8 / 23
第1章:愉快でトリッキーな仲間たちと
うわ、問題だらけの昼下がり
しおりを挟む
次の日、再びギルドに集合した3人は絶望していた。
借金、100万G
アイリスが背負っていた額である。
この返済を終えるまでギルド申請は受け付けないと言われてしまったのだ。
「あ、あの悪魔めっ! なんて憎らしい手を打って来やがるんですか! ルーク、これはもう狩っていいですか? いいですよね、よし、行きます!」
「落ち着け、イブ。本格的に居場所が無くなる」
「で、では黙って見過ごせと言いますか!? 新手のお預けプレイですか!? 私がそんなので悦ぶド変態に見えやがりますか!? 上等ですよ、かかって来んかい!」
頭に血が上っているらしい。
お言葉に甘えて、ルークは無視する事にした。
「すまない、旦那様。やはり私の事は放っておいても――」
「――もうお前は仲間だ。他に理由は要らない。まずはクエストを見に行くぞ」
「旦那様……!」
良い雰囲気になる2人だが、これにイブリースが待ったをかける。
「お、おい、ちょっと待て、そこの変態調教師! 本当にお預けプレイをしないで下さい!」
「願ったり叶ったりだろ?」
「む、むむむ……うがーーーっ! なんて賢しい変態なんですかっ!」
完全敗北を悟って転げ回るイブリースを尻目に、ルークは歩き出した。
「手間をかけるな、旦那様」
昨日と同様、頬をほんのりと染めたアイリスが斜め後方へ付く。
「あのさ、一応聞いておきたいんだが、旦那様っていうのは?」
「ははは、旦那様は冗談もお好きか。プロポーズしてくれたではないか」
「「プ、プロポーズ!?」」
昨日と同様だ。
光の速さでイブリースがルークを見て、彼は負けじと首を振った。
「ねぇ、ルーク? 人間の求愛行動って隠れてひっそりやると聞いたことありますが、だからって私の目を盗むの上手すぎませんか? あれですか? サブ職は盗賊か詐欺師ですか?」
「いやいや、ほぼお前と一緒に行動していただろ!? それこそ、夜はおやすみから朝はおはようまで!」
そう、2人は昨夜、同じ宿に泊まった。
経費節約のため同室である。
「おっ、奥さんを前に何て事を! 私は軽い女じゃないです! 悪魔は契約にうるさいので純愛以外あり得ませんから!」
「事実認定するな! 浮わついてないから! 身に覚えがないから!」
「ははは、旦那様は本当にご冗談がお好きなようだ。言ってくれただろう? 私を貰い受けると」
ルークは思い出した。
あの男にムカついて、精一杯の嫌味を込めてカッコいい台詞を吐いたことを。
「私の心は既に奪われている。どうか如何様にも使ってくれ」
「あ、え、えーと……」
ルークは目のやり場に困った。
アイリスはどこを見ても美しく、「使ってくれ」などと言われては、男として黙っていられないだろうに。
「そうだ! クエストを受けよう!」
「あ、逃げた。意気地無しですね」
「ほほぉ、じゃあ剥いてやろうか? この大衆の中で、美少女と自称するお前の全てをさらけ出してやろうか!?」
「な――っ!?」
イブリースは赤面したのも束の間、プルプル震えながら高圧的に言い放つ。
「つ、つつ、遂に私の魅力に気付いたのですね!? いいでしょう、やってみなさい! そんな度胸があるのなら、さぁ、裸にひん剥いてしゃぶり付いてみせなさい!」
「ぐ……くっ! まさか、自らを出汁にして来るとは――無念っ!」
「ふ、ふふ、今回は勝ち!」
「旦那様、このクエストなんてどうだろう?」
クエストを受けよう。
その発言に従ったアイリスは、掲示板からいくつかの羊皮紙を持って来た。
2人のやり取りなど全く見ていないし、気にしてもいなかった。
「そ、そうだよ、クエストだ。どれがいっかなー」
「あ、あーっ! 負けも認めず話を反らしましたね!? 許せません! 男らしく参ったと言いなさい!」
「元はと言えば、話を反らしたのはそっちだろ? むしろ時間を浪費した罰を受けて欲しいところなんだが?」
「う、うぐぅ……な、なんて姑息な男なんですか!」
何はともあれ、ルークはクエストを確認する。
この手の目利きは得意なのか、アイリスは難易度的に丁度良い3枚を選んでいた。
「流石は元ギルドの職員だ」
「うむ、任せてくれ。各部署を転々とする度にマニュアルやら何やらは全て覚えたからな。管理者より精通しているつもりだ」
「な、なんて健気なんだ……っ! イブ、お前も見習え」
「見習う? 一体、何をですか?」
「口を開けば自分は美少女だの、俺は変態だのしか言わないだろ? もっと前向きな事に時間を割けってことだ」
「ふふん、私は認めて貰うまで諦めませんよ! 事実を隠匿するような汚い人間とは違うのです!」
言っている事や指を突き付ける仕草はカッコいいが、内容が明らかに見合っていない。
ルークは盛大に溜め息を吐いた。
「なぁ、旦那様。この方はひょっとして残念なタイプ――」
「みなまで言うな。話が進まない」
「それは旦那様のせいでもあるが?」
「おっと、これは辛口だな」
協議の結果、低難易度のゴブリン討伐クエストを受注した3人であった。
借金、100万G
アイリスが背負っていた額である。
この返済を終えるまでギルド申請は受け付けないと言われてしまったのだ。
「あ、あの悪魔めっ! なんて憎らしい手を打って来やがるんですか! ルーク、これはもう狩っていいですか? いいですよね、よし、行きます!」
「落ち着け、イブ。本格的に居場所が無くなる」
「で、では黙って見過ごせと言いますか!? 新手のお預けプレイですか!? 私がそんなので悦ぶド変態に見えやがりますか!? 上等ですよ、かかって来んかい!」
頭に血が上っているらしい。
お言葉に甘えて、ルークは無視する事にした。
「すまない、旦那様。やはり私の事は放っておいても――」
「――もうお前は仲間だ。他に理由は要らない。まずはクエストを見に行くぞ」
「旦那様……!」
良い雰囲気になる2人だが、これにイブリースが待ったをかける。
「お、おい、ちょっと待て、そこの変態調教師! 本当にお預けプレイをしないで下さい!」
「願ったり叶ったりだろ?」
「む、むむむ……うがーーーっ! なんて賢しい変態なんですかっ!」
完全敗北を悟って転げ回るイブリースを尻目に、ルークは歩き出した。
「手間をかけるな、旦那様」
昨日と同様、頬をほんのりと染めたアイリスが斜め後方へ付く。
「あのさ、一応聞いておきたいんだが、旦那様っていうのは?」
「ははは、旦那様は冗談もお好きか。プロポーズしてくれたではないか」
「「プ、プロポーズ!?」」
昨日と同様だ。
光の速さでイブリースがルークを見て、彼は負けじと首を振った。
「ねぇ、ルーク? 人間の求愛行動って隠れてひっそりやると聞いたことありますが、だからって私の目を盗むの上手すぎませんか? あれですか? サブ職は盗賊か詐欺師ですか?」
「いやいや、ほぼお前と一緒に行動していただろ!? それこそ、夜はおやすみから朝はおはようまで!」
そう、2人は昨夜、同じ宿に泊まった。
経費節約のため同室である。
「おっ、奥さんを前に何て事を! 私は軽い女じゃないです! 悪魔は契約にうるさいので純愛以外あり得ませんから!」
「事実認定するな! 浮わついてないから! 身に覚えがないから!」
「ははは、旦那様は本当にご冗談がお好きなようだ。言ってくれただろう? 私を貰い受けると」
ルークは思い出した。
あの男にムカついて、精一杯の嫌味を込めてカッコいい台詞を吐いたことを。
「私の心は既に奪われている。どうか如何様にも使ってくれ」
「あ、え、えーと……」
ルークは目のやり場に困った。
アイリスはどこを見ても美しく、「使ってくれ」などと言われては、男として黙っていられないだろうに。
「そうだ! クエストを受けよう!」
「あ、逃げた。意気地無しですね」
「ほほぉ、じゃあ剥いてやろうか? この大衆の中で、美少女と自称するお前の全てをさらけ出してやろうか!?」
「な――っ!?」
イブリースは赤面したのも束の間、プルプル震えながら高圧的に言い放つ。
「つ、つつ、遂に私の魅力に気付いたのですね!? いいでしょう、やってみなさい! そんな度胸があるのなら、さぁ、裸にひん剥いてしゃぶり付いてみせなさい!」
「ぐ……くっ! まさか、自らを出汁にして来るとは――無念っ!」
「ふ、ふふ、今回は勝ち!」
「旦那様、このクエストなんてどうだろう?」
クエストを受けよう。
その発言に従ったアイリスは、掲示板からいくつかの羊皮紙を持って来た。
2人のやり取りなど全く見ていないし、気にしてもいなかった。
「そ、そうだよ、クエストだ。どれがいっかなー」
「あ、あーっ! 負けも認めず話を反らしましたね!? 許せません! 男らしく参ったと言いなさい!」
「元はと言えば、話を反らしたのはそっちだろ? むしろ時間を浪費した罰を受けて欲しいところなんだが?」
「う、うぐぅ……な、なんて姑息な男なんですか!」
何はともあれ、ルークはクエストを確認する。
この手の目利きは得意なのか、アイリスは難易度的に丁度良い3枚を選んでいた。
「流石は元ギルドの職員だ」
「うむ、任せてくれ。各部署を転々とする度にマニュアルやら何やらは全て覚えたからな。管理者より精通しているつもりだ」
「な、なんて健気なんだ……っ! イブ、お前も見習え」
「見習う? 一体、何をですか?」
「口を開けば自分は美少女だの、俺は変態だのしか言わないだろ? もっと前向きな事に時間を割けってことだ」
「ふふん、私は認めて貰うまで諦めませんよ! 事実を隠匿するような汚い人間とは違うのです!」
言っている事や指を突き付ける仕草はカッコいいが、内容が明らかに見合っていない。
ルークは盛大に溜め息を吐いた。
「なぁ、旦那様。この方はひょっとして残念なタイプ――」
「みなまで言うな。話が進まない」
「それは旦那様のせいでもあるが?」
「おっと、これは辛口だな」
協議の結果、低難易度のゴブリン討伐クエストを受注した3人であった。
0
あなたにおすすめの小説
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される
希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。
すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。
その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。
追放された”お荷物”の俺がいないと、聖女も賢者も剣聖も役立たずらしい
夏見ナイ
ファンタジー
「お荷物」――それが、Sランク勇者パーティーで雑用係をするリアムへの評価だった。戦闘能力ゼロの彼は、ある日ついに追放を宣告される。
しかし、パーティーの誰も知らなかった。彼らの持つ強力なスキルには、使用者を蝕む”代償”が存在したことを。そして、リアムの持つ唯一のスキル【代償転嫁】が、その全てを人知れず引き受けていたことを。
リアムを失い、スキルの副作用に蝕まれ崩壊していく元仲間たち。
一方、辺境で「呪われた聖女」を救ったリアムは自らの力の真価を知る。魔剣に苦しむエルフ、竜の血に怯える少女――彼は行く先々で訳ありの美少女たちを救い、彼女たちと安住の地を築いていく。
これは、心優しき”お荷物”が最強の仲間と居場所を見つけ、やがて伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる