも・・・!!」
ステファンは下を向き、爪がめり込むほど拳を固く結んだ。
「ステファン、いいのよ。彼にはいい夢見させてもらったわよ」
「そんなっ!あいつは奥様を騙してもてあそんだのですよ!」
「仕方ないわ・・・そんなことも見抜けなかった私の責任よ・・・」
テレザは吹っ切れて気にしていないようだったが、ステファンはテレザの言葉を聞いても悔しそうだった。だが、過ぎ去ったことよりもこれからのことについてステファンはテレザと話さなければならなかった。
「奥様、明日の夜、ここを出ませんか?明日の夜までに家を出てアドルフ様、フェリクス様、クリストフ様と縁を切るなら、コーブルク公爵家がアドルフ様との離婚申請に協力してくださるそうです」
「ええ、そうするわ。その後は市井の食堂でもどこでも働ける所で働いて生活することにする」
「それなのですが・・・この家を出る時は私と一緒に行きませんか?どこかの貴族家の執事か執事補佐の仕事を私に紹介いただけると公爵閣下が約束してくださいました。今の生活水準とは程遠くなりますが、奥様が急いで働き先を探す必要はなくなります」
「そんなわけにいかないわ。私が貴方に養ってもらう筋合いはないでしょう?それに私がラムベルク男爵夫人でなくなって貴方がこの家の使用人でなくなったら、貴方と私には主従関係もないし、私には貴方に給料を払うお金もないのよ」
「私が貴女を養う理由は十分あります。私は貴女とそのお腹の中の子と一緒にいたいのです。2人のためなら何でもしたいのです。」
「・・・ヨナスの子かもしれないわよ」
「そんなこと聞きたくありません!誰がなんと言っても貴女と私の子です」
「私にはわからないわよ。この歳で無事に産めるかどうか知らないけど、私は子供と2人で生きていくわ・・・」
「そんなこと言わないで下さい!心配で仕方なくて放っておけません。それに結婚する前にこんなことになったのは私の責任でもあります」
「責任を感じる必要はないわ」
「私は責任からプロポーズしているんじゃないんです。貴女は私の初恋相手で、今も想い人なんです。お願いです、離婚が成立したら、私と結婚して下さい。しがない平民でお金もなくて申し訳ないですが、愛と仕事はあります。順序が逆になってしまって申し訳ありませんが、どうか私と家族を作りませんか?」
ステファンはテレザに懇願し、遂に彼女は共に家を出て行くことを了承した。
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