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序章:悪魔と手を結んだ日
出会いは追放でした
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ここは冒険者ギルド<宵闇の竜>の本部。
クエスト後はいつも酒宴を開き、大変に盛り上がる。
それはもう、目を覆いたくなるくらい大変に。
なにせ、一番しっかりするべきギルド長のニルスが先頭に立って、
「おーい、みんな―! 野球拳するぞー! 不参加者は闇の炎に抱かれてヤケドするぞー!」
セクハラかつ厨二病をこじらせる。
一体何人の有望なメンバーが、主に女性が去って行った事か。
今夜は特に要注意だ。
彼、ルークですら枷を外したい気分なのだから。
「やり遂げたんだなぁ……」
宵闇の竜は達成したのだ。
全ギルドの悲願、魔王討伐を。
これで、ここが名実ともに最強ギルドとなり、その長であるニルスは勇者の称号を王様から賜るだろう。
その矢先のことだった。
「世界はお前を拒絶する」
「……は?」
祝勝会が終わった後、ルークはギルド長の部屋へ呼び出された。
そしてこの通告である。
意味が分からないルークは、思わず聞き返した。
「酔ったのか?」
「この福音を妄言と言うか。何たる愚かしさだ」
「じゃあ翻訳してくれないか?」
「お前、クビ」
「な、何でだっ!?」
これに噴き出したのは、ニルスの隣にいるエルザだった。
ニルスの恋人であり、ルークと同じ支援魔法士だ。
「いいですか、ルーク様? 魔王を討伐したことで、このギルドは最強と謳われるようになるでしょう。そこに、貴方のような幹部がいてはお笑い草ではありませんか」
「どういう意味だ?」
「いやはや、その顔で幹部の椅子にしがみ付き続けただけはありますね」
エルザは美人かつモデルのような体型だ。
ニルスも同様だ。
そんな2人と比べては、世の中の99%の人間はブスになってしまうだろう。
「顔は関係ないだろ。俺がどれだけこのギルドに尽くして来たのか忘れたのか?」
これは周知の事実である。
冒険者は誰もがレベル1から始まる。
未来にどんな英雄譚を残す勇者になるのだとしても、駆け出しの頃はゴブリンにすら劣る。
そんな彼らが毎度生還しているのは、ルークの強固な支援のお陰だった。
しかし、ニルスは嘲笑いながら言い放つ。
「我々は悪を統べし王の討伐を果たした。だが、この歩みに果ては無い。変革だ。新世界を手中に収めるため――」
「また翻訳してくれ。大事な話なんだろ?」
「お前は寄生虫だ。幹部だからって高難易度のクエストに出る時はくっ付いて来る。でも突っ立って見ているだけ。それなのにすまし顔で経験値だけ吸っていくのは見過ごせん」
「仕方ないだろ? お前は俺の支援魔法を必要としないくらい強いんだから」
そう、ニルスの強さは疑いようがない。
如何なる敵も一閃で斬り捨ててしまい、魔王ですら一撃で倒してしまった。
まさに勇者になるべくして生まれたような奴である。
「支援魔法士だからって攻撃魔法のひとつも取らずに特化しやがって。そんなお前にどんな価値がある?」
「俺はギルドメンバーを心から信頼している。攻撃魔法を取らないのは信頼の証と思って欲しい」
「はっ、臆病者の言い訳か」
「臆病……今、俺の信頼を臆病と言ったか? ニルス、お前との付き合いは長い。一度だけ聞いてやる。その言葉、撤回する気は無いか?」
「この新世界にお前の居場所は無い!」
「そうか……邪魔したな」
ここまで言われては、5年かけて築き上げた信頼関係も終わりだ。
ルークは荷物すら持たずにギルドを飛び出し――
「ぬぉっ!?」
「ほぎゃーっ!?」
――入口で何かに激突された。
ゴロゴロと地面を転がり、木に当たって止まる。
「な……何だ?」
ルークは衝突したそれを確認する。
どうやら女の子だった。
頭を押さえて悶絶している。
「いったぁ……! あた、頭が……頭が2つになっちゃう……っ!」
「おい、大丈夫か?」
「うぅ……これは親切にどうも……って! 貴方はっ!?」
差し出された手を掴んだ子は、なんと、つい先日に討ち取ったはずの魔王だった。
クエスト後はいつも酒宴を開き、大変に盛り上がる。
それはもう、目を覆いたくなるくらい大変に。
なにせ、一番しっかりするべきギルド長のニルスが先頭に立って、
「おーい、みんな―! 野球拳するぞー! 不参加者は闇の炎に抱かれてヤケドするぞー!」
セクハラかつ厨二病をこじらせる。
一体何人の有望なメンバーが、主に女性が去って行った事か。
今夜は特に要注意だ。
彼、ルークですら枷を外したい気分なのだから。
「やり遂げたんだなぁ……」
宵闇の竜は達成したのだ。
全ギルドの悲願、魔王討伐を。
これで、ここが名実ともに最強ギルドとなり、その長であるニルスは勇者の称号を王様から賜るだろう。
その矢先のことだった。
「世界はお前を拒絶する」
「……は?」
祝勝会が終わった後、ルークはギルド長の部屋へ呼び出された。
そしてこの通告である。
意味が分からないルークは、思わず聞き返した。
「酔ったのか?」
「この福音を妄言と言うか。何たる愚かしさだ」
「じゃあ翻訳してくれないか?」
「お前、クビ」
「な、何でだっ!?」
これに噴き出したのは、ニルスの隣にいるエルザだった。
ニルスの恋人であり、ルークと同じ支援魔法士だ。
「いいですか、ルーク様? 魔王を討伐したことで、このギルドは最強と謳われるようになるでしょう。そこに、貴方のような幹部がいてはお笑い草ではありませんか」
「どういう意味だ?」
「いやはや、その顔で幹部の椅子にしがみ付き続けただけはありますね」
エルザは美人かつモデルのような体型だ。
ニルスも同様だ。
そんな2人と比べては、世の中の99%の人間はブスになってしまうだろう。
「顔は関係ないだろ。俺がどれだけこのギルドに尽くして来たのか忘れたのか?」
これは周知の事実である。
冒険者は誰もがレベル1から始まる。
未来にどんな英雄譚を残す勇者になるのだとしても、駆け出しの頃はゴブリンにすら劣る。
そんな彼らが毎度生還しているのは、ルークの強固な支援のお陰だった。
しかし、ニルスは嘲笑いながら言い放つ。
「我々は悪を統べし王の討伐を果たした。だが、この歩みに果ては無い。変革だ。新世界を手中に収めるため――」
「また翻訳してくれ。大事な話なんだろ?」
「お前は寄生虫だ。幹部だからって高難易度のクエストに出る時はくっ付いて来る。でも突っ立って見ているだけ。それなのにすまし顔で経験値だけ吸っていくのは見過ごせん」
「仕方ないだろ? お前は俺の支援魔法を必要としないくらい強いんだから」
そう、ニルスの強さは疑いようがない。
如何なる敵も一閃で斬り捨ててしまい、魔王ですら一撃で倒してしまった。
まさに勇者になるべくして生まれたような奴である。
「支援魔法士だからって攻撃魔法のひとつも取らずに特化しやがって。そんなお前にどんな価値がある?」
「俺はギルドメンバーを心から信頼している。攻撃魔法を取らないのは信頼の証と思って欲しい」
「はっ、臆病者の言い訳か」
「臆病……今、俺の信頼を臆病と言ったか? ニルス、お前との付き合いは長い。一度だけ聞いてやる。その言葉、撤回する気は無いか?」
「この新世界にお前の居場所は無い!」
「そうか……邪魔したな」
ここまで言われては、5年かけて築き上げた信頼関係も終わりだ。
ルークは荷物すら持たずにギルドを飛び出し――
「ぬぉっ!?」
「ほぎゃーっ!?」
――入口で何かに激突された。
ゴロゴロと地面を転がり、木に当たって止まる。
「な……何だ?」
ルークは衝突したそれを確認する。
どうやら女の子だった。
頭を押さえて悶絶している。
「いったぁ……! あた、頭が……頭が2つになっちゃう……っ!」
「おい、大丈夫か?」
「うぅ……これは親切にどうも……って! 貴方はっ!?」
差し出された手を掴んだ子は、なんと、つい先日に討ち取ったはずの魔王だった。
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