転生やめて私は死にたい

sui

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道化師

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彼らが目覚めて半日が過ぎ、だいぶ元気を取り戻した。
それにしても…

「二人共、お風呂貸してあげるから入ってきて」

「え?お風呂…ですか」

ポカンとした顔をしているが、何がそんなに不思議なのだろう。

「水浴びじゃ…?」

「だからお風呂だって。あの子は寝たばかりだし、すぐには起きないと思うからそのうちに行ってきて。」

「はぁ…」

そんなにお風呂が好きじゃない?

「ではお言葉に甘えて。ルーカスを先に…」

「何言ってるの。二人でよ。片方ずつなんて時間かかるし」

「で、ですが」

色々と文句が聞こえそうだったので、強制的にお風呂場に放り出し、一件落着。





「お、お風呂ありがとうございました…」

「なんで二人で…」

服は家にあった服を貸しているが、冒険者だからか体つきが良く、少し窮屈そうに見える。

ふむ。

三人とも顔が整ってるなと思ってはいたけど、本当に整ってる。

エルヴィン・ルーカスはプラチナブロンドに少しくせっ毛の髪。何かを見通すようなコバルトブルーの瞳。

レナード・シンハルはライトブルーの肩までのサラサラの髪。黄色の優しそうな瞳。

ラフィさんは、近くで見るととても可愛らしい顔立ちだった。けれど怖がられてそれどころではない。

「髪を乾かすので少し動かないで」

フワリと風の魔法で水気を飛ばし、髪を乾燥させた。

「私は少し仮眠をとってくるから貴方たちはリビングで休んでいて。」

「わかった。」

流石に眠いし、疲れた。

部屋をむやみに歩き回るなと忠告をし、三日ぶりの布団に潜り睡魔に任せ二時間ほど眠りについた。

起きると夕暮れは過ぎ、暗くなってた。

リビングに降りると、ルーカスさんがこちらに気づいた。

「大丈夫か?まだ寝ててもいいぞ?」

「夜にまた寝るから大丈夫よ。今からご飯を作るから待ってて。」

キッチンへ行こうとすると、ちらっと隠れる姿を見つけた。

「ラフィ…さんには私が作ったものは食べたくないよね。どちらか彼女の分作ってあげて。」

「では私が。」

「じゃぁお願い。」

シンハルさんと食事の準備をしているのだが、彼は手慣れている気がする。

芋を剥くのも早いし、切るのも正確で綺麗。

「そんなに見られると少し恥ずかしいですね…ハハッ」

じーっと見ていたからか、シンハルさんに気づかれてしまった。

「ごめんなさい。上手だなぁと思って。」

「上手かどうかはわかりませんが一応野営では料理担当をしていましたから。」

なるほど。納得。

リビングに出来上がった料理を並べていく。
鹿肉のグラタンにアクアパッツァ、サラダ、野菜のスープ。そしてパン。

量も結構作ったし、これが残れば明日のご飯とか考えていたけれどそんなことはなく、今回も綺麗に無くなった。

主に

「ルーカスさん。何処に収納してるんですか」

「お腹に決まってるだろ?」

「いや、そう言うことでなく」

ラフィさんも何とか少し食べてくれたようで良かった。

でもパニックになっていないってだけで、凄く怖がってるし…うん。

自分へと魔法をかける。

「これでいいかな」

三人共パチクリと目を瞬かせたこちらを見ていた。
そんなに見ないで。

「姿が変わった!?」

「珍しいことでもないでしょ?」

「文献では知ってますが、髪の色ならともかく目の色は変えられないはずです。」

「確か【道化師クラウン】ってやつだよな」

「そう。自身の見た目の色を変える魔法。目は…うん。まぁいろいろ。」

これで少しはラフィさんの恐怖を消せたのならいいけど。

髪はブラウン、瞳は黄色。

「知識もそうだが、能力も高い。俺はそう感じる。フィンお前は何者なんだ?」

「そ、そうだよっ!!どうしてここに…魔族がいるの!!」

ちゃんと口をきいてくれたのは少なからずうれしいこどだったけれど…
うーん。姿を変えてもあまり効果はないのかな。
それより。

「私。魔族じゃないよ。れっきとした人族。人間。」

「ウソッ!!!!だ、だって髪だって目だって魔族の色じゃない!!!!」

…気は進まないけど

「生まれつき。こうなの。そして姿で生まれてきたのは。」

訳がわからない。そんな顔をしている。
当たり前だ。



こんな話突拍子もなさすぎてふざけてる。

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