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「二つ目だ
俺と戦う奴、ムースが持ってるスキルを答えてくれ」
まだ隠されてた力の使い方は雑だが、今は仕方ない
「え~と。加速と影魔法?かな」
試合で見せた二つのスキルを答えてくれるとは、ありがたいな

「これで準備は完了したな。助かった、ありがとな」
まだ試したいことはあるが後でも良いだろ、次の試合ではこれ以上使えそうにないし無駄になりそうな準備はめんどいし

「そっか....負けないでよ?私は魔法部門で優勝したんだから」
「負けるわけないだろ、ここまで準備して負けるなんてことあるわけないだろ」
言っててフラグを立ててるような気がしないでもないが仕方がない

「そろそろ客席に戻るね。応援してるから頑張ってね」
手を振りながらエールを送ってから客席に戻った

「準備は万端だ、倒す必要はないんだ。ようは負けなければ問題ない」
一人呟き気合いを入れる
いくら強力なスキルを持っていて、対策をしているとはいえ油断は禁物だ

しかし、俺も人を信じれるようになったんだな
大嘘つきは人に知られてはいけないスキル
持ってることがばれればその人には嘘が通用しなくなる。つまり、今御堂に嘘を使うことができなくなった
今からやろうとしていることは出来るが、大嘘つきを使って守ることや強化してあげることはもうできない

「さて、行きますかね」




多分けんちゃんは私がどれだけ貴方を見てきたか知らないんだろうな
客席に帰りながら一人の少女は苦悩する
自分がどれだけ思っているのか、その一割も伝わってはいないだろう
本当ならもっと色々言ってあげたいんだけど、それはできない。今何を言ってもその真意や深さは理解してくれないだろう

「私が今もこうしてられるのはけんちゃんのおかげなんだけどな」
小さい声で一人呟く
客席に戻るりウルイの隣に座る

「用件はすんだか?」
「うん。大丈夫だって」
けんちゃんが側に居るときはスラスラ話せるのに一人だとやっぱり人見知りしてしまう。ウルイちゃんでこれなんだから初対面の人はもっとダメかな

「そうか、この試合には勝って貰わんといかん。我の秘宝がかかっておるのだからな」
賭けの事はどうでもいいと思っている、私たちには関係ないし
ウルイちゃんには悪いかもしれないけど私としては怪我さえしないなら勝ち負けなんかどうでもいい

「いよいよ二回戦だな、次に狙われるのはムースになるだろうからサトー殿も一緒に戦えば勝てるな」
ウルイちゃんは試合の展開を予想している
でも、その予想は外れる。絶対に

だって....けんちゃんは大勢で一人を攻めるような真似はしないし、一対一でも充分勝てるんだから
「けんちゃんは一人で勝つよ」
短いながらも何とか言えた
「ん?うむ、それもそうだな。あの者なら一人でも圧倒できるだろう。安心して観戦するか」
言いたいことは伝わったようで良かった

「皆様、間もなく第二試合が始めます。先程の試合はムース選手の勝利でした
しかし!まだまだ結果はわかりません。盛大な応援を選手の方々にお送りいただけますようお願いします」
小さな妖精ちゃんの声が響く

けんちゃん頑張れ!大嘘つきでも勝つって約束破ったらダメだよ










「さあ!第二回戦を始めましょう!」
全六人が武舞台に上がり開戦の合図を待つ
随分と雰囲気が違うな

舞台は異様な雰囲気になっている。一回戦ではムースが全員を圧倒したことにより、健吾以外の目的はポイント集めではなく打倒ムースになっている。しかし

多分だが、この試合もすぐに俺以外は殺られると思う。解析で調べてもあのスピードについていける者は居ない
オッグとか言う老人が言ってたことが良くわかる、『戦闘において絶対的な力を発揮する』この言葉は真実だったみたいだな。負ける気はしてないけど

「それではー二回戦!レディーーーファイトーー!!!」

まず動いたのはムースだった
「死ね」
加速を使い超速で動きながら剣を振るう
これでほとんどの者は脱落だな、観客も含めほとんどのものがそう思った....しかし

ズドォォォォン

舞台中央で大爆発が起こった
「おーーーと、これはフルイ選手の爆撃だー!大型魔物でも半身を吹き飛ばすほどの威力ー!これは勝負あったかーーー!」
数秒後、爆煙が晴れた


そこには大きな穴が開いていたが、選手は全員が立っていた

なんつー威力だ、目に砂が入ったじゃねーか
いくらダメージを受けなくても砂塵までは防げないらしく目が痛い
「これはどう言うことでしょうか!あの攻撃で誰一人退場していません。ムース選手、サトー選手は防御すらしていません」

回りの選手を見てみると、ムース以外は一回戦とは違う装備をしていた
リークは予選と一回戦で使っていた巨大な剣ではなく、鞭のようなものを使っている
フルイも盾は同じだが砲弾は付いておらず、分厚く頑丈な盾と、刃が長い槍、左腕に四角い何かがついている
その四角い物から煙が出てることから盾についていた大砲に似た物と推測できる
他の二人も違う装備や、アイテムを身に付けている

ヤバイな。ムースばっかり意識して他の選手を放置してた

「どうやら一回戦で圧倒的な強さを見せたムース選手の攻略できる装備を身に付けての出場のようです!全選手に狙われたムース選手はどうなるのでしょうかー!」

さて、まだまだ始まったばかりだ。一回戦と同じ感覚だと俺も危なそうだ。気合いを入れていくか
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