忍ばない探偵

Primrose

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真実の裏側

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 翌日、関係者全員を福谷質店に集め、我らは事件の全容を話す場を作った。
「犯人が分かったらしいな? さっさと教えてくれ」
 銀次殿が急かす。
 そして他の面々も考えは同じ様で、全員そろって頷いていた。
「では、まず結論から言いましょう。天野殿を殺害したのは、貴方ですね。弟さん」
 我は言葉と目線で犯人を示す。
 その言葉に、弟殿は大きく動揺した。
「な、何を言っている? 証拠はあるのか?」
 弟殿の言葉に、我は頷いて説系を開始する。
「まず、貴方は天野質店を燃やした」
 すると天野殿は勢いよく立ち上がり、弟殿につかみかかろうとする。
 だがそれは、忍によって止められる。
「そしてその目的は、福谷質店周辺から人を放す事、そして、屋根からの侵入を目立たぬようにする為、ですよね」
 そう、弟殿は火事の際、屋根に上って使う火消し棒を持っていた。それを軸として、屋根のひび割れた場所に刺した。そして鉢巻を縄に使い、二階の窓から侵入。その後福谷殿を殺害した。
 夫人が聞いたという、何かが割れた音。あれは弟殿が屋根から落としてしまった瓦の音だ。
「あの状況で、彼を殺害する動機があり、かつ最も実行可能なのは、貴方しかいないんです」
 そう締めくくると、弟殿は身を震わせ始めた。
「違う、違う、俺はやってなああい‼」
 感情に身を任せて突進した弟殿を、腹を殴って気絶させる。
「それでは、彼の事は任せます」
 我々の仕事は、犯人を見つけた時点で終わっておりますので。夫人達にそう言って、我らは帰路に着く。
「甘いですね兄上は」
 そんな中、忍は我に冷たい目を向ける。
「仕方がないだろう。夫人だって故意に行ったわけではない」
 騒がしかった筈のあの日、福谷殿が何故動かなかったのか。それは、福谷殿があの時動けなかったからに他ならない。
 夫人が貰ったという魚、福谷殿はあれを食べて動けなくなったと思われる。
 人間には、何の変哲も無い食べ物が毒になる事がある。蕎麦や落花生、魚が主にそうだ。
 夫人が貰ったという魚も、そういった症状があったという資料を呼んだことがある。
 珍しい魚や食べ物は、口に入れずに慣れていないことから、それに気が付かないこともある。福谷殿もそれに当てはまるのだろう。
 夫人が捌いた魚を食べ、その後床に着いた福谷殿は、その時すでに死んでいた、もしくは昏睡に近い状態だった。
 だから騒音があっても動きもせず、窓から侵入する弟殿にも気が付かなかった。
 つまり夫人も、故意ではないとは言え福谷殿を殺してしまったことになる。
「そんな事は、知らなくていい」
 世の中には知らなくても良い事がある。
 意味も無く、人を悲しませる必要はない。
 それが無意識で、何の罪も無いのなら、尚更言ってはならない。
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