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第2章 サンドリヨンが王子様に捕まってから
1,000回カウンターの奇跡。
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この【魔法】を【呪い】と断言したオリヴィエの声も表情も呆れているが、それ以上に感じられるのは、オリヴィエがアシュリーの身を心配してくれている、ということだ。
女性をつまんでは放り、つまんでは放りして、女性に呪われて女性の姿に変えられたというオリヴィエだが、アシュリーがオリヴィエの過去の素行を信じられないのは、オリヴィエの優しいところを知っているからだ。
女性には相当に人気があったらしいオリヴィエだが、その反面、男性の友人はいなかったのかもしれない。
だから、大切にしようとするのだろうか。
「オリヴィエも優しい子だね」
そう言って微笑んだクレイディオは、しっかりと【お兄ちゃん】の顔をしていた。
こういう瞬間も、アシュリーは好きだ。
オリヴィエはクレイディオのことを貶すような物言いばかりだが、それこそ照れ隠しだし、オリヴィエが本当はお兄ちゃん子なのを、アシュリーは知っている。
クレイディオもクレイディオで、オリヴィエのことをある程度大切に想っている。
オリヴィエには、呪いを解く気があまりないらしいのは、アシュリーも気づいているところだ。
オリヴィエにしてみれば、今の姿で居続けることが、自分の過去に対する懺悔、もしくは罪滅ぼしのようなものなのかもしれない。
と思っていたのだが、クレイディオから聞いた話だと、本当は呪いを解く方法をオリヴィエは知っているが、それが到底オリヴィエには認められないものらしい。
オリヴィエを心の底から愛してくれるひとと、身体を重ねれば呪いをは解ける。
だが、オリヴィエにとって、男性と身体を重ねるくらいなら死ねるし、今の姿でいても何も損なわれない、ということらしい。
オリヴィエは知らないだろう。
クレイディオが、忙しい公務の時間の間を縫って、オリヴィエの魔法式の解法を検討していたことを。
クレイディオの妃となるにあたって、魔法についても学ぶ必要のあったアシュリーは、魔法を使えないながらも、魔法のシステムについては勉強し、ある程度は理解した。
魔法や呪いの解き方は、二通りある。
一つは、魔法式を作った人間が解法として設定した条件をクリアすること。
もうひとつは、魔法式の解を逆から辿っていくことだ。
クレイディオは、後者のやり方で、オリヴィエのかけられた呪いの式を解いている。
けれど、その解を使ってオリヴィエの呪いを解かないのは、オリヴィエにも【真実の愛】を知ってほしいからなのだという。
例えばオリヴィエが、クレイディオが結婚した年齢になっても【真実の愛】を見つけられず、女性の姿のままだったら、クレイディオが導き出した解法で、呪いを解くつもりでもあるらしい。
わかりにくい兄弟だ、と思う。
そう、こっそりとアシュリーが息を吐いていると、いつの間にかクレイディオは座ったアシュリーの隣に立っていて、そっとアシュリーの肩に手を置いた。
「大丈夫だよ。 動物実験は成功しているし、アシュリーの身体を、子どもを宿して産める状態にするために、1000回というカウンターを設定したんだから」
「…動物…? …もしかして、何年か前に、兄上が引き取り手を探していた兎たちって…」
ひくり、とオリヴィエの顔面が引きつった。
対するクレイディオは何もやましいことはないとばかりに微笑んでいる。
「仲の良い雄の兎を二羽もらい受けたら、案の定上手くいってね。 兎は年中発情期だから、いいサンプルが取れてよかったよ。 お前は【呪い】と言ったけれど、私は【奇跡】だと思っている」
「ねぇ! アシュリー、本当にいいの!? こんな化物の子ども、産まされるんだよ! 男なのに、妊娠に耐えうるように、身体の構造を変えられるんだよ? アシュリーは、本当に、産みたいの?」
まだアシュリーは妊娠もしていないのに、必死の形相でアシュリーに詰め寄るオリヴィエが可笑しい。
それに。
アシュリーは、オリヴィエを落ち着かせるべく、オリヴィエの手を取って宥めるように空いている手でぽんぽんと叩きながら微笑む。
「母が、私を授かってとても嬉しかった、私を産んで幸せだったと、言ってくれていたんです。 だから、男の私でも産めるのなら、いいかなぁって思ったんです」
怖くないとは、言わない。
自分の身体の中で、自分ではない生き物を育むのだ。
その覚悟をし、子を育み産める女性は偉大だと思う。
普通なら、男のアシュリーと男のクレイディオでは、望めない子ども。
けれども、それが望めるのならば、否はない。
アシュリーがそのように答えると、クレイディオがアシュリーを後ろから抱きしめてくる。
「君と結ばれた私は、世界一の幸せ者だよ…」
「どうしよう…。 アシュリーが聖母に見えるよ。 アシュリーくらいできた人間じゃないと、それは兄上の相手は務まらないよね…」
世の中は上手くできているみたいだ、とオリヴィエは妙に納得しているが、何となく背後の気配が不穏だ。
「オリヴィエ、アシュリーは私の妃だからね…?」
きっと、アシュリーにはわからないだけで、クレイディオは相当の圧をかけたのだろう。
オリヴィエは若干顔色を悪くして、「アシュリーは友人だから誤解しないでよ!!」と叫んだのだった。
女性をつまんでは放り、つまんでは放りして、女性に呪われて女性の姿に変えられたというオリヴィエだが、アシュリーがオリヴィエの過去の素行を信じられないのは、オリヴィエの優しいところを知っているからだ。
女性には相当に人気があったらしいオリヴィエだが、その反面、男性の友人はいなかったのかもしれない。
だから、大切にしようとするのだろうか。
「オリヴィエも優しい子だね」
そう言って微笑んだクレイディオは、しっかりと【お兄ちゃん】の顔をしていた。
こういう瞬間も、アシュリーは好きだ。
オリヴィエはクレイディオのことを貶すような物言いばかりだが、それこそ照れ隠しだし、オリヴィエが本当はお兄ちゃん子なのを、アシュリーは知っている。
クレイディオもクレイディオで、オリヴィエのことをある程度大切に想っている。
オリヴィエには、呪いを解く気があまりないらしいのは、アシュリーも気づいているところだ。
オリヴィエにしてみれば、今の姿で居続けることが、自分の過去に対する懺悔、もしくは罪滅ぼしのようなものなのかもしれない。
と思っていたのだが、クレイディオから聞いた話だと、本当は呪いを解く方法をオリヴィエは知っているが、それが到底オリヴィエには認められないものらしい。
オリヴィエを心の底から愛してくれるひとと、身体を重ねれば呪いをは解ける。
だが、オリヴィエにとって、男性と身体を重ねるくらいなら死ねるし、今の姿でいても何も損なわれない、ということらしい。
オリヴィエは知らないだろう。
クレイディオが、忙しい公務の時間の間を縫って、オリヴィエの魔法式の解法を検討していたことを。
クレイディオの妃となるにあたって、魔法についても学ぶ必要のあったアシュリーは、魔法を使えないながらも、魔法のシステムについては勉強し、ある程度は理解した。
魔法や呪いの解き方は、二通りある。
一つは、魔法式を作った人間が解法として設定した条件をクリアすること。
もうひとつは、魔法式の解を逆から辿っていくことだ。
クレイディオは、後者のやり方で、オリヴィエのかけられた呪いの式を解いている。
けれど、その解を使ってオリヴィエの呪いを解かないのは、オリヴィエにも【真実の愛】を知ってほしいからなのだという。
例えばオリヴィエが、クレイディオが結婚した年齢になっても【真実の愛】を見つけられず、女性の姿のままだったら、クレイディオが導き出した解法で、呪いを解くつもりでもあるらしい。
わかりにくい兄弟だ、と思う。
そう、こっそりとアシュリーが息を吐いていると、いつの間にかクレイディオは座ったアシュリーの隣に立っていて、そっとアシュリーの肩に手を置いた。
「大丈夫だよ。 動物実験は成功しているし、アシュリーの身体を、子どもを宿して産める状態にするために、1000回というカウンターを設定したんだから」
「…動物…? …もしかして、何年か前に、兄上が引き取り手を探していた兎たちって…」
ひくり、とオリヴィエの顔面が引きつった。
対するクレイディオは何もやましいことはないとばかりに微笑んでいる。
「仲の良い雄の兎を二羽もらい受けたら、案の定上手くいってね。 兎は年中発情期だから、いいサンプルが取れてよかったよ。 お前は【呪い】と言ったけれど、私は【奇跡】だと思っている」
「ねぇ! アシュリー、本当にいいの!? こんな化物の子ども、産まされるんだよ! 男なのに、妊娠に耐えうるように、身体の構造を変えられるんだよ? アシュリーは、本当に、産みたいの?」
まだアシュリーは妊娠もしていないのに、必死の形相でアシュリーに詰め寄るオリヴィエが可笑しい。
それに。
アシュリーは、オリヴィエを落ち着かせるべく、オリヴィエの手を取って宥めるように空いている手でぽんぽんと叩きながら微笑む。
「母が、私を授かってとても嬉しかった、私を産んで幸せだったと、言ってくれていたんです。 だから、男の私でも産めるのなら、いいかなぁって思ったんです」
怖くないとは、言わない。
自分の身体の中で、自分ではない生き物を育むのだ。
その覚悟をし、子を育み産める女性は偉大だと思う。
普通なら、男のアシュリーと男のクレイディオでは、望めない子ども。
けれども、それが望めるのならば、否はない。
アシュリーがそのように答えると、クレイディオがアシュリーを後ろから抱きしめてくる。
「君と結ばれた私は、世界一の幸せ者だよ…」
「どうしよう…。 アシュリーが聖母に見えるよ。 アシュリーくらいできた人間じゃないと、それは兄上の相手は務まらないよね…」
世の中は上手くできているみたいだ、とオリヴィエは妙に納得しているが、何となく背後の気配が不穏だ。
「オリヴィエ、アシュリーは私の妃だからね…?」
きっと、アシュリーにはわからないだけで、クレイディオは相当の圧をかけたのだろう。
オリヴィエは若干顔色を悪くして、「アシュリーは友人だから誤解しないでよ!!」と叫んだのだった。
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