転生ご令嬢はのんびり天然でも錬金術(Ex)と植物魔法(Ex)で美と癒しを届けます

きっこ

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第3話「宝石みたいなお菓子、召し上がれ」

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 それは、とてもきらきらしていて、つめたくて、ふるふると揺れるお菓子だった。

 ――名前をつけるなら、《星のかけらゼリー》。

「……ん~、もっと ぴかぴかさせたいなあ……」

 私、アリーセは、今朝も自室でひとりもくもくと“錬金術ごっこ”をしていた。
 もちろん本当は“ごっこ”なんかじゃなくて、昨日からずっと、頭の中には魔法のレシピが浮かんでくる。

 前に作った“美容ゼリー”をもっと楽しく、もっときれいに、誰かと一緒に食べたくて。

 今回の材料はぜんぶ、植物魔法で育てたオリジナル食材だ。



【ジュエル果】
 ……中身が透きとおった琥珀色の実。ほんのり甘酸っぱい。

【星花】
 ……粉にして混ぜるとキラキラ光る。体の内側から潤い効果。

【ミルクの実】
 ……おなじみの白い実。ぷるんとしたコクのある甘み。

【コラーゲン草】
 ……錬金術でゼラチン抽出。ぷるぷる効果。



 これらを混ぜて、冷やして固めるだけ。

 仕上げに、ゼリーの中に“星花の花びら”を浮かべた。
 すると、小さな器の中に、夜空のような幻想的な世界ができあがる。

「……できた~」

 私はにこにこと笑って、スプーンで少しすくってぺろり。

「……おいしっ。ふるふるで、しゃりってして……つめた~い」

 味はジュエル果の甘酸っぱさに、ミルクのまろやかさが加わって、どこか高級なお店のデザートみたい。

 しかも、星花の効果で、食べるとお肌の水分量がぐっと上がるらしい。

 これは、お茶会にぴったりだなぁ――と、私は思った。



 その日の午後。
 姉たちが小さなお茶会を開くことになっていた。

 カトリーナ姉さまが「今度こそ社交界に連れていく前に、お友達とのんびり過ごしてもらおうと思って」と、クラウディア姉さまと相談して用意したらしい。

 庭に白い天幕。
 淡いバラの花を飾ったテーブルに、ティーカップとティーポット。

 そこに、ふたりの姉の友人たちがやってきた。



「まぁ、なんて可愛らしいお嬢さま……!」

「あなたが噂の末娘、アリーセちゃんね?」

 お客さまたちは、上品な笑顔で話しかけてくる。
 私はちょこんとお辞儀して、

「はじめまして、アリーセです」

 と、のんびり自己紹介。
 するとカトリーナ姉さまが、私の耳元でそっと言った。

「ねえ、アリーセ。あのね、おやつがまだ決まってないの。あなた、昨日なにか作ってたでしょう? もしよかったら……」

「うん。たべてもらいたいの、ある~」



 私が部屋から大切に持ってきた、星のかけらゼリー。
 小さなガラスのカップに入ったその姿は、光を受けてまるで宝石のように輝いていた。

 姉たちは一瞬、息を呑んでから、そっとカップを手に取る。

「……まぁ、なんて綺麗……」

「これ、手作りなの? このゼリー……!」

「うん。アリーセがつくった。ぴかぴかにしたかったの」

 私は自慢げに、でもほにゃっとした笑顔で応える。

 皆が一口食べると、ぱっと表情が変わった。

「……ん……なにこれ、冷たくて……ふるふるで……」

「ジュエル果……これ、どこで手に入れたの?」

「うちの にわに はえてるよ?」

「え……庭に!?」

 お茶会の空気が、ふわっと華やかに変わる。
 皆の頬がほころび、うっとりと目を細めて、まるで夢を見ているような表情だった。



 そして次の日。

「アリーセ、昨日のお菓子……ねえ、あれって、なにか入ってた?」

「んー? ラベンダーの はなびらと、ミルクの実と、ぴかぴかするやつ」

 答えながら、私は姉の肌を見てきゅっと目を細めた。

「……なんか、つやつやしてるね?」

「えっ!? ほんとに!?」

 カトリーナは慌てて鏡を見に走っていった。
 続いてクラウディアも、自分の頬を手でさすって驚いたように呟く。

「……もちもちしてる……私の頬、もちもちしてる……!」

「すごいね、アリーセのゼリー。美味しくて……お肌にもいいなんて」

「えへ~、また つくる~」



 私の小さな錬金術は、見た目も可愛くて、美味しくて、お肌にもよくて。
 ちょっとしたお茶会でも、きらきらした話題をくれた。

 誰かに食べてもらって、笑ってもらえるのって――とってもうれしい。

 だから私は、また考える。

「つぎは、もっと きれいで、おいしくて……」

 今日も庭で、ちいさな魔法を育てながら、私の“錬金レシピ”は増えていく。
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