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第1章 光るバッハ
第2話 力を寄越しなさい!
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日比野 幽子。
それがかつての彼女の名前。
今は違う。
幽霊のユーコ。
バラ色の人生を蹴ってまで手に入れた地位と名前であった。
「さて、これで無事に幽霊となった訳だけど……」
「は、はい! 何でしょうか!?」
死神はまだ下っ端のようになっていた。
常にユーコの動向をチェックして、
本来の仕事に支障を出しながらも、
こうしていつでもはせ参じている。
「私は飛んだり物をすり抜けたりできる。間違いないわね?」
「え、幽霊にそんな機能は……」
「なら付けなさい、今すぐに!」
「は、はいっ!」
ユーコの言った「おまけ」とはこういうこと。
どうやら幽霊は結構不便らしい。
ユーコの想像していた機能はほぼ備わっていない。
ただの人間とほぼ変わらなかったのだ。
その実際を、とても高度な取引を経て捻じ曲げさせている。
「あ、あの、そろそろ素敵な幽霊ライフを送ったらどうでしょうか?」
「は? 誰に物を言っているのよ」
ユーコは窓の外を指さす。
そういえばここは学校だったが、すぐ近くには大病院が建っている。
「いいの? 告白しちゃうけど?」
大病院では死人が出やすい。
病気や事故、事件などによって。
勿論、病院のスタッフは頑張っているのだろうが、
それでも溢れる命は無くならない。
話がそれた。
要は、病院では死者が出やすい。
死者の魂は死神によって刈り取られて、転生されるのだという。
「うぐ……そ、それは」
死神は1人ではない。
こいつ以外にもたくさんいるらしい。
問題はどうやって会うかなのだが、
あそこを適当に徘徊しているだけでいい。
そうユーコは指摘した。
「私はいいのよ。あんたの失態を告白しても」
そんな脅し文句を添えて。
失態。
それは、死神がユーコを誤って刈り取ってしまったこと。
どうやら別の人と間違えたらしい。
ユーコからすれば、
大変に迷惑なとばっちりである。
(……なんでこいつは、こんなに堂々としているんだよ!)
並みの人間は、死ねば死神にすがるらしい。
転生するのなら少しでも良いように、と。
ところで、たまに間違いは起こっていた。
誰だってミスはする。
でも死神がこうして仕事を続けていられるのは、
あのパンフレットを出せば誰もが飛び付いて、
円満に解決していたからだ。
(くそう……まさか、こんな性格の悪い奴を刈り取ってしまったなんて!)
でもユーコは違った。
脅したのだ。
あろうことか、死神を。
転生する気はない。
幽霊にして、好きなようにさせろ、と。
そのための力を寄越せ、と。
さもなくば同僚にチクるぞ、と。
「……全て、仰せのままに」
死神が呼び寄せられるのは、
こんな事情があった。
それがかつての彼女の名前。
今は違う。
幽霊のユーコ。
バラ色の人生を蹴ってまで手に入れた地位と名前であった。
「さて、これで無事に幽霊となった訳だけど……」
「は、はい! 何でしょうか!?」
死神はまだ下っ端のようになっていた。
常にユーコの動向をチェックして、
本来の仕事に支障を出しながらも、
こうしていつでもはせ参じている。
「私は飛んだり物をすり抜けたりできる。間違いないわね?」
「え、幽霊にそんな機能は……」
「なら付けなさい、今すぐに!」
「は、はいっ!」
ユーコの言った「おまけ」とはこういうこと。
どうやら幽霊は結構不便らしい。
ユーコの想像していた機能はほぼ備わっていない。
ただの人間とほぼ変わらなかったのだ。
その実際を、とても高度な取引を経て捻じ曲げさせている。
「あ、あの、そろそろ素敵な幽霊ライフを送ったらどうでしょうか?」
「は? 誰に物を言っているのよ」
ユーコは窓の外を指さす。
そういえばここは学校だったが、すぐ近くには大病院が建っている。
「いいの? 告白しちゃうけど?」
大病院では死人が出やすい。
病気や事故、事件などによって。
勿論、病院のスタッフは頑張っているのだろうが、
それでも溢れる命は無くならない。
話がそれた。
要は、病院では死者が出やすい。
死者の魂は死神によって刈り取られて、転生されるのだという。
「うぐ……そ、それは」
死神は1人ではない。
こいつ以外にもたくさんいるらしい。
問題はどうやって会うかなのだが、
あそこを適当に徘徊しているだけでいい。
そうユーコは指摘した。
「私はいいのよ。あんたの失態を告白しても」
そんな脅し文句を添えて。
失態。
それは、死神がユーコを誤って刈り取ってしまったこと。
どうやら別の人と間違えたらしい。
ユーコからすれば、
大変に迷惑なとばっちりである。
(……なんでこいつは、こんなに堂々としているんだよ!)
並みの人間は、死ねば死神にすがるらしい。
転生するのなら少しでも良いように、と。
ところで、たまに間違いは起こっていた。
誰だってミスはする。
でも死神がこうして仕事を続けていられるのは、
あのパンフレットを出せば誰もが飛び付いて、
円満に解決していたからだ。
(くそう……まさか、こんな性格の悪い奴を刈り取ってしまったなんて!)
でもユーコは違った。
脅したのだ。
あろうことか、死神を。
転生する気はない。
幽霊にして、好きなようにさせろ、と。
そのための力を寄越せ、と。
さもなくば同僚にチクるぞ、と。
「……全て、仰せのままに」
死神が呼び寄せられるのは、
こんな事情があった。
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