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第E15話 『キセキを集めろ』

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霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?



著者:ピラフドリア



第E15話
『キセキを集めろ』




 俺は装備を整え、甲板へ向かう。甲板にはすでに小型の船と人員が集められていた。



「カルロス。よく来てくれたな」



 コートを腕に通さず、背中に羽織っただけの男性は俺が到着するとニヤリと笑う。ニヤリと笑った男性を俺は睨みつける。



「俺は手紙の内容が真実か知るために来ただけだ。お前達を手助けするつもりはない」



「それで構わないさ。俺だってお前を信用し切ってるわけじゃない。だが、この作戦はお前の力が必要だ」



 コートの男性は月兎の呼ばれる人物。その人物の後ろには髪の半分が黒と白で分かれて仮面をつけている女性と、金髪にサングラスをつけた男性の二人が立っていた。



「今回はお前達、四人で任務を行ってもらう。任務は簡単は海上にあるとある施設にキセキのカケラが保管されている。そのカケラの確保が任務だ」



 腕を組み任務を告げた月兎だが、



「お前もついてくるのか?」



 俺は月兎に尋ねる。任務は四人で行うと言った。となると、月兎もついてくるのか。
 しかし、月兎は首を横に振る。



「俺は行かない。下手に動ける身じゃないからな」



「じゃあ、誰がついてくるんだよ」



「そこにいるだろ」



 月兎が指で俺の後ろを指す。すると、カルロスがやってきた扉の横で寝ている侍の姿があった。



「彼にも同行してもらう。実力者は多いほうがいいからな。……施設には奴らがいる」



「奴ら?」



「海上最強と言われる傭兵団。マリン部隊だ」



「マリン部隊だと……」



 俺は聞いたことのある名前に驚く。



 マリン部隊。カルロス自身も何度が耳にしたことがあった舞台の名前だ。海上、海中戦を専門とする組織であり、海洋生物の名前をコードネームとしていると聞く。



 戦場が海上のある施設ということは、彼らの得意とする場所で交戦する可能性があるということ。
 そのため月兎は少数精鋭である俺達を集めたということか。



 月兎は四人の前に立つと、



「キセキを回収することで世界を元に戻せるかもしれない。俺の計画通り回収が進めば、来年の春には作戦は完了する。お前達には期待しているぞ」






第E15.2話
『ムカデの一日』




「よぉ、ムカデ。何してるの?」



 散らかったムカデの部屋に猫のマークの入った服を着た女性がやってくる。
 ムカデは操作していたパソコンから一度目線をずらすと、



「ゲームしてたんだよ。ゲーム」



「どんなゲーム?」



「異世界に行った小学生が、冒険者になって旅するゲーム」



「その小学生、逞しいね」









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