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8歳の少年に「救助代20ドルとコーラ」を請求された
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舞台はアメリカ・アリゾナ州の広大な砂漠地帯。 55歳の厳格だが息子に甘い父親ジョンと、天使のような美貌を持ちながら中身は超やんちゃな8歳の息子レオ。二人は男手一つ、二人三脚で暮らしている。 ある日、ジョンが念願の巨大ピックアップトラック「フォード F-350」を購入して帰宅。しかし、スポーツカーを夢見ていたレオは大激怒! 「パパのばか!」と叫び、父親のライフルと愛馬を持ち出して砂漠へ家出してしまう。そこでレオが遭遇したのは、砂に埋まって立ち往生する日本人観光客だった……。
★★★★
太陽が容赦なく照りつけるアリゾナの午後。蜃気楼がゆらめくその向こうで、真っ赤なマスタング・コンバーチブルが悲しげに傾いていた。
「マジで最悪だ……」
30代の日本人男性二人組、ケンジとヒロシは途方に暮れていた。インスタ映えを狙って舗装路を外れたのが運の尽き。サラサラの砂漠の砂にタイヤを取られ、スタックしてから既に2時間が経過している。
「……なぁ、JAF的なのないの? アメリカ版JAF」
「かけたよ! でも電波1本だし、自動音声が早口すぎて何言ってるか全然わかんねぇよ!」
ヒロシが絶望的に空を見上げる。水も尽きかけ、通りかかる車は一台もない。ただ、サボテンが黙って彼らを見下ろしているだけだ。
その頃、僕は父さんの愛馬「バロン」の背中で揺られていた。
レオ「ふんだ! パパのバカ! 😤」
僕はプラチナブロンドの髪を熱風になびかせながら、怒りで頬を膨らませていた。
だって、ひどいじゃないか。僕はずっと「コルベットのコンバーチブルがいい!」って言ってたのに。今日、パパが得意げに乗って帰ってきたのは、デカくてゴツい『フォード F-350』だったんだ。あんなトラック、全然クールじゃない。
レオ「あんなの農場の車だよ! 僕はスポーツカーが良かったのに! 😭💔」
僕は鞍のホルスターから、パパがうっかり挿しっぱなしにしていたウィンチェスターライフルを引き抜いた。重たいけど、撃ち方は教わってる。
ズドン!!
乾いた銃声が響き、少し離れたところにあったサボテンの一部が弾け飛んだ。
レオ「へへっ、命中! 💥🌵 パパの大事なサボテン、撃っちゃったもんねーだ!」
愛犬で、僕の忠実なしもべであるドーベルマンのハウザーが「ワンッ!」と足元で跳ねる。
その時だった。視界の端に、砂漠には似つかわしくない鮮やかな赤色が飛び込んできた。
レオ「……ん? あれは……マスタング!? 😲✨」
憧れのコンバーチブルだ! でも、様子がおかしい。タイヤが砂に埋まっている。
僕はニヤリと笑った。この辺の砂は厄介なんだ。都会もんがハマる典型的なパターンだね。
レオ「ニシシ……ちょっと脅かしてやろうかな 😈🔫」
僕はバロンの腹を蹴り、砂煙を上げてその車へと急接近した。
ケンジとヒロシは、地響きのような音に顔を上げた。
そこには、映画のワンシーンのような光景があった。馬に乗った金髪の美少年。透き通るようなスチールブルーの瞳は、まるで宝石のように美しい。
……だが、その手にはライフルが握られており、横には凶悪そうなドーベルマンが控えている。
「ヒ、ヒロシ……あれ、ヤバくないか? 銃持ってるぞ……」
「お、落ち着け……子供だぞ……?」
二人が凍りついている前で、僕は手綱を引いてバロンを止めた。
彼らの顔を見て、僕はピンときた。この顔立ち、この雰囲気……。
レオ「(……日本人だ!!)😮💡」
僕の頭の中で、大好きなアニメ『NARUTO -ナルト-』のオープニングテーマが爆音で鳴り響く。2ヶ月前、パパと行った日本旅行の記憶が蘇った。秋葉原、最高だったなぁ。
脅かすのは中止! 助けてあげよう!
……でも、タダでとは言わないよ? だって僕は今、機嫌が悪いんだから。
僕は馬から飛び降りると、ライフルの銃口を空に向けたまま、ツカツカと彼らに歩み寄った。そして、スマホを取り出しGoogle翻訳アプリを立ち上げる。
レオ「Hey! You guys Japanese? Naruto? 🍥🦊」
ケンジが引きつった笑顔で頷く。
「イ、イエス! ジャパニーズ! ナルト、知ってる! ライク!」
よし、交渉開始だ。僕はスマホに英語を吹き込み、翻訳音声を再生した。
📱スマホ音声『私の名前はレオです。助けてあげましょうか?』
二人の顔がパァっと明るくなる。
「おお! 助かる! プリーズ! ヘルプ・アス!」
僕は人差し指をチッチッと振って、あどけない笑顔で言った。もちろん、アプリを通して。
📱スマホ音声『条件があります。その車の運転席に座らせて。あと、コーダ(ソーダ)が飲みたい。それから20ドルください』
ケンジとヒロシは顔を見合わせた。
(……こいつ、めちゃくちゃ可愛い顔して、言うことは山賊じゃねーか!)
(足元見てきやがった……! でも背に腹は代えられん!)
ヒロシが財布から20ドル札を出し、クーラーボックスからコーラを取り出した。
「O、OK! ディール! Deal!」
レオ「わーい! 商談成立だね! 😆🤝💵」
僕は20ドルをポケットにねじ込み、冷たいコーラを受け取ると、憧れのマスタングの運転席に飛び乗った。
うわぁ、最高! 革の匂い! 低い視線!
レオ「やっぱりこれだよ! F-350なんて目じゃないね! 🏎️💨✨」
僕はハンドルを握って、口で「ブローン! ブロロロ……」とエンジン音の真似をした。
日本人の二人は、僕がすぐに助けを呼んでくれると思っているみたいだけど、もう少しこの時間を楽しませてよ。
僕はスマホを操作して、片言の日本語で話しかけた。日本旅行で覚えたとっておきのフレーズだ。
レオ「お兄さんたち、木の葉の里から来たの? 🍃 Dattebayo?」
ケンジが苦笑いしながらスマホに向かって話す。
📱スマホ音声『違います。東京から来ました。ねえレオ君、どうやって車を出すの?』
レオ「東京! すげー! ……車? ああ、パパが来ないと無理だよ。パパのトラックなら一発さ 🤷♂️🇺🇸」
僕はコーラを飲みながら、Google翻訳での会話に夢中になった。
📱スマホ音声『日本のアニメは何が好き?』
📱スマホ音声『君の銃は本物?』
📱スマホ音声『早くパパを呼んでくれないか? 死にそうだ』
レオ「あはは! 大丈夫だってばよ! 僕がここにいるんだから寂しくないでしょ? 😄」
可愛い顔して図々しいガキだ、と思われているのはなんとなく分かる。でも、こんな砂漠のど真ん中で日本人と話せるなんて、最高の暇つぶしだ。僕はご機嫌だった。
その頃、レオの家では……。
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ジョン(55歳)は、納車されたばかりのピカピカのF-350の前で、顔面蒼白になっていた。
「レオ……? どこに行ったんだ……?」
厩舎(きゅうしゃ)を確認したジョンの背筋に、冷たいものが走った。
愛馬のバロンがいない。
そして何より、手入れのために出しておいたウィンチェスターライフルが消えている。
「Oh my God... 嘘だろ……レオ……!! 😱💦」
ジョンは震える手でF-350のドアを開けた。
厳しく育ててきたつもりだった。だが、あの子は母親に似てとびきり美しく、そして誰にでも話しかける危なっかしい性格だ。
もし、銃を持ったまま誰かとトラブルになったら……?
もし、誘拐でもされていたら……?
「頼む、無事でいてくれ……!!」
ジョンは巨大なV8ディーゼルエンジンを唸らせ、砂煙を上げて砂漠へと飛び出した。皮肉にも、レオが嫌がっていたそのパワフルなトラックだけが、砂漠の彼方で立ち往生する日本人たちと、やんちゃな息子を救える唯一の希望だった。
レオ「あ、そうだ! この車、屋根開けてよ! 写真撮りたい! 📸✨」
砂漠の真ん中で、レオの無邪気な要求はまだまだ続く。
V8エンジンの轟音が、静寂な砂漠を切り裂いていく。
俺の新しい相棒、フォード F-350 スーパーデューティー。
6.7リッターのパワーストローク・ディーゼルターボが唸りを上げる。普段ならこの重低音に酔いしれるところだが、今の俺の心臓はエンジンの回転数よりも速く脈打っていた。
「頼む……神様。レオ、無事でいてくれ……!」
ハンドルを握る俺の手のひらは、冷や汗でぐっしょりと濡れている。
55歳になってようやく授かった、目に入れても痛くない一人息子。亡き妻に似て、透き通るような肌とプラチナブロンドの髪を持つ、天使のような我が子。
だが、あいつは時々、心臓が止まるようなことをしでかす。銃を持ち出しただと? 馬に乗って消えただと?
砂埃の向こうに、赤い点が見えた。
「あれは……!」
アクセルをさらに踏み込む。巨大なピックアップトラックが砂の丘を乗り越える。
そこには、無様に砂に埋まったマスタングと、俺の愛馬バロン、そして……。
運転席のドアに寄りかかり、コーラを片手に何やら外国人たちと談笑している小さな影があった。
俺はトラックを急停車させると、シフトをパーキングに入れるのももどかしく、ドアを蹴り開けて飛び出した。
「レオォォォォォッ!!! 😱💢」
砂を巻き上げながら、俺は息子に向かって走った。
レオが驚いて振り返る。「あ、パパ!」
俺は勢いのまま、その小さな体を抱きすくめた。
アメリカン・フットボールのタックルのような、あるいはグリズリーのような抱擁だ。
「Oh God!! Oh my God!! Leo!! 無事か!? 怪我はないか!? 😭💦」
俺の太い腕の中に、レオの顔が埋まる。石鹸と砂埃の混じった、愛しい息子の匂い。
本当に生きていた。無事だった。体の力が抜けそうになるほどの安堵感が、熱い塊となって喉の奥から込み上げてくる。
俺は涙目になりながら、何度も何度もその頭を撫で回した。
「パパ! 苦しいってば! 離してよ! 😫💦」
レオが俺の胸板を小さな両手で押し返そうとする。
俺はハッとして腕を緩めたが、すぐに親父としての威厳を取り戻すべく、膝をついてレオの目線に合わせ、鬼の形相を作った。
「レオナルド! お前、何てことをしたか分かってるのか!? 勝手に銃を持ち出して! バロンに乗って! もし暴発したらどうする!? もし落馬して頭を打ったら!? パパは……パパは死ぬほど心配したんだぞ!! 😡🔥」
俺の剣幕に、さすがのレオも一瞬ビクッとして、あの大きなスチールブルーの瞳を揺らした。
近くにいたアジア人の男たち(おそらく日本人だろう)も、俺の迫力と腰のベルトのバックル、そして怒号に怯えて直立不動になっている。
だが、俺の息子はタダモノじゃない。
レオはすぐにふくれっ面になり、俺を睨み返してきたのだ。
「だって! パパが悪いんだもん! 😤」
「な……何だと!?」
「僕はずっとコルベットが欲しいって言ったのに! パパがあんなダサいトラック買ってくるから! むしゃくしゃしてドライブに来ただけだもん! 僕は悪くない! 😠💨」
この強情さ。この口の減らなさ。
俺は呆れると同時に、その度胸に少しだけ笑いそうになってしまった。俺の若い頃にそっくりだ。いや、口の悪さは俺以上かもしれない。
「ダサいトラックだと? これを見ろ。このF-350がなきゃ、お前も、そこのへなちょこマスタングも、一生ここで日干しになるところだったんだぞ!」
俺がマスタングを指差すと、レオはふんと鼻を鳴らし、ショートパンツのポケットからクシャクシャになった紙幣を取り出した。
「ふん! 僕はちゃんと仕事してたよ。見てよこれ! 💵✨」
「……20ドル札? なんだこれは?」
「救助活動の前金! コーラももらったし! 日本人のお兄さんたちと商談成立してたの! パパが来なくても、僕がなんとかしたもん! 😎」
俺は開いた口が塞がらなかった。
遭難しかけた観光客を相手に、8歳の子供が商売をしていただと? しかも、ちゃっかりコーラまでせしめて?
可愛げな顔をして、中身はとんだギャングだ。
俺は深いため息をつくと、被っていたカウボーイハットの位置を直した。
怒りはもう、どこかへ消えてしまっていた。こいつが無事なら、もうそれでいい。20ドルくらい、こいつの冒険の報酬として認めてやろう。
「……たく、お前ってやつは。全く、誰に似たんだか 🤷♂️🇺🇸」
俺は立ち上がり、怯えている日本人二人組に向き直った。
彼らは俺の巨体を見上げ、救世主を見るような、それでいて猛獣を見るような目で見ている。
「Hey, boys. 災難だったな。俺の息子が迷惑かけたか? いや、20ドル巻き上げられたなら『ビジネス』済みか」
俺はニカっと笑い、親指で背後のF-350を指した。
「下がってな。俺のトラックのウィンチで、その可愛いおもちゃ(マスタング)を砂場から引っ張り出してやるよ。これが『ダサいトラック』の実力ってやつさ! 💪🇺🇸🚚」
レオが横で「べーっ」と舌を出す。
俺は息子の頭を大きな手でガシガシと乱暴に撫で回し、運転席へと向かった。
やれやれ、今日は長い一日になりそうだ。でも、最高の夕日が見られそうだな。
ウィンチのワイヤーを巻き上げるモーター音が、頼もしく響く。
『フォード F-350 スーパーデューティー』の圧倒的なトルクが、砂に埋まったマスタングを、まるで軽いプラスチックのおもちゃのようにズルズルと引きずり出した。
「Oh... Amazing...!!」
日本人たちが拍手している。俺はカウボーイハットのつばを指で押し上げ、ニヤリと笑った。
「言っただろ? これが『本物』の力だ 💪🇺🇸」
彼らは何度も頭を下げて礼を言っている。
俺は彼らに近づき、少しだけ声を潜めて言った。
「いいか、Boys。最後に一つ教えてやる。ここからあっちの岩山まで、見渡す限りのこの砂漠……全部俺の敷地(バックヤード)なんだよ 🌵😎」
「Eeeeh!? Really!?」
二人が目を丸くして驚愕している。
そうだ。ここは俺の庭だ。だからこそ、レオがここを走り回っていても、ある程度は目を瞑っていたんだが……ま、スタックした車を見つけるなんてお手柄だったな。
「気をつけて帰れよ。舗装路までは俺のタイヤ跡を辿っていけばいい」
日本人たちを見送った後、俺は愛馬バロンの首筋をポンと叩いた。
「さて、バロン。お前は少し散歩してこい。晩飯までには厩舎に戻るんだぞ 🐴👋」
バロンはブルルと鼻を鳴らすと、慣れた様子で夕日の沈む方向へと歩き出した。俺の敷地内だ、迷子の心配はないし、コヨーテに襲われるようなヤワな馬じゃない。
「よし、ハウザー! お前はこっちだ!」
「ワンッ! 🐕💨」
俺がトラックのリアドアを開けると、ドーベルマンのハウザーがしなやかな筋肉を躍動させて飛び乗った。広いクルーキャブ(後部座席)は、大型犬が寝そべっても余裕の広さだ。
助手席のドアを開け、ふてくされているレオを抱き上げる。
「ほら、乗れ。カウボーイ」
「……ふん 😤」
レオは腕組みをしたまま、重い革張りのシートに背中を預けた。
エンジンをかける。心地よい振動。
俺はそのまま家の方角へハンドルを切ろうとして……ふと思い直した。
せっかくの夕暮れだ。それに、この新しい相棒(トラック)の乗り心地を、この生意気な息子にもう少し味わわせてやりたい気分だった。
「レオ、少し遠回りして帰るぞ。ママが好きだったあの丘の方へ行ってみようか 🌄🚗」
「……勝手にすれば? トラックなんて揺れるだけだもん 😒」
強がりを言っているが、F-350の乗り心地は高級サルーン並みだ。静粛性も高い。
俺はエアコンを快適な温度に設定し、サテライトラジオから流れるカントリーミュージックを低くかけた。
砂漠の悪路を走っているはずなのに、車内は滑るように進んでいく。
しばらく走っていると、隣から聞こえていた文句が止まった。
チラリと横目で助手席を見る。
「…………😴💤」
そこには、さっきまでの生意気なガキ大将はいなかった。
シートベルトに埋もれるようにして、天使が寝息を立てている。
夕日が、レオのプラチナブロンドの髪を黄金色に染め上げていた。長いまつ毛が頬に影を落としている。
その小さな手には、日本人からせしめた20ドル札が、くしゃくしゃになったまま大事そうに握りしめられていた。
(……ったく。寝顔だけは一丁前なんだからな 🥰)
俺は思わず口元が緩むのを止められなかった。
やんちゃで、口が悪くて、商魂たくましくて、行動力がカンストしている8歳児。
亡くなった妻が残してくれた、最高に手のかかる、最高に愛しい宝物。
「コルベットか……。ま、お前が免許を取る16歳になったら、考えてやらなくもないぞ」
聞こえないように小声で呟く。
ハウザーが後部座席から顔を出し、俺の肩に顎を乗せてきた。俺は片手で犬の頭を撫でながら、もう片方の手でハンドルを握り直す。
広大な俺の土地、沈んでいく大きな太陽、頼もしい愛車、そして眠る息子。
これ以上の幸せがどこにある?
俺はアクセルをじわりと踏み込んだ。
このトラックのエンジン音は、きっとレオにとっても最高の子守唄になるはずだ。
「おやすみ、レオ。……愛してるぞ、マイ・リトル・ギャングスター 😘🇺🇸✨」
F-350は長い影を引きながら、アリゾナの大地をゆっくりと走り続けた。
★★★★
太陽が容赦なく照りつけるアリゾナの午後。蜃気楼がゆらめくその向こうで、真っ赤なマスタング・コンバーチブルが悲しげに傾いていた。
「マジで最悪だ……」
30代の日本人男性二人組、ケンジとヒロシは途方に暮れていた。インスタ映えを狙って舗装路を外れたのが運の尽き。サラサラの砂漠の砂にタイヤを取られ、スタックしてから既に2時間が経過している。
「……なぁ、JAF的なのないの? アメリカ版JAF」
「かけたよ! でも電波1本だし、自動音声が早口すぎて何言ってるか全然わかんねぇよ!」
ヒロシが絶望的に空を見上げる。水も尽きかけ、通りかかる車は一台もない。ただ、サボテンが黙って彼らを見下ろしているだけだ。
その頃、僕は父さんの愛馬「バロン」の背中で揺られていた。
レオ「ふんだ! パパのバカ! 😤」
僕はプラチナブロンドの髪を熱風になびかせながら、怒りで頬を膨らませていた。
だって、ひどいじゃないか。僕はずっと「コルベットのコンバーチブルがいい!」って言ってたのに。今日、パパが得意げに乗って帰ってきたのは、デカくてゴツい『フォード F-350』だったんだ。あんなトラック、全然クールじゃない。
レオ「あんなの農場の車だよ! 僕はスポーツカーが良かったのに! 😭💔」
僕は鞍のホルスターから、パパがうっかり挿しっぱなしにしていたウィンチェスターライフルを引き抜いた。重たいけど、撃ち方は教わってる。
ズドン!!
乾いた銃声が響き、少し離れたところにあったサボテンの一部が弾け飛んだ。
レオ「へへっ、命中! 💥🌵 パパの大事なサボテン、撃っちゃったもんねーだ!」
愛犬で、僕の忠実なしもべであるドーベルマンのハウザーが「ワンッ!」と足元で跳ねる。
その時だった。視界の端に、砂漠には似つかわしくない鮮やかな赤色が飛び込んできた。
レオ「……ん? あれは……マスタング!? 😲✨」
憧れのコンバーチブルだ! でも、様子がおかしい。タイヤが砂に埋まっている。
僕はニヤリと笑った。この辺の砂は厄介なんだ。都会もんがハマる典型的なパターンだね。
レオ「ニシシ……ちょっと脅かしてやろうかな 😈🔫」
僕はバロンの腹を蹴り、砂煙を上げてその車へと急接近した。
ケンジとヒロシは、地響きのような音に顔を上げた。
そこには、映画のワンシーンのような光景があった。馬に乗った金髪の美少年。透き通るようなスチールブルーの瞳は、まるで宝石のように美しい。
……だが、その手にはライフルが握られており、横には凶悪そうなドーベルマンが控えている。
「ヒ、ヒロシ……あれ、ヤバくないか? 銃持ってるぞ……」
「お、落ち着け……子供だぞ……?」
二人が凍りついている前で、僕は手綱を引いてバロンを止めた。
彼らの顔を見て、僕はピンときた。この顔立ち、この雰囲気……。
レオ「(……日本人だ!!)😮💡」
僕の頭の中で、大好きなアニメ『NARUTO -ナルト-』のオープニングテーマが爆音で鳴り響く。2ヶ月前、パパと行った日本旅行の記憶が蘇った。秋葉原、最高だったなぁ。
脅かすのは中止! 助けてあげよう!
……でも、タダでとは言わないよ? だって僕は今、機嫌が悪いんだから。
僕は馬から飛び降りると、ライフルの銃口を空に向けたまま、ツカツカと彼らに歩み寄った。そして、スマホを取り出しGoogle翻訳アプリを立ち上げる。
レオ「Hey! You guys Japanese? Naruto? 🍥🦊」
ケンジが引きつった笑顔で頷く。
「イ、イエス! ジャパニーズ! ナルト、知ってる! ライク!」
よし、交渉開始だ。僕はスマホに英語を吹き込み、翻訳音声を再生した。
📱スマホ音声『私の名前はレオです。助けてあげましょうか?』
二人の顔がパァっと明るくなる。
「おお! 助かる! プリーズ! ヘルプ・アス!」
僕は人差し指をチッチッと振って、あどけない笑顔で言った。もちろん、アプリを通して。
📱スマホ音声『条件があります。その車の運転席に座らせて。あと、コーダ(ソーダ)が飲みたい。それから20ドルください』
ケンジとヒロシは顔を見合わせた。
(……こいつ、めちゃくちゃ可愛い顔して、言うことは山賊じゃねーか!)
(足元見てきやがった……! でも背に腹は代えられん!)
ヒロシが財布から20ドル札を出し、クーラーボックスからコーラを取り出した。
「O、OK! ディール! Deal!」
レオ「わーい! 商談成立だね! 😆🤝💵」
僕は20ドルをポケットにねじ込み、冷たいコーラを受け取ると、憧れのマスタングの運転席に飛び乗った。
うわぁ、最高! 革の匂い! 低い視線!
レオ「やっぱりこれだよ! F-350なんて目じゃないね! 🏎️💨✨」
僕はハンドルを握って、口で「ブローン! ブロロロ……」とエンジン音の真似をした。
日本人の二人は、僕がすぐに助けを呼んでくれると思っているみたいだけど、もう少しこの時間を楽しませてよ。
僕はスマホを操作して、片言の日本語で話しかけた。日本旅行で覚えたとっておきのフレーズだ。
レオ「お兄さんたち、木の葉の里から来たの? 🍃 Dattebayo?」
ケンジが苦笑いしながらスマホに向かって話す。
📱スマホ音声『違います。東京から来ました。ねえレオ君、どうやって車を出すの?』
レオ「東京! すげー! ……車? ああ、パパが来ないと無理だよ。パパのトラックなら一発さ 🤷♂️🇺🇸」
僕はコーラを飲みながら、Google翻訳での会話に夢中になった。
📱スマホ音声『日本のアニメは何が好き?』
📱スマホ音声『君の銃は本物?』
📱スマホ音声『早くパパを呼んでくれないか? 死にそうだ』
レオ「あはは! 大丈夫だってばよ! 僕がここにいるんだから寂しくないでしょ? 😄」
可愛い顔して図々しいガキだ、と思われているのはなんとなく分かる。でも、こんな砂漠のど真ん中で日本人と話せるなんて、最高の暇つぶしだ。僕はご機嫌だった。
その頃、レオの家では……。
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ジョン(55歳)は、納車されたばかりのピカピカのF-350の前で、顔面蒼白になっていた。
「レオ……? どこに行ったんだ……?」
厩舎(きゅうしゃ)を確認したジョンの背筋に、冷たいものが走った。
愛馬のバロンがいない。
そして何より、手入れのために出しておいたウィンチェスターライフルが消えている。
「Oh my God... 嘘だろ……レオ……!! 😱💦」
ジョンは震える手でF-350のドアを開けた。
厳しく育ててきたつもりだった。だが、あの子は母親に似てとびきり美しく、そして誰にでも話しかける危なっかしい性格だ。
もし、銃を持ったまま誰かとトラブルになったら……?
もし、誘拐でもされていたら……?
「頼む、無事でいてくれ……!!」
ジョンは巨大なV8ディーゼルエンジンを唸らせ、砂煙を上げて砂漠へと飛び出した。皮肉にも、レオが嫌がっていたそのパワフルなトラックだけが、砂漠の彼方で立ち往生する日本人たちと、やんちゃな息子を救える唯一の希望だった。
レオ「あ、そうだ! この車、屋根開けてよ! 写真撮りたい! 📸✨」
砂漠の真ん中で、レオの無邪気な要求はまだまだ続く。
V8エンジンの轟音が、静寂な砂漠を切り裂いていく。
俺の新しい相棒、フォード F-350 スーパーデューティー。
6.7リッターのパワーストローク・ディーゼルターボが唸りを上げる。普段ならこの重低音に酔いしれるところだが、今の俺の心臓はエンジンの回転数よりも速く脈打っていた。
「頼む……神様。レオ、無事でいてくれ……!」
ハンドルを握る俺の手のひらは、冷や汗でぐっしょりと濡れている。
55歳になってようやく授かった、目に入れても痛くない一人息子。亡き妻に似て、透き通るような肌とプラチナブロンドの髪を持つ、天使のような我が子。
だが、あいつは時々、心臓が止まるようなことをしでかす。銃を持ち出しただと? 馬に乗って消えただと?
砂埃の向こうに、赤い点が見えた。
「あれは……!」
アクセルをさらに踏み込む。巨大なピックアップトラックが砂の丘を乗り越える。
そこには、無様に砂に埋まったマスタングと、俺の愛馬バロン、そして……。
運転席のドアに寄りかかり、コーラを片手に何やら外国人たちと談笑している小さな影があった。
俺はトラックを急停車させると、シフトをパーキングに入れるのももどかしく、ドアを蹴り開けて飛び出した。
「レオォォォォォッ!!! 😱💢」
砂を巻き上げながら、俺は息子に向かって走った。
レオが驚いて振り返る。「あ、パパ!」
俺は勢いのまま、その小さな体を抱きすくめた。
アメリカン・フットボールのタックルのような、あるいはグリズリーのような抱擁だ。
「Oh God!! Oh my God!! Leo!! 無事か!? 怪我はないか!? 😭💦」
俺の太い腕の中に、レオの顔が埋まる。石鹸と砂埃の混じった、愛しい息子の匂い。
本当に生きていた。無事だった。体の力が抜けそうになるほどの安堵感が、熱い塊となって喉の奥から込み上げてくる。
俺は涙目になりながら、何度も何度もその頭を撫で回した。
「パパ! 苦しいってば! 離してよ! 😫💦」
レオが俺の胸板を小さな両手で押し返そうとする。
俺はハッとして腕を緩めたが、すぐに親父としての威厳を取り戻すべく、膝をついてレオの目線に合わせ、鬼の形相を作った。
「レオナルド! お前、何てことをしたか分かってるのか!? 勝手に銃を持ち出して! バロンに乗って! もし暴発したらどうする!? もし落馬して頭を打ったら!? パパは……パパは死ぬほど心配したんだぞ!! 😡🔥」
俺の剣幕に、さすがのレオも一瞬ビクッとして、あの大きなスチールブルーの瞳を揺らした。
近くにいたアジア人の男たち(おそらく日本人だろう)も、俺の迫力と腰のベルトのバックル、そして怒号に怯えて直立不動になっている。
だが、俺の息子はタダモノじゃない。
レオはすぐにふくれっ面になり、俺を睨み返してきたのだ。
「だって! パパが悪いんだもん! 😤」
「な……何だと!?」
「僕はずっとコルベットが欲しいって言ったのに! パパがあんなダサいトラック買ってくるから! むしゃくしゃしてドライブに来ただけだもん! 僕は悪くない! 😠💨」
この強情さ。この口の減らなさ。
俺は呆れると同時に、その度胸に少しだけ笑いそうになってしまった。俺の若い頃にそっくりだ。いや、口の悪さは俺以上かもしれない。
「ダサいトラックだと? これを見ろ。このF-350がなきゃ、お前も、そこのへなちょこマスタングも、一生ここで日干しになるところだったんだぞ!」
俺がマスタングを指差すと、レオはふんと鼻を鳴らし、ショートパンツのポケットからクシャクシャになった紙幣を取り出した。
「ふん! 僕はちゃんと仕事してたよ。見てよこれ! 💵✨」
「……20ドル札? なんだこれは?」
「救助活動の前金! コーラももらったし! 日本人のお兄さんたちと商談成立してたの! パパが来なくても、僕がなんとかしたもん! 😎」
俺は開いた口が塞がらなかった。
遭難しかけた観光客を相手に、8歳の子供が商売をしていただと? しかも、ちゃっかりコーラまでせしめて?
可愛げな顔をして、中身はとんだギャングだ。
俺は深いため息をつくと、被っていたカウボーイハットの位置を直した。
怒りはもう、どこかへ消えてしまっていた。こいつが無事なら、もうそれでいい。20ドルくらい、こいつの冒険の報酬として認めてやろう。
「……たく、お前ってやつは。全く、誰に似たんだか 🤷♂️🇺🇸」
俺は立ち上がり、怯えている日本人二人組に向き直った。
彼らは俺の巨体を見上げ、救世主を見るような、それでいて猛獣を見るような目で見ている。
「Hey, boys. 災難だったな。俺の息子が迷惑かけたか? いや、20ドル巻き上げられたなら『ビジネス』済みか」
俺はニカっと笑い、親指で背後のF-350を指した。
「下がってな。俺のトラックのウィンチで、その可愛いおもちゃ(マスタング)を砂場から引っ張り出してやるよ。これが『ダサいトラック』の実力ってやつさ! 💪🇺🇸🚚」
レオが横で「べーっ」と舌を出す。
俺は息子の頭を大きな手でガシガシと乱暴に撫で回し、運転席へと向かった。
やれやれ、今日は長い一日になりそうだ。でも、最高の夕日が見られそうだな。
ウィンチのワイヤーを巻き上げるモーター音が、頼もしく響く。
『フォード F-350 スーパーデューティー』の圧倒的なトルクが、砂に埋まったマスタングを、まるで軽いプラスチックのおもちゃのようにズルズルと引きずり出した。
「Oh... Amazing...!!」
日本人たちが拍手している。俺はカウボーイハットのつばを指で押し上げ、ニヤリと笑った。
「言っただろ? これが『本物』の力だ 💪🇺🇸」
彼らは何度も頭を下げて礼を言っている。
俺は彼らに近づき、少しだけ声を潜めて言った。
「いいか、Boys。最後に一つ教えてやる。ここからあっちの岩山まで、見渡す限りのこの砂漠……全部俺の敷地(バックヤード)なんだよ 🌵😎」
「Eeeeh!? Really!?」
二人が目を丸くして驚愕している。
そうだ。ここは俺の庭だ。だからこそ、レオがここを走り回っていても、ある程度は目を瞑っていたんだが……ま、スタックした車を見つけるなんてお手柄だったな。
「気をつけて帰れよ。舗装路までは俺のタイヤ跡を辿っていけばいい」
日本人たちを見送った後、俺は愛馬バロンの首筋をポンと叩いた。
「さて、バロン。お前は少し散歩してこい。晩飯までには厩舎に戻るんだぞ 🐴👋」
バロンはブルルと鼻を鳴らすと、慣れた様子で夕日の沈む方向へと歩き出した。俺の敷地内だ、迷子の心配はないし、コヨーテに襲われるようなヤワな馬じゃない。
「よし、ハウザー! お前はこっちだ!」
「ワンッ! 🐕💨」
俺がトラックのリアドアを開けると、ドーベルマンのハウザーがしなやかな筋肉を躍動させて飛び乗った。広いクルーキャブ(後部座席)は、大型犬が寝そべっても余裕の広さだ。
助手席のドアを開け、ふてくされているレオを抱き上げる。
「ほら、乗れ。カウボーイ」
「……ふん 😤」
レオは腕組みをしたまま、重い革張りのシートに背中を預けた。
エンジンをかける。心地よい振動。
俺はそのまま家の方角へハンドルを切ろうとして……ふと思い直した。
せっかくの夕暮れだ。それに、この新しい相棒(トラック)の乗り心地を、この生意気な息子にもう少し味わわせてやりたい気分だった。
「レオ、少し遠回りして帰るぞ。ママが好きだったあの丘の方へ行ってみようか 🌄🚗」
「……勝手にすれば? トラックなんて揺れるだけだもん 😒」
強がりを言っているが、F-350の乗り心地は高級サルーン並みだ。静粛性も高い。
俺はエアコンを快適な温度に設定し、サテライトラジオから流れるカントリーミュージックを低くかけた。
砂漠の悪路を走っているはずなのに、車内は滑るように進んでいく。
しばらく走っていると、隣から聞こえていた文句が止まった。
チラリと横目で助手席を見る。
「…………😴💤」
そこには、さっきまでの生意気なガキ大将はいなかった。
シートベルトに埋もれるようにして、天使が寝息を立てている。
夕日が、レオのプラチナブロンドの髪を黄金色に染め上げていた。長いまつ毛が頬に影を落としている。
その小さな手には、日本人からせしめた20ドル札が、くしゃくしゃになったまま大事そうに握りしめられていた。
(……ったく。寝顔だけは一丁前なんだからな 🥰)
俺は思わず口元が緩むのを止められなかった。
やんちゃで、口が悪くて、商魂たくましくて、行動力がカンストしている8歳児。
亡くなった妻が残してくれた、最高に手のかかる、最高に愛しい宝物。
「コルベットか……。ま、お前が免許を取る16歳になったら、考えてやらなくもないぞ」
聞こえないように小声で呟く。
ハウザーが後部座席から顔を出し、俺の肩に顎を乗せてきた。俺は片手で犬の頭を撫でながら、もう片方の手でハンドルを握り直す。
広大な俺の土地、沈んでいく大きな太陽、頼もしい愛車、そして眠る息子。
これ以上の幸せがどこにある?
俺はアクセルをじわりと踏み込んだ。
このトラックのエンジン音は、きっとレオにとっても最高の子守唄になるはずだ。
「おやすみ、レオ。……愛してるぞ、マイ・リトル・ギャングスター 😘🇺🇸✨」
F-350は長い影を引きながら、アリゾナの大地をゆっくりと走り続けた。
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