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第八巻・・・美樹ちゃんが書籍化される小説を書いている間私と政樹は・・・官能小説の事について作戦を立てていた!

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美樹ちゃんの小説に対する評価は周りで大きな話題となっていた・・・
政樹と私は、私たちがお世話になっている丸川書店の担当である秋月さんに美樹ちゃんの小説の事を持ちかけてみようと美樹ちゃんの承諾を得てから秋月さんへ伝えようと思っていた矢先の事・・・
秋月さんは出版社を辞める事を告げて来た。
どうしてなのか、あれ程のやり手だと噂も高く、私たちもその様に現に思っていたのに・・・秋月さんはやり手が祟ってなのか、上の人たちから良い目で見られておらず、結局嫌がらせの様な仕打ちも受けてしまう事となり、秋月さん自体、私たちには見せて来なかった影での仕打ち等を教えてくれた。
何とか戻って欲しいと伝えたけど決意は固くその様な背景がある事を知ると無理に戻ってもらうお願いも出来ずにいた。
秋月さんが遂に退職してしまい、新しい担当編集者さんが家に来た。
彼女も秋月さんに色々と教えてもらったり助けられて来た後輩で秋月さんには信頼の感情すらを抱いていた。
私もあの後茫然と過ごしていたが、そんなある日、転機が訪れた!
副社長が亡くなった・・・どうやらこの副社長が引き金になっていたと噂もある・・・
その副社長の代わりで新たに就任したのが政樹のお父さんだった!
政樹のお父さんは海外へ転勤になる程の実力派でもあり、信頼や人望も厚くこれが今回の事態を一転してくれて、政樹のお父さんは秋月さんにも大変お世話になっている事もあるし、自分が副社長だから過去の様な過ちは繰り返さないし、何かあれば直ぐに自分を頼ってくれても良いと秋月さんに戻って来てもらう様私たちに伝えた。
先に直接説得してくれていたみたいだったけど、秋月さん自体の意志も固く諦めた。
そして秋月さんが戻って来てくれた日、私たちは美樹ちゃんの小説の事を持ちかけたのだけど、やはり秋月さんも絶賛してくれて、話を早速上の方へ持ちかけてくれて、美樹ちゃんの作品も無事に商業化への話が進む事になる。





愛華「あぁ・・・良かったね、政樹!無事に美樹ちゃんの小説の話も順調な様で!」

政樹「あぁ!そうだな、これでプロが増える事になるな!」

愛華「でもさ、美樹ちゃんもジャンルとしてはライトノベルだからイラストが必要になって来るよね?」

政樹「そうだな!まっ、俺みたいに素人が急にと言う事は流石に今回は無いだろうな!」

愛華「それね・・・政樹がやるって言うのはどう?」

政樹「おいっ!何を急に・・・!?」

愛華「政樹の早さだと私の小説の挿絵あっと言う間だったでしょ?だったら掛け持ちでってどうかなと思って?」

政樹「お前な!ああ見えて俺も結構大変だったんだぞ?学生が本業の俺たちにとって時間を割いてお前の為にだな・・・」

愛華「でも・・・あんなに素敵なイラストが描けるのに・・・」

政樹「それにだな!挿絵って結構手間掛かるんだよ!先ず、作品が文字だけじゃん?どう言うキャラなのかイメージして、自分だけで描いているならそれで仕上げて行けば良いけど作者と別だからやっぱ作者にも確認取ったり、先に作者のイメージ像を聞いておく必要があるだろ?作品も全体読んでだな・・・色々と時間が掛かるんだよ!だから挿絵だけ見てれば軽いって思うけど意外と見えてない部分で手間暇掛かってんだよ!」

愛華「そうか・・・確かに私の時にも色々と相談し合ったもんね・・・仕方無いか・・・今回は編集者さんたちの方で何とか・・・」

政樹「お前そんな事言って人の事ばかり気に掛けているけどさ?そろそろ官能さんの方を仕上げておいた方が良いんじゃないのか?あれも俺担当だし・・・」

愛華「忘れてたっ!?・・・それにあっちの方の挿絵も政樹が担当してくれるんだよね!?・・・それなら尚更美樹ちゃんの方は無理だよね?・・・」

政樹「当たり前だ!それに官能さんの方は色々と勉強しながらじゃないと割とハードなんだよ!描いた事が無い系のイラストだし・・・」



こうして私は忘れようと・・・いや、忘れてはいけない本来の?・・・官能さん?って人の名前?政樹も面白いよね・・・って言ってる場合じゃなかった!!官能小説も先に仕上げる事にした・・・



愛華「何だか久しぶりだから新鮮な感じがするよ!」

政樹「えっ!?・・・あぁ・・・官能さんの事か?確かに最近色々とあり過ぎててあまりそっちの方ってやって無かったんじゃなかったっけ?」

愛華「政樹?・・・その官能さんって言い方面白いね!」

政樹「ツボに嵌ったのか?・・・特に深い意味はないけど・・・」

愛華「観音さんみたいで可愛いかも・・・」

政樹「変なオヤジギャグだなそれ?・・・」

愛華「政樹がいるから少し面白い話が書けそうだよ!」

政樹「どう言う意味だよそれ!!」



タイトルは「あなたの官能さん」にしようかな?
でも内容はどう言う感じが良いかな?
政樹に聞いてみた!



政樹「はぁ?あなたの官能さん?ってお前なぁ・・・全く、そんな官能小説受けるはずがないだろ!?」

愛華「何て言うか・・・異世界から官能さんって人がやって来て色々とHな事をしてくれるお話・・・」

政樹「これまた偏った性癖をお持ちの様で・・・」

愛華「何よ!?私が欲求不満みたいな事言うつもり?」

政樹「異世界って所は面白そうじゃないか?官能小説で異世界とかあるのか無いのか分からないけどさ・・・最近巷でも流行ってるじゃん?それは採り入れても良さそうだよな?・・・ライトノベル風の官能小説だったっけ?」

愛華「そうだよ!ライトノベルと同じで挿絵が結構あるから読みやすい感じかな?・・・若い男の人からの支持が割と高めかも?・・・」

政樹「そうか・・・だったら良さそうだな!異世界系で!」

愛華「後は・・・18禁じゃないからHな要素も限界があるからそこが毎回大変なんだよ!表現の規制とか色々とあるから・・・私も結構引っ掛かって来たから・・・」

政樹「おいおい・・・お前そんなにそっち系の言葉とか知ってるのか?」

愛華「私も流石にプロとしてやって行かなければいけないから色々と勉強しておいたの!」

政樹「ほへぇ~・・・イメージ沸かねぇ・・・」

愛華「そうやって私をビッチを見る様な目で見ないでよっ!」

政樹「何もそう言う目で見てなんていないだろっ!自意識過剰気味だぞ!!」

愛華「あっ!?・・・政樹~♪下?どうしたのかな?」

政樹「へっ!?・・・あっ!?・・・これはだな・・・関係無い!気にするな!!」

愛華「異世界からセクシーな女性が現れて、そうだな・・・一緒に寝るって感じかな?・・・」

政樹「寝る・・・何だかアバウトな感じだよな?・・・もっとこう・・・それだけで1冊以上になる訳だしさ?・・・異世界からと言うよりは自分が異世界へ行ってセクシーなお姉さんに誘惑されて行く話とか?」

愛華「それいいね!むしろこちらへ来るよりこちらから向こう側へ行った方が創造の力も大きく出来るし♪そうしよう!!うん!!」



なんだ・・・結構ノリノリじゃん!あれだけ嫌がりながらも何とかやって来たって聞いてたからてっきり官能小説の方に入ると滅入った感じになるのかと思っていたけど・・・
と考えていたけど、何だか目がキラキラしているよな?・・・ひょっとして官能小説が嫌だと言う訳じゃないのかも!?・・・やっぱ小説を書く事自体大好きなんだろうな?・・・
色々と考えてどうやって話を組み立てて行くのか、作業過程に楽しみを感じているのかもしれない。俺も絵を描いていた時結構ワクワクしながらやってたもんな!こう言うのって何か良いよな!



愛華「ねぇ?政樹聞いてる?」

政樹「えっ!・・・あっ!悪ぃ!何だ?」

愛華「よくね、18禁だのR15だの表現しているけど、あれってどう言う違いなのかなって?」

政樹「あぁ・・・あれは・・・確か俺テレビで観てた時漫画家さんが言ってたんだけど、イラストで表現すると性器だよ!あれが露出していると規制が掛かるんだ!18禁作品だとそう言う部分にモザイクが日本だと掛かってるけどあそこが出ているか隠されているかで変わって来る!」

愛華「へぇ~・・・そうなんだね!でも文字だとどうなっちゃうのかな?」

政樹「そうだな・・・恐らくだぞ!?恐らく・・・名称とかじゃないのか?そう言う部分の・・・」

愛華「あぁ・・・なるほど・・・文字で区分けされるのって結構微妙なのかもしれないね・・・じゃぁ上半身裸の女性と・・・って表現を入れてみようかな?」

政樹「そうだな・・・でも行為は流石にダメだろ?お前1冊目どう言う感じで書いたんだよ!?」

愛華「う~ん・・・実は1冊目は恋心を重点に置いて書いていたからちょっとHだったけどそれ程酷く影響を受けていないと思うんだよね・・・」

政樹「そうか・・・色々と難しいよな!?だったらいっその事18禁書いた方が楽だろ?」

愛華「そうなんだよねぇ~・・・どこ迄が大丈夫でどこからがダメなのかと言うボーダーラインギリギリだったりするから・・・だから秋月さんにも注意されたし・・・」



そうか・・・あれだけ信頼関係にあると思っていた所にはその様な事もあったんだな・・・
それにしても18禁の方が楽ってお前それはどうかと思うぞ?



愛華「今はまだ高校生だけど、この先私が学校を卒業して大人になったら18禁作品ってのもチャレンジしてみようかなって考えてる!!」

政樹「それはそれは・・・頑張れ~・・・」



ダメだ・・・やる気満々の様子・・・でも正直言ってこんな美少女がとんでも無くエロい展開の小説とか、どう言う内容なのか興味深々なのだが?・・・



政樹「それより美樹ちゃんもそろそろだろ!?色々と不安抱えてるかもしれないし電話掛けてみないか?」

愛華「えっ!?・・・そうだね!最近待ち時間みたいになってたから色々と不安かも!?・・・ちょっと掛けてみる!」



♪ピロロロロ~電話デース・・・プロロロロ~TELデース



美樹「はい!私です!あっ!?先輩、こんにちは♪どうかされましたか?」

愛華「うん、しばらく待ちの状態だったろうから色々と不安なんじゃないかなって思って・・・」

美樹「あぁぁ♪ありがとう御座います!私は大丈夫です!凄く嬉しくて、それで待ち遠しいなって思ってます!・・・ただ・・・」

愛華「どうしたの?」

美樹「私の作品をお金出して買ってくれる人に満足してもらえるだろうか?って考えるとそれだけが気になってしまって・・・」

愛華「あぁ・・・分かるよ!私は今でもそう言う感じだもん!」

美樹「先輩がですか!?・・・やっぱり先輩も色々と不安ってありますか?」

愛華「うん!今でも美樹ちゃんと同じ気持ちだと思うよ♪でもそれとは反対にね?お金を出してくれている程私の作品の事を知ろうとしてくれている、好きになってくれている人もいる・・・その人たちの為に、その大事なお金を出してくれた事に対するお礼の気持ち、ありがとうの気持ちを作品にしたためたいなって最近は思っているよ?だからこうして商業として書籍化してくれている裏側を知ると皆が協力して私たちの作品を形にしてくれている・・・その人たちの為にも私は頑張って作品を書いて行かなければならないんだなって思うの!」

美樹「先輩・・・私、感動しました!少し着信音変えてみます!」

愛華「えっ!?着信音?」

美樹「はい!今、少し「デス」感情だったので今度は「フワフワ」感情に切り替えたいと思います!」

愛華「そっ!?・・・そうなんだ・・・うん!きっと「デス」よりも「フワフワ」の方が温かくて良さそうな気がするよ!頑張ってね?私も頑張るから!」

美樹「はい!!本当にいつもお心遣い、ありがとう御座います。師匠♪」

愛華「ははは・・・やっぱり師匠は恐れ多いよ!先輩でいいかな?」

美樹「えぇ~!?師匠は師匠ですよぅ~!!」



着信音ってどんなのだったんだろう?凄く気になる・・・
「デス」感情って一体!?・・・どうして小文字のカタカナなの?
「フワフワ」ってどう言う「フワフワ」?・・・色々と私の頭の中は美樹ちゃんが言っていた不思議な事でいっぱいだった・・・



政樹「どうした?何かあったのか?美樹ちゃんどうだって?」

愛華「あっ!?政樹!?・・・「デス」感情って何?「フワフワ」感情ってどう言う意味?」

政樹「はぁ?・・・何だよその「デス」感情って!?・・・それに「フワフワ」感情?・・・俺が聞きたいぞ!?」

愛華「美樹ちゃんがね・・・「デス」感情だったけど私が電話したから「フワフワ」感情に着信音を変えるって・・・どう言う事かな?」

政樹「美樹ちゃんが言ってたのか!?・・・だったらきっと勇気付けられたんじゃないのか?ほら、どう考えたって「デス」=DEATH:死を意味するだろ?だからそこから幸せ気分で「フワフワ」するからと言う意味じゃないのか?」

愛華「なるほど!そう言う事だったのか・・・だとすれば良かった!」

政樹「あくまで・・・俺の推測の話だがな?」





美樹「設定は・・・っとこれこれ!「あなたの想いにフワフワ」私この曲大好きなんだよね♪でもさっき迄使ってた「君のHeart(ハート)にKnockout(ノックアウト) Death(デス)」はラップ調の曲でノリが良くてこっちも大好きなんだよねぇ~♪この曲結構不評なんだけど、洒落が混じってて面白いし♪だって、君のハートにノックアウトして死んじゃうとか日本じゃ無いノリじゃない!?でも「Death」と、日本語の「~です」を掛け合わせているから日本語になってるんだよね♪本当センスが無いよこの曲のタイトル考えた人って!!まぁ、歌ってる人だけど・・・」





愛華「さて・・・と、続き考えよ?」

政樹「異世界にどうしたら飛ばされるんだ?」

愛華「そうね・・・色々とあるけど、ある日突然部屋全体に光の海になって・・・気が付いたら異世界にいた!!」

政樹「その光は何故出て来た?」

愛華「う~ん・・・異世界の者が呼び寄せたから!・・・主人公を誘い出す為に!!」

政樹「どうして主人公なんだ?他の人間ではダメなのか?」

愛華「それは・・・その・・・主人公だから?・・・」

政樹「何か悪いって事では無いけどさ・・・ありがちと言うかありふれ過ぎてないか?」

愛華「だったら政樹ならどう言う事を考えるのよ?」

政樹「そうだな・・・幼少の頃から戦隊モノが好きでよく見ていたからヒーローに憧れて道中でも変身ごっこみたいな事をやってだな・・・今日もそれをやろうかと思った途端周りに結界が張られてしまい、異世界へ飛ばされてしまうが、異世界では実世界で叶わなかった戦隊ヒーローになれて活躍してご褒美に官能さんになれるんだよ!」

愛華「政樹?・・・もしかして、その案件の主人公・・・自分と重ねて見てない?」

政樹「だっ!?誰がこんなお子ちゃまみたいな夢を・・・持ってんだよ!?・・・俺がかよっ!?・・・無い無い!いくら俺でももう高校生だぜ!?流石にそんな夢なんて・・・」

愛華「あっ!?窓の外に異世界の魔法使いが戦隊ヒーロー探して待ち構えてるよ?」

政樹「おい、マジかよっ!?ここにいます!!今行きます!!・・・あれ?いないぞ?」

愛華「政樹~?・・・ちょっと大人の話をしましょうか?」

政樹「何でお前は一々そうやって舌舐めずりしながら妖艶に俺を見るんだ?それと、大人の話ってなんだよ!?お前が言うとエロいんだよ!!」

愛華「だって狙って言ったんだもん♪」

政樹「愛華~・・・はぁ~・・・そう言う事はだな・・・卒業してからにしろっ!!」

愛華「えっ!?卒業したら良いの?じゃぁ頑張って卒業しなきゃっ!!」

政樹「それはそうと、全く話が進まんっ!そろそろ締め切りだっただろ?俺が挿絵描くんだったら尚更時間に余裕を見てもらいたいものだ!まだ経験が無いんだし!!」

愛華「そうか・・・政樹は童貞さんだったんだぁ・・・」

政樹「おまっ!?・・・それは流石にダメだろ・・・」

愛華「違うの?」

政樹「違わない・・・でも違う!!」

愛華「えへっ♪」

政樹「なぁ、今日のお前なんか色々と変だぞ?最初凄くやる気なんだなって思っていたのに・・・何かあったのか?俺に言える事なら遠慮せずに言ってくれよな?」

愛華「えっ!?・・・そうか・・・政樹にとってはそう言う風に見えてたのか・・・私ね、今凄く幸せなんだ♪・・・本当は官能小説書く事自体は嫌いじゃないし、むしろ今迄やった事が無い方面でのチャレンジだったから・・・ただ・・・ね?・・・やっぱりそっちの意味では経験も無かったし、知識も全く無かったからどうやって書けば良いのか凄く悩んだし、さっきも言ったけど秋月さんとも揉めた事だってあった・・・でもそれを乗り越えられたから今の自分があるし、こう言うジャンルの作品があって、自分が実際知らないのに色々とあったり、調べてみたり、勉強にもなった・・・でもやっぱりこう言う作品だからこそ、1人で書きたいって言う人もいるだろうし、複雑な気持ちもある人もいる・・・私は・・・こう言う作品を書く時は1人だと寂しかったんだ・・・」

政樹「愛華・・・お前!?」

愛華「Hな内容だからやっぱり女の子としては大切な男の子がいてくれた方が落ち着くのかな?・・・1人だと寂しいし・・・だから今、本当は凄く嬉しくて、舞い上がっちゃってるのかもしれない・・・ごめんね?政樹を不安にさせちゃったね?でも今の私は大丈夫!政樹がこうして近くで一緒にいてくれている・・・政樹がいなかった時にこっちの官能小説の方のお仕事はもう辞めようかってずっと秋月さんにも相談していたんだけど、今は逆にもっと挑戦して行きたいなって考えてるの・・・だから・・・」

政樹「愛華っ!!」

愛華「政樹っ!?・・・」



俺は思わず愛華を抱きしめてしまった!!こんな事言われて黙っている男なんて男じゃねぇ!!そう言わんとばかり俺は愛華を優しく抱きしめた!!本当は強く・・・もっと強く抱きしめたかったけど、か弱い体をその様にするのはやはり俺には出来なかった・・・愛華はそのまま俺に抱きしめられて安堵の吐息を漏らした・・・



愛華「はっ!?・・・↑これ使おうよ!これ良い!!まさに官能小説にうってつけの表現が混じっているから!!」

政樹「あ~い~か~!!!!!?折角良いムードだったのに・・・お前って奴は!!!」

愛華「てへっ!?」



だって恥ずかしいでしょ・・・本当は、凄く・・・凄く嬉しかったよ?・・・だって政樹から私を・・・強くじゃなくて私の事を考えてくれて・・・とても優しい政樹の気持ちが痛い程伝わって来たよ?・・・大好きな政樹だもん♪こんな幸せな気持ち私・・・



政樹「引けを取らない↑これも使うとしよう!」

愛華「酷い~!!!仕返しなんて・・・」

政樹「これでおあいこだよな?ははは♪」



何とか良い話が創れそう・・・政樹が私をリラックスさせてくれたおかげで♪ありがとう政樹♪



政樹「↑ここのシチュは入れておくか?」

愛華「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」





政樹「と言う訳で一応題材的なまとめが終わり・・・これをお前が組み立てて行く事になった訳だが・・・」

愛華「うん!私頑張るよ!見ていて?官能さん?」

政樹「現実逃避は止めようね?愛華ちゃん?」

愛華「だって・・・だって・・・中々題材すら浮かばないもん・・・どうすれば・・・」

政樹「そう言う時は~・・・」



♪たらたたったた~ん



「あ~き~づ~き~しゃ~ん!!!」



小波「その下り・・・好きなんですか?」

政樹「すみません、一度やってみたかっただけです・・・」

小波「まぁ、それはさておき、どうやらお悩みのご様子だと政樹君から電話が掛かって来たので・・・」

愛華「ありがとう御座います!秋月さんがいれば1000人力ですよ!」

小波「私そんなに怪力女じゃありませんが・・・まぁ、官能小説の題材でお悩みだと聞いていましたが・・・割とよくあるタイプですね・・・」

愛華「そうなんです・・・過去に秋月さんに言われて来た事を整理しながら考えていたんですが・・・」

小波「本来の官能小説はもっと性的描写も濃いものになりますので流石に先生たちのご年齢では早過ぎますので致し方ありませんが、今回については、ライトノベル風を活かした作品にする予定ですので、私がご提案出来る事としましては、先ず、ライトノベルでの恋愛小説チックな内容を採り入れてからある程度の描写を各場面で設けて行くのが近道だろうと思っています。」

愛華「あっ!?・・・それだとやりやすいかもしれないです!!先に全体的な流れをライトノベル風に作り上げて、残りを各シーンのどの辺りで採り入れて行くか繋げて行けば良いですし・・・」

政樹「それだったら俺も大体の雰囲気が読めるから俺もやりやすいかも!?」

小波「このお仕事は何が正解で何を先にしなければいけないと言う事は一切ありません。仕事を仕上げるのは先生ご自身であって、全てを先生ご自身のやりやすいやり方で仕上げる方が効率的だろうと考えます。」

愛華「やっぱり秋月さんに相談して良かったよ!!秋月さん、ありがとう御座います!!」

小波「いいえ、私は何もしていません!又何かありましたらご遠慮無く言って下さい!」

政樹「流石秋月さん!」

小波「いえいえ、私は何も・・・」

政樹「上手くエロから逃げたな!!」

小波「えっ!?・・・」

政樹「全体的なアドバイスを頂けた事に対しての仕事の効率化と言う面では非常に参考になりましたが!・・・肝心の題材についてのアドバイスがまだでしたよね?・・・ねっ!?」

小波「あの・・・顔が少々近いですが・・・私は・・・その・・・ですね?・・・私も・・・その・・・ですね?・・・官能小説を担当するのは・・・お恥ずかしながら・・・今回が初めてと申しますか・・・私も・・・それ程経験を積んで来た・・・いや、それは色々な経験と言う意味で・・・そんな偉そうにアドバイス出来る程の経験がまだ・・・その・・・」

愛華「政樹?・・・気持ちは嬉しいけど、その辺で止めてあげて?・・・聴いてるこっち迄悲しくなっちゃうから・・・」





秋月さんが家に来てかれこれ2時間程が過ぎた午後1時頃・・・昼食も済ませてもう一踏ん張りと言った所・・・相変わらず題材と言うかどう言う内容でと言う所が空白になっちゃってる・・・どうしようかな?・・・



愛華「う~ん・・・異世界へ主人公が転生して色々と活躍して最後は・・・と言う内容にしようかな?・・・それとも異世界へ転生したら既に!!と言う内容にしても良さそうな気がするけど・・・」

小波「異世界ものって流行りですからね!それを官能小説に採り入れてみるのも良い気がしますね!・・・ただ、一般的な異世界ものだとありふれていてインパクトに欠けてしまうのも最近の状況の一つだろうと考えます。ですので・・・異世界に転生した主人公が女の子に変身してしまう・・・百合要素で書かれてみるのは如何でしょうか?」

愛華「ほへぇ~・・・そこ迄は頭に無かったです!!」

政樹「面白そうじゃないですか!!それ行きましょうよ!!官能小説だからと言って男女と言う決まりも無いでしょうし・・・結構各々のジャンルを取ればありふれていますが、組み合わせ方は斬新だなと感じました!」

秋月「お役に立てばと言う感じなので無理強いはしません!私も本当にこちらのジャンルには疎くて・・・本当に申し訳ありませんが・・・」

愛華「秋月さん!ありがとう御座いました!おかげで面白そうな内容で書く事が出来そうです!」





秋月さんのアドバイスの一つをもらう事にして、異世界へ転生した主人公は転生すると同時に性転換してしまうと言う内容で異世界では女の子しか存在しないと言う所迄設定を挙げて行く事にした。
そして、その主人公と異世界の女の子で官能さんをする事に・・・
基本的なストーリーとしては、異世界へ転生する意味として主人公が異世界の住人たちから選ばれた・・・何を?・・・・異世界では大変な事件が起きていて、異世界を支配し乗っ取られる所に主人公が女の子として転生し、悪い奴らを倒して行くストーリー・・・
最初に呼び寄せた女の子と共に闘いながら途中で官能さん的な事をしたり、敵に操られて官能さんみたいな状況に陥ったり、新たに出来た仲間たちと共に敵を倒している最中に官能さん的な出来事が生じたり、ラッキースケベ的な事になってしまったり・・・
1冊書くのに、学校等もある為、1週間程掛かり、ようやく私はプロット創りも終え、後は秋月さんのチェック・・・そして挿絵に向かう事になります・・・





小波「先生!相変わらずかなりのハイペースですが、お体の方は大丈夫ですか?」

愛華「はい・・・何とか大丈夫です!」

小波「それでは、拝見致しますね。」



秋月さんは毎回その場でチェックをしてくれます。
部に持ち帰って確認される方もいるみたいなのですが、1冊分の文字数10万文字超え・・・
秋月さんは真剣にしっかりと作品を見てくれます。
ですが、やはりプロの方で、それらを約2時間程度で読み上げます。
その都度何かを指摘して来たり訂正を言って来るのでは無く、鉛筆で気になった部分をチェックされます。それから一番最後、読み終えた直後に順番に指摘をされるので私も助かります。



小波「先生・・・腕を又一段上げられましたね!細かい誤字・脱字はこちらのチェックさせて頂いた箇所ですが今回のストーリーは正直言って一般向けに出しても良い展開だと思いました。万が一その様な話がありましたら受けてくれますか?」

愛華「えっ!?・・・そんなにですか!?・・・一般向けに!?はっ!はいっ!もしその様なお話を頂けるなら喜んで!」

小波「それは良かったです!・・・文字の修正以外に後少しだけアドバイスが出来るとすれば・・・この主人公は本来男の子だから、やはり最初から女性染みた行動や口調と言うのが少々違和感がある気がしますね・・・意識をされて出来るだけ違和感を生じさせない様なイメージは私も分かるのですが・・・序盤の辺りだから訂正は辛うじて楽だろうとは思いますので、今申し上げました、文字の修正を合わせてこの辺りのお話を兼ねて再度仕上がりましたらご報告下さい!時間はかなり早かったので余裕はありますから!」

愛華「はいっ!ありがとう御座いました!仕上がったら直ぐに連絡を入れますね!」

小波「えぇ!楽しみに待っています♪」

政樹「良かったな!愛華!!後は完成次第、俺も大体読ませてもらったから挿絵も頑張ってみるよ!秋月さん?もう描けそうな所から始めても良いですか?」

小波「そうですね・・・先程も愛華ちゃんに伝えましたが、序盤の方は少し印象が変わる可能性が出て来ましたので一先ず飛ばしておいて頂けますか?一応1冊の小説の挿絵の枚数も先にご案内させて頂いた通りで、ご存じだろうとは思いますが、政樹君のデビューとなった少し前の作品の様な感じで、合間合間に挿れて行く感じでお願いします。特に私たちからどこにと言う指示は今回は出しませんので、その辺りはお任せ致します。ですが、今回は少し方向性を変えた作品ですのでイラスト自体のイメージは百合要素・・・官能小説と言うイメージ上レズ行為がありますので、この前のイメージだと少々強い感じがしますので、一度表紙をお考え頂いて見せて頂けると助かります!」

政樹「分かりました!じゃあ、先に表紙を完成させてデータを送ります!」

小波「データでも良いのですが出来れば直接拝見したいのでご連絡を頂けるとあり難いです!」

政樹「分かりました!出来るだけ早く仕上げます!」

小波「あまり無理はしないで下さいね!政樹君も学生の身、本業を疎かにしては元も子もありませんので!」

政樹「お気遣いありがとう御座います。では、出来上がり次第連絡します!」



私たちは秋月さんのアドバイスの後、訂正したり表紙のイラストを描いたりとお互いの作業を進めて行き、後日秋月さんに再確認してもらい、どちらも良いとの事で合格をもらった!



愛華「お疲れだったね!・・・後は、政樹が合間の挿絵を描いてくれれば・・・だけど、大丈夫?疲れて無い?」

政樹「いや、大丈夫だ!お前も先に頑張ってたし、後は俺が何とかすれば良いだけだしな!それにしても、百合っぽい感じって結構難しいよな?・・・基本的に俺って男だから力強い絵になっちゃうし・・・お前は女の子だからこの前の小説って俺の様なイラストで本当に良かったのか心配だったけど・・・」

愛華「大丈夫だよ!秋月さんたちも大絶賛だったし、私、絵の事は詳しく分からないけど、政樹の絵の良さは誰よりも知っているつもりだよ?」

政樹「そっ!?・・・そうか?・・・ありがとう!」



こうして、政樹が一緒にいてくれて、一緒に作り上げた官能さんの1作目が無事に1冊の本となって書店に並ぶ事となった・・・
タイミングも合ってなのか、美樹ちゃんのデビュー作も同じ日の発売で書店に並ぶ事になり・・・



美樹「師匠!!私の本が!!私の本が!!遂に本屋さんに並びました!!!」

愛華「おめでとう♪遂に・・・だね!」

美樹「ありがとう御座いました。色々とアドバイスを下さって、私に才能があるって褒めてくれて・・・本当に師匠の妹子(でし)になれて良かったです!!」

智也「美樹ちゃん、デビューおめでとう!これで美樹ちゃんもプロになったんだな!」

夏葉「お2人同時リリースと言う何ともおめでたい日ではありませんの!?私・・・私・・・おも・・・いいえ・・・」

智也「もう、その流れそろそろ止めにしないか?」

美樹「先輩方も、応援ありがとう御座います。おかげ様で無事に本屋さんに並びました!」

智也「勿論、既に俺たち購入済だ!!」

夏葉「勿論ですわ♪お2人の初期のファンたるもの、発売日に入手するのは当然の習わし!今後も発売日に必ず入手致しますわ♪そして・・・拝見して楽しみが2倍♪ふふふ♪」

愛華「2人共いつもありがとう・・・いつも買わなくても渡すって言ってるのに・・・」

智也「それは出来ない相談だ!」

夏葉「そうですわ!!ファンたるものきちんと購入してこそですので!!」

美樹「はは・・・猛烈なファンが私以外にも・・・あっ!?私も師匠の小説は既に・・・ここに・・・あった!新作楽しみだったんですよ♪」

愛華「えっ!?美樹ちゃんも買ってくれたの!?ありがとう♪・・・って私も既に美樹ちゃんの処女作がここに♪」

美樹「師匠!?・・・そんな・・・恐れ多いですぅ・・・私ちゃんと用意しておいたのに・・・」

愛華「私もこの2人と同じ意見なんだよ?・・・私のファンの先生の作品だからね♪ちゃんと買いたいの♪」

美樹「師匠・・・こんな幸せな日は生まれて初めてです!私、おも・・・いいえ、気絶しちゃいそう・・・です・・・」

智也「おい、夏葉?お前、この子に何吹き込んだ?・・・本当にお前自身が官能小説のキャラクターになっちまうぞ?」

夏葉「あぁん💛それはそれで魅力的じゃないですの?」

智也「いいから、その変な下ネタもう止めてくれ!!!!!」

政樹「智也・・・お前も色々と大変だよな?」

智也「察してくれるのか!?同志よ!」

夏葉「それにしても美樹さんの小説の挿絵ってこれまた有名なイラストレーターさんではありませんの?私も結構この方のイラストは見て来ましたわ!」

智也「そうだよな!遂最近もこの人のキャラクター原案でアニメが始まったみたいだし、イラスト投稿サイトでもよくランキング獲ってるし!!スゲーよな!」

美樹「はい!・・・本当に最初この方に担当して頂けるって聞いて信じられなくて、何度も確認したんです!そうすると、是非この作品のイラストを担当したいと向こう側から買って出てくれたんです!何か私の投稿した小説を読んでくれていたみたいで!!」

愛華「やっぱり分かる人にはちゃんと分かるんだね!本当の良さが・・・」

夏葉「それを一番最初に見通したのは何を隠そうあなたですわよ?愛瀬先生?」

愛華「私は先に偶然見掛けただけだと思うよ・・・だってここにいる皆が読んでも美樹ちゃんの作品の良さを私と同じ様に良いものだって分かってくれていたもん!」

智也「香波は色々と不思議な力を持っている気がするんだよな・・・こうやって仲間が集まって、色々と波乱があって・・・それを丸くしてくれて・・・香波自身がそう言う人物だからきっと作品が皆を幸せに出来るんだろうなって思う・・・」

政樹「それは俺も強く感じたよ!智也に薦められて実際読んだ事が無かった俺だったけどそれでも何が凄くて、何が良くて・・・皆と考えている事が同じだった時に強く感じた!」

夏葉「あらあら?今頃ですの?私なんてずっと以前からその様に感じていましたわ?」

美樹「私もです!・・・結構、師匠の作品を知って時間が経ちましたが、やはり最初の作品から凄く惹かれるような魅力的な内容だってずっと思っていました!」

政樹「よし!皆褒めたたえた辺りでその位にしておこうじゃないか!?・・・当の本人が茹蛸状態になってるからな?」

愛華「プシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」



色々と策を練って官能さんも無事にリリース、そして、愛華ちゃんの大切なデビュー作も無事に発売して、私たちは次なるステージへと足を運んで行く事になるのでした・・・















第八巻 終
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