ギルドを追放された支援魔法士は悪魔※とギルドを創る

るちぇ。

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第1章:愉快でトリッキーな仲間たちと

魔王軍〇〇襲来!?

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 装備を買いに行ったアイリスだったが、はっきり言って、これはルークの大誤算であった。

「ただいま、旦那様! とても良い買い物をした! 着替えて来るから見て欲しい!」
「おぉ、そうか。楽しみに待って――え、着替える?」

 イブリースが友達を連れて来るのを待っていたルークだったが、先に帰って来たのはアイリスだった。

 面接の間も探し回っていたとなると、相当悩んだに違いない。

 そうして選び抜かれた装備は、どうやら「着替える」必要があるらしい。

 一抹の不安を覚えたルーク。

 残念なことに、その心配は当たってしまった。

「待たせたな、旦那様。どうだろう? 凄まじい攻撃力を誇ると店主に太鼓判を押されたのだが……と、どうした?」

 トイレから出て来たアイリスを見た瞬間、ルークは凍った。

 周囲も凍った。

「う、うぉおぉぉぉっ!!」

 燃え上がった奴らもいた。

 そんな両極端な反応が生じたのは、やはりその装備(?)のためである。

「旦那様、大丈夫か? 金魚みたいに口がパクパクしているぞ? ま、まさか、息苦しいのか!? 人口呼吸は要るか!?」
「い、要らんわ、この馬鹿がっ!!」

 ルークはようやくビキニから目を反らした。

 繰り返そう。ビキニである。

 たわわな双球がギリギリ収まり、下の食い込みもえげつないレベルの黒い水着である。

「何だそれは!? 海か風俗にでも行くって言ったか!? 高難易度のクエストに行くから装備を整えろと言っただろう!?」
「あぁ、だから最高の装備を整えるため、店主に相談したのだ。旦那様とより高みを目指せる物を見繕ってくれと。そうしたら、最高の攻撃力を誇る物があると言われてな。もう買うしかなかったのだ」

 余りにも突拍子が無さすぎて、ルークは逆に心が穏やかになっていった。

 あり得ないではないか。

 これはきっと冗談で、本当に選んだ装備は別にあると信じて尋ねる。

「それで、本当のところはどうなんだ?」
「どう、とは?」
「おいおい、それでドラゴンのブレスを防げるか? 巨人の鉄槌を受け止められるか?」
「旦那様を守るためならば、私に不可能はない!」

 もう一縷の望みすら感じられない状況ではあるものの、最後まで希望は捨てずにルークは言葉をかける。

「……言っておくが、回避を目的として装甲を薄くしたとかいうレベルじゃないぞ? 果たして装甲と呼べるかも怪しいが、貧弱な布地すらほぼ残っていないじゃないか。頼むよ、本当のところを、な?」
「これは最強の攻撃力を誇ると言われている。防御よりも攻撃面を見てくれ!」
「俺は防御力を要求したつもりなんだがな――」

 もっと言ってやろうとルークは目を向けようとして、

「――悪い、ぶっちゃけ直視できない」

 屈した。

「な、なぜだっ!?」
「あぁ、認める。認めるよ、確かに殺人的な攻撃力だ! でもそれはベッドでの話だ! 戦場じゃ全裸と何ら変わらないんだよ、こん畜生!」
「な、なんと!? 戦場においては役立たずなのかっ!?」

 ようやくアイリスは理解したらしい。

 さてどうしたものかとルークが考えた、そのとき。

「ただいま戻りましたよ、ルーク! 自慢のお友達を連れて来ました!」

 最低かつ最高のタイミングでイブリースが戻って来た。

「馬鹿、お前っ! もっと空気を読めよ!」
「え? 何か見られたくないものでも――」

 イブリースはたちまち耳まで真っ赤にした。

「あ、ああ、貴方は筋金入りのド変態でしたかっ!」
「違う! 不可抗力だっ!」
「言い訳無用! 聖人という言葉を返して貰います! あ、やっぱり差し上げます! このエロ星人め!」
「字が違うっ!」

 ところで口論する2人の後ろには、顔を両手で覆い隠した少女が立っていた。

 どう見ても被害者である。

 その目のところだけ、指が妙に離れて隙間ができているのだが、そして息が妙に荒いのだが、きっと被害者である。

「い、イブ! 無理だよっ! 私、やっぱり無理! この人たちと仲良くなれる気がしないよっ!」

 恐らく被害者がそれっぽい事を言う。

「逃がしませんよ! お菓子契約を無効にはできませんからね!?」
「他のこと! 他のことなら何でも協力するから!」
「ここは穢れています! むしろ貴女のような人材が必要なんです!」

 言葉の割に逃げようとも抵抗しようともしない少女であった。

 その子をグイとルークの前へ引っ張り出すと、イブリースは尻を叩く。

「ほら、自己紹介です! この無礼者に身分の違いを知らしめてやるのです!」
「え? こ、こんな所で名乗りを上げるの? それはいくら何でも無謀なんじゃ――」
「――これは命令です! さぁ、言うのです! 私の威信を回復するためにも!」
「わ、わかったよ……コホン」

 少女は咳払いすると、表情を引き締めて両手を広げた。

 身に纏う紫色のローブが、明らかに風ではない超常の力で浮かび上がる。

「聞け、矮小な人間よ。我が名はプルート。偉大なる魔王様に仕えし幹部が一柱、死神プルートである!」
「ま、魔王軍の幹部だとっ!?」

 ルークは思わず身構え、忘れかけていた事を思い出す。

 そういえばイブリースは魔王軍の幹部候補生。

 幹部と繋がっていても不思議ではなかったのだ。

「旦那様、下がってくれ! 私が守る!」

 これを真に受けたのはアイリスだった。

ビキニ姿のまま立ちはだかると、

「キャー――ッ! は、早く着替えて下さいっ!」

 魔王軍幹部すら悲鳴を上げつつ、息を荒くして釘付けになってしまう程の攻撃力を披露したのだった。
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