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7話、魔女と占いとクレープと2
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「はい、どうぞ」
私は魔女見習いの子が買ってきてくれたチョコと生クリームのクレープを受け取る。
薄い生地を折り畳んだ中に、チョコクリームと生クリームがたっぷりと入っていた。見るからに甘くておいしそうだ。
「あの、私あちらの方で占いをしているので、そこで座って食べましょう」
うながされるまま、私はクレープ片手に彼女の後をついていった。
連れられてきたのは、道路の隅っこに小さいテーブルとイスが二つ設置されている場所だ。ここで彼女は占いをしているのだろう。
イスはテーブルを挟んで向かい合わせに置かれていたので、私と魔女見習いの子は向かい合って座り合った。
ひとまず、クレープが生ぬるくなる前に一口食べてみる。
チョコクリームと生クリームが薄いクレープ生地の中にたっぷり入っているので、一口食べた瞬間生地の隙間から溢れ出た。慌てて生クリームがはみ出た部分を食べる。
チョコと生クリームの甘さがすごいが、クレープ生地のほんのりとした甘みも負けていない。
やっぱり甘いものっておいしい。そう改めて確認する私だった。
と、クレープに夢中でかぶりつく私は、ふと我に返って正面に座る魔女見習いの子に話しかける。
「それでなんだっけ? 占いの話?」
「ん……あ、はい、そうです」
魔女見習いの子もクレープに夢中になっていたのか、私が問いかけるとびっくりしたように顔を上げた。
ちなみに彼女が食べているクレープはイチゴがメインのようだ。生クリームの中に、カットされたイチゴがたくさん入っている。あれもとてもおいしそう。
「……でも変な話だよね、通りがかりの魔女にアドバイスを求めるなんて」
「ですよね……」
「あなたには……あー、そういえば、お名前なに?」
「あ、私はカルラと言います」
「カルラちゃんかー。私はリリア、よろしくね」
思えば自己紹介すらまだだったので、私たちは軽く握手を交わした。
カルラちゃんは三つ編みで、可愛いけどちょっと内気そうな雰囲気だ。
「それで、カルラちゃんにはお師匠様とかいないの?」
「いえ、いるにはいるんですけど……」
どことなく困ったような顔で小首を傾げるカルラちゃん。
「実は弟子入りしてすぐに、まずは一か月ほど実際に魔女として活動してみろと言われまして」
「それでこんなところで占いしてお金稼いでるの? 大変だね」
「あ、でもちゃんと生活費はいただいているんです。なので、占いがうまくいかなくても一か月くらいなら過ごせるんですが……」
カルラちゃんは全身に力が入ったのか、ぎゅっとクレープを握った。わずかに生クリームがはみ出たが、気にする余裕もないらしい。
「……どうせやるなら、ちゃんとやりたいんです。たまにお客さんが来ても私うまく占えなくて……悔しいんです」
「ふーん、なるほど……」
カルラちゃんはどうやら占いがうまくできなくて悩んでいるようだ。
でもそれはしょうがないことだ。いきなりやって上手く行くはずがない。特に魔女の扱う占いは、普通の占いとは少し感覚が違うのだ。
「占いってどんな方法でやってるの?」
「師匠から占い用の品をいただいてるので、それを使っています」
カルラちゃんは持っていたカバンをごそごそ漁り始める。
そして中から色とりどりの丸い石とカードを取り出した。
「この石を使った占いと、カードを使った占いをやってるんです」
「ふーん」
私は色とりどりの石とカードを触って、じっくりと眺めていく。
「石はお客さんに好きなのを投げてもらって、落ちた石の種類と位置で占う石占い。そしてカードの方は伏せてからお客さんに選択させて、その絵柄で占うんでしょ?」
「そうです。もしかしてリリアさんは占いに詳しい魔女さんなんですか?」
「ううん、私は魔法薬の方が専門。ただ昔弟子がこんな占いを練習していたなーって思いだしてね」
私は手に取った石をテーブルの上にころんと投げる。
「カルラちゃんがうまくいかないのは当然だね。これ、占われる対象の魔力が関わってるもん」
「占われる対象の……魔力、ですか?」
「そう。カルラちゃんはまだ分からないだろうけど、基本的に魔女の技能は全部魔力が関わってくるの。魔法薬を調合する時も、自分の魔力を混ぜ込んでいくんだよ」
「へえー……」
「この石もカードも、魔力を込めると……ほら」
私の持つ石の数々は次々に色を変え、カードは絵柄を変化させていく。この光景は占いというよりも、もはや手品に見えるかもしれない。
「わっ、すごい……」
「私は魔女だから、魔力を調整して自在に色や絵柄を変えられるけどね、一般の人の場合はその時の調子によって魔力の波長が変わるの。つまりこれは、相手の魔力の波長をとらえるグッズってわけ」
「これってそういう物だったんですか……」
「で、これらは相手の魔力が必要になる占いなんだけど、訓練してない一般人だと魔力の波長が弱いんだよ。だから、こっちの魔力をまずはこの石やカードに込めて、相手の魔力をより感じ取れるように調整する必要があるの」
そこまで言って、私はカルラちゃんの師匠はスパルタだな、と思った。
こんな占い、魔女見習いの子がいきなりできるはずがないのだから。
「魔力を扱えないとただの石とカードでしかないから、出る絵柄とかはランダム。つまり適当な占いにしかならないってこと」
「ええー……そんなぁ。私まだ魔力なんて扱えませんよ」
「だろうね。自分の魔力を感じ取る修行だけでも半年くらいかかるよ普通」
だというのに、いきなり実践させるなんて……なんというかまあ、厳しい師匠のようだ。
カルラちゃんは自分の師匠の意地悪さに気づいて半泣きになっていた。
「おそらくカルラちゃんのお師匠さんは、魔女の修行は簡単にいかないぞって教えたかったんじゃないかな? それか実際の場で魔力を感じ取れるか期待してたのかも。まあ悪気があってのことじゃないと思うよ」
カルラちゃんを慰めるように言うが、私もちょっとこのやり方は強引だなって思ってたりする。せめて一言くらい説明するべきだろう。
「うぅ……イヴァンナ師匠ひどいですよぉ」
「え……イヴァンナ?」
聞いたことのある名を聞いて、私の頬がひくっと動いた。
「イヴァンナって、まさかイヴァンナ・リベル?」
「え? は、はい、そうです……リリアさん、イヴァンナ師匠のことを知ってるんですか?」
「……多分それ、私の一番弟子じゃないかな」
「ええっ!?」
なんていうことだ……世間は狭い。
まさか独り立ちしたイヴァンナの弟子と、偶然こんなところで出会うなんて。
いや、それよりも驚きなのは、もうイヴァンナが弟子を取っていることだ。確かにあの子は飲みこみも良かったし、独り立ちして大分立つからそれくらいの魔女にはなっているかもしれない。
でも……なんだろう、元弟子がもう弟子を取っているというのは、ちょっとしっくりこない。
「イヴァンナの奴……弟子にはもうちょっと優しくすればいいのに」
むぅ、と唸る。でも、これはなかなかあの子らしいやり方だと思った。
とりあえず弟子にやらせて、そして今度は自分がやってみせて、最後にやり方を教える……という感じなのだろう。天才肌のイヴァンナらしい指導方法だ。
でも、何の説明もなしにやらせるのは、やっぱりちょっとひどい。
「ねえカルラちゃん、とりあえず明日になったらイヴァンナのところに戻りなよ」
「え……いいんですかね?」
「イヴァンナの師匠の私が良いって言ってるからいいのいいの。それで、魔力が使えない状態でこんな占いできるわけないって言っちゃえ」
「え、ええー……そんなこと言ったら怒られそうですけど」
「多分大丈夫だよ。おそらくイヴァンナはそれに気づいて欲しかったと思うから」
魔力を扱えなければ魔女としてやっていけない。イヴァンナは自分の弟子にまずはそのことを気づかせたかったのだろう。多分。
「だから占いはもうこれでお終い。それでさ……」
私はイタズラな笑みを浮かべて、カルラちゃんに身を寄せた。
「……イヴァンナの面白い話、聞きたくない?」
「し、師匠の面白い話……ですか?」
「そうそう。カルラちゃんの知っているイヴァンナって、多分師匠としての姿でしょ? 私の弟子としてのイヴァンナがどんな子だったのか、知りたくない?」
カルラちゃんはなにを想像しているのだろう、私の言葉を聞いて思案するように俯く。
そして顔をあげた時には、その表情は好奇心に染まっていた。
「興味は……あります」
私とカルラちゃんは、しばし見つめ合って、すぐに笑いあった。
よし、この機会にカルラちゃんにイヴァンナのあることないことを教えてしまおう。
まだ魔女見習いの弟子に無茶させた罰だ。というのは建前で、カルラちゃんにイヴァンナのことを色々話したいだけだったりする。
久しぶりにイヴァンナのことを思いだしたせいで、色々と思い出が蘇ってきてしまったのだ。
しかし、自分の弟子が偶然自分の師に会ったと後で知ったら、イヴァンナもびっくりするだろうな。
……そして、私とカルラちゃんは夜になるまでお話をした。
イヴァンナのことだけじゃなく、私の魔女としての知識とかそれはもう色々と。
当然クレープ一個では話の供にはならなかったので、私たちは話しながらクレープを食べては新しく買い、食べては買いを繰り返した。
チョコと生クリームのクレープ以外に、イチゴと生クリーム、バナナとアイス、ブルーベリーとヨーグルトのクレープとか、とにかく食べに食べまくった。
カルラちゃんも食べていたイチゴと生クリームは当然のようにおいしかったし、バナナとアイスのクレープはバナナの強い匂いがバニラアイスでうまく中和されて、これもやはりおいしかった。
ブルーベリーとヨーグルトのクレープは、甘酸っぱさがとても良いアクセントとなっていて最高の一言だ。
結果、カルラちゃんとお話を終えて解散した頃には、もうお腹いっぱいになっていた。
カルラちゃんといっぱいお話もできたし、お腹もいっぱいだしで、もう大満足。
さすがにここから夕飯を食べる気にはならないので、私は大人しく宿に帰ることにした。
空は暗くなっているが、私の心は偶然の出会いと蘇った思い出によって晴れ晴れとしている。
一番弟子のイヴァンナ。二番弟子のエメラルダ。そして最近巣立った三番弟子リネット。
三人とも、元気でやっているのだろうか。夜空を見上げて、そんなことを思った。
私は魔女見習いの子が買ってきてくれたチョコと生クリームのクレープを受け取る。
薄い生地を折り畳んだ中に、チョコクリームと生クリームがたっぷりと入っていた。見るからに甘くておいしそうだ。
「あの、私あちらの方で占いをしているので、そこで座って食べましょう」
うながされるまま、私はクレープ片手に彼女の後をついていった。
連れられてきたのは、道路の隅っこに小さいテーブルとイスが二つ設置されている場所だ。ここで彼女は占いをしているのだろう。
イスはテーブルを挟んで向かい合わせに置かれていたので、私と魔女見習いの子は向かい合って座り合った。
ひとまず、クレープが生ぬるくなる前に一口食べてみる。
チョコクリームと生クリームが薄いクレープ生地の中にたっぷり入っているので、一口食べた瞬間生地の隙間から溢れ出た。慌てて生クリームがはみ出た部分を食べる。
チョコと生クリームの甘さがすごいが、クレープ生地のほんのりとした甘みも負けていない。
やっぱり甘いものっておいしい。そう改めて確認する私だった。
と、クレープに夢中でかぶりつく私は、ふと我に返って正面に座る魔女見習いの子に話しかける。
「それでなんだっけ? 占いの話?」
「ん……あ、はい、そうです」
魔女見習いの子もクレープに夢中になっていたのか、私が問いかけるとびっくりしたように顔を上げた。
ちなみに彼女が食べているクレープはイチゴがメインのようだ。生クリームの中に、カットされたイチゴがたくさん入っている。あれもとてもおいしそう。
「……でも変な話だよね、通りがかりの魔女にアドバイスを求めるなんて」
「ですよね……」
「あなたには……あー、そういえば、お名前なに?」
「あ、私はカルラと言います」
「カルラちゃんかー。私はリリア、よろしくね」
思えば自己紹介すらまだだったので、私たちは軽く握手を交わした。
カルラちゃんは三つ編みで、可愛いけどちょっと内気そうな雰囲気だ。
「それで、カルラちゃんにはお師匠様とかいないの?」
「いえ、いるにはいるんですけど……」
どことなく困ったような顔で小首を傾げるカルラちゃん。
「実は弟子入りしてすぐに、まずは一か月ほど実際に魔女として活動してみろと言われまして」
「それでこんなところで占いしてお金稼いでるの? 大変だね」
「あ、でもちゃんと生活費はいただいているんです。なので、占いがうまくいかなくても一か月くらいなら過ごせるんですが……」
カルラちゃんは全身に力が入ったのか、ぎゅっとクレープを握った。わずかに生クリームがはみ出たが、気にする余裕もないらしい。
「……どうせやるなら、ちゃんとやりたいんです。たまにお客さんが来ても私うまく占えなくて……悔しいんです」
「ふーん、なるほど……」
カルラちゃんはどうやら占いがうまくできなくて悩んでいるようだ。
でもそれはしょうがないことだ。いきなりやって上手く行くはずがない。特に魔女の扱う占いは、普通の占いとは少し感覚が違うのだ。
「占いってどんな方法でやってるの?」
「師匠から占い用の品をいただいてるので、それを使っています」
カルラちゃんは持っていたカバンをごそごそ漁り始める。
そして中から色とりどりの丸い石とカードを取り出した。
「この石を使った占いと、カードを使った占いをやってるんです」
「ふーん」
私は色とりどりの石とカードを触って、じっくりと眺めていく。
「石はお客さんに好きなのを投げてもらって、落ちた石の種類と位置で占う石占い。そしてカードの方は伏せてからお客さんに選択させて、その絵柄で占うんでしょ?」
「そうです。もしかしてリリアさんは占いに詳しい魔女さんなんですか?」
「ううん、私は魔法薬の方が専門。ただ昔弟子がこんな占いを練習していたなーって思いだしてね」
私は手に取った石をテーブルの上にころんと投げる。
「カルラちゃんがうまくいかないのは当然だね。これ、占われる対象の魔力が関わってるもん」
「占われる対象の……魔力、ですか?」
「そう。カルラちゃんはまだ分からないだろうけど、基本的に魔女の技能は全部魔力が関わってくるの。魔法薬を調合する時も、自分の魔力を混ぜ込んでいくんだよ」
「へえー……」
「この石もカードも、魔力を込めると……ほら」
私の持つ石の数々は次々に色を変え、カードは絵柄を変化させていく。この光景は占いというよりも、もはや手品に見えるかもしれない。
「わっ、すごい……」
「私は魔女だから、魔力を調整して自在に色や絵柄を変えられるけどね、一般の人の場合はその時の調子によって魔力の波長が変わるの。つまりこれは、相手の魔力の波長をとらえるグッズってわけ」
「これってそういう物だったんですか……」
「で、これらは相手の魔力が必要になる占いなんだけど、訓練してない一般人だと魔力の波長が弱いんだよ。だから、こっちの魔力をまずはこの石やカードに込めて、相手の魔力をより感じ取れるように調整する必要があるの」
そこまで言って、私はカルラちゃんの師匠はスパルタだな、と思った。
こんな占い、魔女見習いの子がいきなりできるはずがないのだから。
「魔力を扱えないとただの石とカードでしかないから、出る絵柄とかはランダム。つまり適当な占いにしかならないってこと」
「ええー……そんなぁ。私まだ魔力なんて扱えませんよ」
「だろうね。自分の魔力を感じ取る修行だけでも半年くらいかかるよ普通」
だというのに、いきなり実践させるなんて……なんというかまあ、厳しい師匠のようだ。
カルラちゃんは自分の師匠の意地悪さに気づいて半泣きになっていた。
「おそらくカルラちゃんのお師匠さんは、魔女の修行は簡単にいかないぞって教えたかったんじゃないかな? それか実際の場で魔力を感じ取れるか期待してたのかも。まあ悪気があってのことじゃないと思うよ」
カルラちゃんを慰めるように言うが、私もちょっとこのやり方は強引だなって思ってたりする。せめて一言くらい説明するべきだろう。
「うぅ……イヴァンナ師匠ひどいですよぉ」
「え……イヴァンナ?」
聞いたことのある名を聞いて、私の頬がひくっと動いた。
「イヴァンナって、まさかイヴァンナ・リベル?」
「え? は、はい、そうです……リリアさん、イヴァンナ師匠のことを知ってるんですか?」
「……多分それ、私の一番弟子じゃないかな」
「ええっ!?」
なんていうことだ……世間は狭い。
まさか独り立ちしたイヴァンナの弟子と、偶然こんなところで出会うなんて。
いや、それよりも驚きなのは、もうイヴァンナが弟子を取っていることだ。確かにあの子は飲みこみも良かったし、独り立ちして大分立つからそれくらいの魔女にはなっているかもしれない。
でも……なんだろう、元弟子がもう弟子を取っているというのは、ちょっとしっくりこない。
「イヴァンナの奴……弟子にはもうちょっと優しくすればいいのに」
むぅ、と唸る。でも、これはなかなかあの子らしいやり方だと思った。
とりあえず弟子にやらせて、そして今度は自分がやってみせて、最後にやり方を教える……という感じなのだろう。天才肌のイヴァンナらしい指導方法だ。
でも、何の説明もなしにやらせるのは、やっぱりちょっとひどい。
「ねえカルラちゃん、とりあえず明日になったらイヴァンナのところに戻りなよ」
「え……いいんですかね?」
「イヴァンナの師匠の私が良いって言ってるからいいのいいの。それで、魔力が使えない状態でこんな占いできるわけないって言っちゃえ」
「え、ええー……そんなこと言ったら怒られそうですけど」
「多分大丈夫だよ。おそらくイヴァンナはそれに気づいて欲しかったと思うから」
魔力を扱えなければ魔女としてやっていけない。イヴァンナは自分の弟子にまずはそのことを気づかせたかったのだろう。多分。
「だから占いはもうこれでお終い。それでさ……」
私はイタズラな笑みを浮かべて、カルラちゃんに身を寄せた。
「……イヴァンナの面白い話、聞きたくない?」
「し、師匠の面白い話……ですか?」
「そうそう。カルラちゃんの知っているイヴァンナって、多分師匠としての姿でしょ? 私の弟子としてのイヴァンナがどんな子だったのか、知りたくない?」
カルラちゃんはなにを想像しているのだろう、私の言葉を聞いて思案するように俯く。
そして顔をあげた時には、その表情は好奇心に染まっていた。
「興味は……あります」
私とカルラちゃんは、しばし見つめ合って、すぐに笑いあった。
よし、この機会にカルラちゃんにイヴァンナのあることないことを教えてしまおう。
まだ魔女見習いの弟子に無茶させた罰だ。というのは建前で、カルラちゃんにイヴァンナのことを色々話したいだけだったりする。
久しぶりにイヴァンナのことを思いだしたせいで、色々と思い出が蘇ってきてしまったのだ。
しかし、自分の弟子が偶然自分の師に会ったと後で知ったら、イヴァンナもびっくりするだろうな。
……そして、私とカルラちゃんは夜になるまでお話をした。
イヴァンナのことだけじゃなく、私の魔女としての知識とかそれはもう色々と。
当然クレープ一個では話の供にはならなかったので、私たちは話しながらクレープを食べては新しく買い、食べては買いを繰り返した。
チョコと生クリームのクレープ以外に、イチゴと生クリーム、バナナとアイス、ブルーベリーとヨーグルトのクレープとか、とにかく食べに食べまくった。
カルラちゃんも食べていたイチゴと生クリームは当然のようにおいしかったし、バナナとアイスのクレープはバナナの強い匂いがバニラアイスでうまく中和されて、これもやはりおいしかった。
ブルーベリーとヨーグルトのクレープは、甘酸っぱさがとても良いアクセントとなっていて最高の一言だ。
結果、カルラちゃんとお話を終えて解散した頃には、もうお腹いっぱいになっていた。
カルラちゃんといっぱいお話もできたし、お腹もいっぱいだしで、もう大満足。
さすがにここから夕飯を食べる気にはならないので、私は大人しく宿に帰ることにした。
空は暗くなっているが、私の心は偶然の出会いと蘇った思い出によって晴れ晴れとしている。
一番弟子のイヴァンナ。二番弟子のエメラルダ。そして最近巣立った三番弟子リネット。
三人とも、元気でやっているのだろうか。夜空を見上げて、そんなことを思った。
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