吸血秘書と探偵事務所

かみこっぷ

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海とかプールとかで食べるカレーってやたらと美味しく感じるよな

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「いやー食った食った」

相一は残ったお冷を一気に飲み干し両手を合わせる。

多少の時間差はあれど皆各々注文した料理を平らげた。

「ってか真夏の海で中華丼ってどんなチョイスよ、傍から見てるだけでも暑苦しいわよ」

「そういう氷柱だってカレー食べてんじゃねぇか。しかもそれ辛口だろ? 暑苦しさっていうならいい勝負だと思うけど」

いつの間に頼んだのか苺シロップがたっぷり掛かったかき氷を頬張りながら、分かってないわねという風にスプーンを振る。

「暑いからこそ辛いものを食べる、そしてその後冷たいものを食べる。そうすることでより一層冷たいものを美味しく味わえるってわけよ! それにプールとかこういうところで食べるカレーの安っぽさって意外とクセになるのよねー」

「あーそれはわかるかも。祭の屋台とかで食べる焼きそばとか具も少ないのにその場の雰囲気で美味しく感じちゃうよね」

「雪女さんって…………辛いもの、苦手そうなイメージがありました…………」

詩織と千里の二人は揃って同じラーメンを選んでいたのだが、詩織の方はしっかりスープまで飲み干していた。…………それで良いのか女子高生。

「確かにそれは私も同感です。雪女という種族はなんとなくそういったモノを避ける印象があったのですが」

「あんたらそれは偏見じゃない? 雪女だって激辛カレーは食べるし冬には鍋だって囲むわよ。ま、確かに皆アイスとかは好きだけどね」

「へぇー意外だな」

これでも彼は普通の人間と比べ妖怪という常識の枠から一歩はみ出た存在との関わりが多い方、妖怪に対する知識情報もそれなりに持っているつもりだった。だが、実際こうして話してみないとわからないことがあるものだ。事実、見た目や名前のイメージから周囲より忌避され恐れられる妖怪の中にも話の分かるモノはいる。しかし彼らに対する世間の目はその存在が広く知れ渡るようになりしばらくたった今でも、温かいものは少ない。

…………ただ、そうして世間から敬遠されるということはそれなりの理由もある訳で。それは今回の様な『不自然な事件』の裏には必ずと言っていい程彼らの存在が絡んでくる、というのが主な理由だろう。

彼らが引き起こす怪異の数々は時として人間の常識を軽々と飛び越える。そして人間という生き物は自分達の手で御せないものを恐れ、遠ぜけようとする。

だからこそ『不自然な事件』の影に潜む妖怪達を放っておく訳にはいかない。ただでさえ彼らは快く思われていないのだ。人間社会に馴染めない一部の妖怪のせいで関係の無い妖怪達…………特に璃亜や氷柱、千里といった親しい者達が見ず知らずの連中にそしりを受けるのを黙って見過ごす訳にはいかない。

「さてじゃあ腹ごしらえも済んだことだし、そろそろ仕事の話といこうかね」
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