【R18】サンドリヨンの秘密

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第2章 サンドリヨンが王子様に捕まってから

結婚当夜。

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 びっくりするような本当の話で、つつがなく婚姻の儀がり行われてしまった。
 これで、国内外において、アシュリーはオキデンシア王太子の妃ということになってしまったのである。

 今までずっと【女】として生きてきたので、ちょっとやそっとでぼろが出ない自信はあるが、もしもアシュリーが【男】とばれたときが怖い。

 自分が社会的に死ぬことはもちろんだが、【男】のアシュリーを妃に迎えたクレイディオが、どう言われるかを思うと、憂鬱になる。
 それくらいには、一緒に暮らしたこの一年でアシュリーはクレイディオに絆されたし、好意を持つようになっていた。 クレイディオは別に男が好きなひとではなかったらしく、アシュリーだから好きになったと言ってもらえたのも嬉しかった。
 そういうわけでアシュリーは、クレイディオやお義父様お義母様のことを考えると、死んでも【男】だとばれるわけにはいかなくなった。


 そうは思いつつ、万が一、【男】だとばれたときの覚悟も、できた。
 アシュリーがクレイディオを騙して婚姻したということにすればいい。

 クレイディオが被害者であれば、皆が納得するだろう。

 幸せの絶頂にいる花嫁が、【希代の悪者】になる覚悟で、王太子殿下の隣で微笑んでいると気づいた人間は、きっといないだろう。
 そう、思っていたというのに。


「何か難しいことを考えていたね」


 クレイディオがベッドに上がりながら、微笑んだ。
「…? 何のことでしょう?」
 とぼけたわけではない。
 初夜のことで頭がいっぱいだったアシュリーは、昼間に考えていたことなどすっかり忘れていたのだ。
 クレイディオは、アシュリーの反応に軽く目を見張ったが、すぐに微笑んだ。
「私は、例えば君が奪われたら、正気を失ってこの大陸を焦土に変えかねないからね。 そんなことをしたら君に嫌われてしまうから、君を奪われないようにするよ。 もちろん、君からもね」


 頬に触れる手、近づいてくる美しい顔を見つめるアシュリーが昼間考えていたことを思い出したのは、このときだった。
 けれど、唇に触れる唇、更には唇を吸う唇、唇を割って忍び込む舌を感じているうちに、余計なことなど考えられなくなってしまった。

 バスローブの紐を解こうとするクレイディオの手に気づいて、アシュリーは身を引く。
 クレイディオも、必要以上に追うことはしなかった。

「本当にできるのですか?」

 自分の唇から飛び出した問いに、アシュリーは目を見張った。
 もちろん、それを聞くクレイディオもだ。

 きっと、アシュリーは挑むようにクレイディオを見ていたのだろう。
 初夜の甘やかさなどまるでないような顔だったに違いない。
 クレイディオは、困ったような顔で苦笑していた。


「怖くなった?」


 アシュリーがクレイディオを止めた理由を、クレイディオはアシュリーが怖じ気づいたためと受け取ったらしい。
 それは、初めて男同士の初夜について教えられたときは衝撃のあまり熱を出した。

 だって、ナニをドコにいれるというのだ。
 意味がわからない。

 そう思っていたというのに、この半年程度、【初夜の練習】をクレイディオとしていたアシュリーの身体も頭も、今やそれなりに柔軟になっている。
 だから、アシュリーにとっての問題は、そこではないのだ。


「というか、顔だけなら女で済みますが、身体はそうではないので…」


 アシュリーは、自分でバスローブの紐を解き、前を開いて、自分の裸体をクレイディオの目に晒した。
 否、クレイディオを試したのだと、思う。
 心臓が早鐘のように脈を打っているし、全身が熱い。

 クレイディオの赤鉄鉱ヘマタイトの目が、アシュリーの身体に釘付けになっているのがわかる。
 アシュリーは、もう一度、挑むようにクレイディオを見た。


「男、ですよ? 本当に大丈夫なのですか?」


 何が起きたのか、わからなかった。
 一瞬、アシュリーの視界からクレイディオが消えた。
 だから、やはり無理だったのだろうか、とアシュリーが落ち込みかけたとき。
 世界が、回った。

 数拍おいて、アシュリーは自分がベッドに押し倒されていることに気づく。
 背中がふわふわのベッドに沈んでいて、目の前にはクレイディオ、その向こうには天蓋が見えたから、アシュリーはそのように判断した。


 目の前のクレイディオは、微笑んでいた。
 けれど、少し呼吸が荒く、赤鉄鉱ヘマタイトの瞳は鈍く熱い光を宿している。

 のしかかられている、のも理解した。
 だが、この、アシュリーの股間に押しつけられている、ずっしりと重く質量のあるものはなんだろう。


 アシュリーが混乱していると、目の前のクレイディオはますます微笑みを深くした。
「私が君に欲情するなんて、私はとっくの昔に知っているよ」

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