101 / 156
第三章 復讐編
第101話 順風満帆なご都合主義に鉄槌を
しおりを挟む
チートキャラとの戦闘は二度目で、前回は無自覚系の頭がお花畑の勇者、今回は召喚者が相手となるわけだが勇者と同様に理不尽な能力で戦況を覆される恐れがある。
「それで、情報は集まったか?」
「ええ、こちらに」
ボン爺と共に現れた陰の一人が精査された報告書の束を差し出す。一枚一枚じっくりと読み、攻略法を考える。
「ケンタ・イイヅカの戦闘能力は中級冒険者程度というのは本当か?」
報告書には一週間の行動記録から交友関係、個別の戦闘能力や性格が事細かに記されており、ケンタ・イイヅカの個人戦闘能力の危険度はCだった。
危険度の指標としては
SSS 回避不能(厄災級)
SS 超絶危険(英雄級)
S 超危険(人外級)
A 危険(上級冒険者)
B やや危険(ベテラン冒険者)
C 注意(中級冒険者)
D 普通(低級冒険者)
E ゴミ(チンピラ)
といったところだろう。
「身体能力は高い方ではあるようですが、戦闘自体は得意ではないようです」
「俺としてはSSといった感じだがな」
ケンタ・イイヅカのもつポーション精製のスキルは詳細こそ不明だが、想像の範囲内で想定される使用方法は戦闘面に於いても凶悪になりうるスキルだと認識している。
「このケンタ・イイヅカは戦闘になると後方支援にまわる事が殆どで、前線での戦闘は獣人の女とドラゴニュートの女が担っており、この二人の危険度はAです。ケンタ・イイヅカの傍には常に戦闘メイドが控えておりうかつには近寄れないでしょう。それと魔術に長けた女エルフがいるようで、この女も戦闘メイド同様危険度はB+といった感じです」
「ボン爺、一週間前に聞いた謎の女というのはこのエルフの事か?」
「どうやらそのようですな」
召喚者は二人、もう一人の召喚者は緑川桜子。浄化スキルという戦闘特化ではないにしても同じ召喚者だ。身体能力のチートはこの女にもかかっているどろうが、報告書に書いてあるパーティーメンバーには含まれていない。
「この交友関係一覧にあるサクラコ・ミドリカワという女はなんでパーティメンバーじゃないんだ? ケンタ・イイヅカの恋人とは書かれているが、名前から推測するとこの二人は同郷だろう?」
召喚者だという事はデニスからの情報で知っている。故に戦闘に参加しない理由が知りたかった。
「その女は気の弱いところがあり戦闘には参加しないようですね。一応、戦闘能力は有しているようですが危険度は皆無でしょう」
「この女の浄化スキルは邪魔だな」
「奴隷商としてはそうじゃろうなあ」
「奴隷紋を消すとはこれはまた規格外というか、病気の治療を無償で行う。まさに聖女だな」
「……エリーナ様のように聖女の称号は持ってはおらんようだが、行いそのものはまさにそうじゃの」
「あれはまあ聖女という名を持っているだけで万人に尽くそうなどとは思ってないからな」
エリーナはデニスのお気に入りというその一点のみで聖女となっている。スラム育ちのエリーナにしてみれば、弱ければ奪われ、弱ければ死ぬ。死にたくなければ奪うしかないという価値観が強く、頼りにしてくる弱い者に対して慈悲の心はあるが、頼ってきた者が死んだとしても大きな感情の揺れはない。
「若、どのようになさる?」
「まとめての戦闘は分が悪いな。総力をあげてかかればやれん事はないだが、表の街の英雄とエセ聖女の居るパーティーを大っぴらに殺すとなると大義名分がいる。どうやら皇帝のお気に入りのようだし、国と事を構えるのには時期早々だ」
「暗殺が無難じゃろうな」
「でもなあ~、ただ暗殺するにも根城にはこいつらと……」
「元勇者パーティーの剣聖ゲイルじゃな? だが、あいつは記憶を失っており戦闘できる状態でもないからのう」
確かに寝たきりになっている記憶をなくした剣聖など敵ではない。しかし、それは常識の範囲内での話だ。腐っても剣聖であり元勇者パーティーの一員なのだ。びっくりするようなタイミングで覚醒して牙を剥くそんな危険性がある。否、必ず起こる。
「剣聖ゲイルの危険度はSだ。何をやらかすか分からない不確定要素と考えろ」
「若は慎重すぎると思うが……」
「危機察知能力と言ってくれ。とりあえず鑑定阻害の魔道具を用意してくれ」
「鑑定スキル持ちだとお考えに?」
「商人のふりをしてケンタ・イイヅカに近づく。だから用心の為さ」
「あまり顔を表に晒さない方が良いと思うがの」
「そこは変装するさ。 名前は……そうだな旅の行商人クロウとでも名乗ろうかな」
「なにやらあまり行商が得意そうでない名前じゃのう……」
「……………」
~~~~~~
「あっ! クロウさん! お待たせしました!」
「いえいえ、私も今来たところですよケンタさん。まあ立ち話もなんですからかけて下さい」
旅の行商人らしい少し汚れているがしっかりとした素材を使った服を着て、報告書にあった行動記録を元に接触するのは簡単だった。商談と称してスラムと表の街の丁度中間に位置する店にケンタ・イイヅカを一人で誘い入れることに成功した。ここはもちろん懺蛇の息がかかった店であり多少のいざこざがあっても表沙汰にはならない。
戦闘メイドかドラゴニュートの護衛くらいは覚悟していたが、都合よく一人で来てくれた事で順風満帆なご都合主義が潰えるのを確信をした。
「それで、情報は集まったか?」
「ええ、こちらに」
ボン爺と共に現れた陰の一人が精査された報告書の束を差し出す。一枚一枚じっくりと読み、攻略法を考える。
「ケンタ・イイヅカの戦闘能力は中級冒険者程度というのは本当か?」
報告書には一週間の行動記録から交友関係、個別の戦闘能力や性格が事細かに記されており、ケンタ・イイヅカの個人戦闘能力の危険度はCだった。
危険度の指標としては
SSS 回避不能(厄災級)
SS 超絶危険(英雄級)
S 超危険(人外級)
A 危険(上級冒険者)
B やや危険(ベテラン冒険者)
C 注意(中級冒険者)
D 普通(低級冒険者)
E ゴミ(チンピラ)
といったところだろう。
「身体能力は高い方ではあるようですが、戦闘自体は得意ではないようです」
「俺としてはSSといった感じだがな」
ケンタ・イイヅカのもつポーション精製のスキルは詳細こそ不明だが、想像の範囲内で想定される使用方法は戦闘面に於いても凶悪になりうるスキルだと認識している。
「このケンタ・イイヅカは戦闘になると後方支援にまわる事が殆どで、前線での戦闘は獣人の女とドラゴニュートの女が担っており、この二人の危険度はAです。ケンタ・イイヅカの傍には常に戦闘メイドが控えておりうかつには近寄れないでしょう。それと魔術に長けた女エルフがいるようで、この女も戦闘メイド同様危険度はB+といった感じです」
「ボン爺、一週間前に聞いた謎の女というのはこのエルフの事か?」
「どうやらそのようですな」
召喚者は二人、もう一人の召喚者は緑川桜子。浄化スキルという戦闘特化ではないにしても同じ召喚者だ。身体能力のチートはこの女にもかかっているどろうが、報告書に書いてあるパーティーメンバーには含まれていない。
「この交友関係一覧にあるサクラコ・ミドリカワという女はなんでパーティメンバーじゃないんだ? ケンタ・イイヅカの恋人とは書かれているが、名前から推測するとこの二人は同郷だろう?」
召喚者だという事はデニスからの情報で知っている。故に戦闘に参加しない理由が知りたかった。
「その女は気の弱いところがあり戦闘には参加しないようですね。一応、戦闘能力は有しているようですが危険度は皆無でしょう」
「この女の浄化スキルは邪魔だな」
「奴隷商としてはそうじゃろうなあ」
「奴隷紋を消すとはこれはまた規格外というか、病気の治療を無償で行う。まさに聖女だな」
「……エリーナ様のように聖女の称号は持ってはおらんようだが、行いそのものはまさにそうじゃの」
「あれはまあ聖女という名を持っているだけで万人に尽くそうなどとは思ってないからな」
エリーナはデニスのお気に入りというその一点のみで聖女となっている。スラム育ちのエリーナにしてみれば、弱ければ奪われ、弱ければ死ぬ。死にたくなければ奪うしかないという価値観が強く、頼りにしてくる弱い者に対して慈悲の心はあるが、頼ってきた者が死んだとしても大きな感情の揺れはない。
「若、どのようになさる?」
「まとめての戦闘は分が悪いな。総力をあげてかかればやれん事はないだが、表の街の英雄とエセ聖女の居るパーティーを大っぴらに殺すとなると大義名分がいる。どうやら皇帝のお気に入りのようだし、国と事を構えるのには時期早々だ」
「暗殺が無難じゃろうな」
「でもなあ~、ただ暗殺するにも根城にはこいつらと……」
「元勇者パーティーの剣聖ゲイルじゃな? だが、あいつは記憶を失っており戦闘できる状態でもないからのう」
確かに寝たきりになっている記憶をなくした剣聖など敵ではない。しかし、それは常識の範囲内での話だ。腐っても剣聖であり元勇者パーティーの一員なのだ。びっくりするようなタイミングで覚醒して牙を剥くそんな危険性がある。否、必ず起こる。
「剣聖ゲイルの危険度はSだ。何をやらかすか分からない不確定要素と考えろ」
「若は慎重すぎると思うが……」
「危機察知能力と言ってくれ。とりあえず鑑定阻害の魔道具を用意してくれ」
「鑑定スキル持ちだとお考えに?」
「商人のふりをしてケンタ・イイヅカに近づく。だから用心の為さ」
「あまり顔を表に晒さない方が良いと思うがの」
「そこは変装するさ。 名前は……そうだな旅の行商人クロウとでも名乗ろうかな」
「なにやらあまり行商が得意そうでない名前じゃのう……」
「……………」
~~~~~~
「あっ! クロウさん! お待たせしました!」
「いえいえ、私も今来たところですよケンタさん。まあ立ち話もなんですからかけて下さい」
旅の行商人らしい少し汚れているがしっかりとした素材を使った服を着て、報告書にあった行動記録を元に接触するのは簡単だった。商談と称してスラムと表の街の丁度中間に位置する店にケンタ・イイヅカを一人で誘い入れることに成功した。ここはもちろん懺蛇の息がかかった店であり多少のいざこざがあっても表沙汰にはならない。
戦闘メイドかドラゴニュートの護衛くらいは覚悟していたが、都合よく一人で来てくれた事で順風満帆なご都合主義が潰えるのを確信をした。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる