周りは魔法やスキルをよく使うけど自分は武術一筋で頑張ります!

ゼン

文字の大きさ
12 / 24
第1章 出会いと経験

第12話 トラブル発生

しおりを挟む
現在、ジュンタは冒険者登録の最終テスト『3日間の外出』の真っ最中。1日目と2日目が過ぎ、最終日である今日を迎え、腹を空かせすぎて衰弱し切っていた。食料を求め歩くジュンタが見つけたのはスライムと1人の女の子だった。見た感じジュンタと年齢が近く、金髪でポニーテールでピンクと白が混ざったワンピース型の冒険者用の服を着ていた。

ジュンタ「飯だああああああ!」 

???「えっ!?何!?」 

その場でオロオロしている女の子を他所に、ジュンタはスライムを仕留めて食べようとする……… 

???「えっ………ちょっと!?」 

ジュンタ「………………」 

ジュンタ「ブフェッ!まっず!」 

しかし、スライムの味は決して良いものではなかった。スライム自体は無味だが、野生特有の臭みと土の味が口いっぱいに広がった。 

???「あの………大丈夫ですか?お腹壊しますよ………?」 

ジュンタ「あ、こんにちは。お気遣いありがとうございます。一応腹は満たせたので大丈夫ですよ。」 

???「そ、そうですか………」 

???(絶対大丈夫じゃないな………) 

???「一応、水持ってますけど口直しします?胃を保護するものも一緒にあれば良かったんですけど、生憎持ってなくて。」 

ジュンタ「お気遣いありがとうございます。」 

???「どういたしまして。」 

女の子は返事をし、キョロキョロと辺りを見回す。 

ジュンタ「何か探し物ですか?」 

???「はい。杖を無くしてしまって、今探してるんです。」 

ジュンタ「そうなんですか。もし、よろしければ一緒に探しますか?」 

???「いいんですか?」 

ジュンタ「ええ。俺で良ければ協力しますよ。」 

???「ありがとうございます。」 

ジュンタ「あ、まだ名を名乗ってませんでしたね。俺はジュンタです。」 

???「ジュンタさん、ですか。私はシーヤです。」 

ジュンタ「シーヤさんですね。よろしくお願いします。」 

シーヤ「はい。こちらこそ。」 

ジュンタはシーヤと名乗る女の子と自己紹介をし、本題に入る。 

ジュンタ「それで、今『杖を無くした』といいましたが落としたのはいつ頃ですか?」 

シーヤ「昨日、この森で戦闘しまして、自分がやられそうになって命からがら魔物から逃げた時にどこかに落としてしまいました。」 

ジュンタ「なるほど。とりあえず、立ち止まってるだけでは何も進展しませんし、話しながら探しますか。」 

シーヤ「はい。」 

ジュンタはシーヤと共に杖を探すことになった。そして、歩きながら杖や互いの話をする。 

ジュンタ「昨日どの辺で戦ったか覚えてます?」 

シーヤ「いえ。逃げるのに必死だったので、あまり………確か奥の方だった気がします。」 

ジュンタ「じゃあ、奥へ行きましょう。」 

歩きながらジュンタが1つ質問を投げかける。 

ジュンタ「あの、シーヤさんは冒険者なんですか?」 

シーヤ「はい………かなり弱いですが。ジュンタさんも冒険者ですか?」 

ジュンタ「いや、まだ冒険者ではないですね。」 

シーヤ「えっ、危険ですよ!?」 

ジュンタ「大丈夫ですよ。ここには用事があって来たんです。話すと長くなりますけど。」 

シーヤ「そうなんですね。」 

ジュンタ「まあ、ともかく冒険者志望の俺からすればシーヤさんは先輩ですね。色々話を聞きたいです。」 

シーヤ「そ、そんな………先輩だなんて………私そんなに強くないですよ?杖があるからまだまともな魔法攻撃ができるのに、杖が無かったらただの雑魚ですよ。」 

ジュンタ「いや………」 

ジュンタ(まあ、否定できない。実際目の前にいても強者特有の気配は感じられないし。) 

ジュンタは相手の力量を肌で感じることができるので、何とも言えない顔をしていた。シーヤは自分で言うだけあり、残念ながらあまり強くない。 

シーヤ「………今絶対失礼な事考えてましたよね?」 

ジュンタ「いやっ………そんなことないですよ(汗)。」 

2人は会話を弾ませながら、杖を探した。がしかし、一向に見つかる気配はない。やがて日差しが強くなり、昼時になった。 

シーヤ「なかなか見つかりません………そして、お腹も空きました。」 

ジュンタ「じゃあ、そろそろ昼にしましょう。」 

シーヤ「はい。」 

近くの木陰で昼休憩をしようと思ったその時……… 

ゴブリン「ヴゥゥゥ………!」 

ゴブリンが現れた。今回は10体と少し多めである。 

ジュンタ「こういう時に限って現れるよな。」 

シーヤ「ひえっ!?いっぱいいる!?」 

ジュンタ「シーヤさん、来ますよ!」 

シーヤ「む、無理ですよ!あんなに相手できません!逃げましょうよ!」 

ジュンタ「でもそんなに強くないですよ?それに、シーヤさん魔法使えるじゃないですか。」 

シーヤ「や、やってみます!えい!」 

次の瞬間、シーヤの手から雷の玉が出現した。 

シーヤ「《エレキ》!」 

《エレキ》
→雷の初級魔法。感電する性質を利用して、攻撃で相手を痺れさせたり、拘束したりする事ができる。使い方は自由なので、使用者の技量次第でで引き出しが増える。 

それをゴブリンの群れのうちの1体に放ち命中した。しかし、当たりはしたものの絶命には至らなかった。 

シーヤ「はぁ………はぁ………」 

ジュンタ「息切れ!?1発撃っただけですよ?」 

シーヤ「だから無理なんです!杖が無い間は。」 

魔法を1回使っただけで体力が削れたシーヤはまともに戦えないので後はジュンタがやるしかない。 

ゴブリン「ヴァァァ!」 

魔法を喰らった個体が飛びかかってきた。動きが鈍っている。 

ジュンタ「ハァッ!」 

ジュンタはダメージを負ったゴブリンの胸部に発勁を放って撃破する。 

シーヤ「凄い………」 

ジュンタ「フッ!ハッ!フンッ!セイッ!」 

2体目の首をナイフで掻き、3体目の首にもナイフを突き刺し、4体目に左の回し蹴りでつま先をコメカミに命中させ、5体目の腹を裂き、6~8体目の額に手裏剣を投擲し、9体目を袈裟斬りし、10体目の頚椎をへし折った。………こうして、ジュンタは怒涛の勢いでゴブリン10体を一掃した。 

シーヤ(一瞬で………片付けた………?) 

ジュンタ「ふぅ………今度こそ休憩にしましょう。」 

シーヤ「え………あ、はい!」 

2人は改めて昼食を摂ることにした。そして、シーヤが先程の出来事について話を振ってくる。 

シーヤ「あの、ジュンタさん………」 

ジュンタ「はい。」 

シーヤ「さっきの凄かったです!滅茶滅茶強いんですね。あの数を一瞬でやっつけちゃうんですもん。」 

ジュンタ「ありがとうございます。」 

シーヤ「それで、気になったんですけど、どうしてそんなに強いのに冒険者じゃないんですか?」 

ジュンタ「それは、ここに来た理由と関係してます。」 

シーヤ「そうなんですか。」 

ジュンタ「ええ。実は………」 

ジュンタは魔法もスキルも使えないこと、それを武術でカバーしていること、それが危険だと判断したギルドマスターからテストを課されたこと。そして、今日が試験の最終日である事を全て話した。 

シーヤ「そんな事があったんですね………」 

ジュンタ「はい。」 

シーヤ「それなのに私の用事に付き合わせてしまってすいません。」 

ジュンタ「いえいえ。どうせ帰るだけで余裕もありましたし、気にしないでください。」 

シーヤ「ありがとうございます!もし見つかったらお礼をさせて下さい!」 

ジュンタ「お気持ちだけ受け取ります。それじゃ、出発しましょうか。」 

シーヤ「はい。」 

2人はシーヤの杖を見つけるべく、更に森の奥へと向かった。 

シーヤ「ジュンタさん、森の奥はゴブリンより危険な魔物がいる事があります。気をつけてください。」 

ジュンタ「ご忠告どうも。安全第一ですからね。」 

森の深く進んだ事で、ゴブリンより危険な魔物がチラホラ現れるようになり、2人はより一層警戒するようになった。昼休憩から1時間ほど経って、日差しが更に強くなった。 

ジュンタ「日差しが強くなりましたね。川へ行きませんか?」 

シーヤ「ええ。そうしましょう。」 

2人は川へ行くために進行方向を変えた。そして暫く歩いた時… 

シーヤ「ん?」 

シーヤが何かを発見した。続いてジュンタもそこに駆けていく。 

ジュンタ「どうしました?」 

シーヤ「ありました!私の杖です!」 

ジュンタ「おお!おめでとうございます!もしよろしければ、メルン町までお送りしましょうか?」 

シーヤ「いいんですか?」 

ジュンタ「はい。帰るついでという事で。」 

杖が無事に見つかり、ジュンタがシーヤとメルン町まで戻ろうと思った次の瞬間… 

ジュンタ(っ…殺気!?) 

ジュンタ「危ない!」 

シーヤ「きゃっ!?」 

何かの異変に気づき、ジュンタは咄嗟にシーヤを抱えて、横に跳んだ。 一瞬遅れて魔法が2人の横を通り過ぎた。

???「ケッケッケ………活きの良さそうなガキだな………!」 

背後から声が聞こえた。2人組の賊のようななりの男だった。 

ジュンタ「誰だお前たち!」 

To be continued
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

処理中です...