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第9話 『激辛の湯』
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銭湯マスター
著者:ピラフドリア
第9話
『激辛の湯』
残るメンバーはナガオ、ハヤオ、アツギの三人である。この3名は湯船に肩まで浸かっていた。
「兄貴……」
ハヤオがナガオの方を向く。
「ふ、なかなか長く入れるようになったじゃないか」
ナガオはハヤオの方を向くと、こうして一緒に銭湯に浸かっていることを嬉しそうに言った。
ナガオとハヤオは兄弟である。
ナガオは赤ちゃんの頃から長風呂で、ハヤオは赤ちゃんの時から早風呂だった。
しかし、ハヤオの早風呂は通常の早風呂とは違う。入ったらその瞬間にすぐに出てしまう。
1秒も入っていることができなかったのだ。
謎そうなったのか。その理由は分からない。
ナガオはある時にその理由を知るために、ハヤオを寺に連れて行ったことがある。その時は何かに取り憑かれていると言われた。
だが、そんなのは嘘だとすぐに分かった。
だとしても、なぜすぐに出てしまうのか。その謎は解明されない。
だが、ハヤオは兄であるナガオと長い時間湯船に浸かるのが夢だった。
学校帰りの銭湯で兄弟二人で雑談をしながらゆっくり過ごす。それがハヤオの些細な夢であった。
それを知ったナガオはハヤオを連れて銭湯に毎日のように通うようになった。それはハヤオの訓練のためである。
ハヤオはやがて少しずつではあるが、湯船に浸かることができるようになっていった。
そしてハヤオはやっと一人前の銭湯好きになれたのだ。今では5分くらい入ることができるようになった。
しかし、それと同時にナガオも銭湯に浸かることが多かった。
ハヤオが出てからも一人で入り続けているうちに、ナガオさいつしか地元一の長風呂マンになっていたのだ。
そんなナガオにある手紙が届いた。
それは銭湯グランプリへの招待状である。
ナガオはハヤオと共に銭湯グランプリに出場することにした。
それはハヤオもそれなりに入れるようになったという自信をつけさせるため、そして自分が優勝するためである。
だが、会場に向かう途中、ある男に出会った。
その男はスーツ姿にサングラス。オールバックの髪型の男である。
奴が現れたのは、ハヤオがトイレに行っている間。
ナガオがトイレの前で待っている時に現れた。
「貴様がフロ・ナガオだな」
「ああ、そうですけど……どちら様でしょうか?」
「俺か? 俺はオーバーバス…………とでも名乗ろうか」
オーバーバスと名乗った男は、近くの壁に背中をつけて寄っかかる。
「えっと、何か用なんですか?」
ナガオが聞くと、オーバーバスはニヤリと笑った。
「そうだな……」
続く
著者:ピラフドリア
第9話
『激辛の湯』
残るメンバーはナガオ、ハヤオ、アツギの三人である。この3名は湯船に肩まで浸かっていた。
「兄貴……」
ハヤオがナガオの方を向く。
「ふ、なかなか長く入れるようになったじゃないか」
ナガオはハヤオの方を向くと、こうして一緒に銭湯に浸かっていることを嬉しそうに言った。
ナガオとハヤオは兄弟である。
ナガオは赤ちゃんの頃から長風呂で、ハヤオは赤ちゃんの時から早風呂だった。
しかし、ハヤオの早風呂は通常の早風呂とは違う。入ったらその瞬間にすぐに出てしまう。
1秒も入っていることができなかったのだ。
謎そうなったのか。その理由は分からない。
ナガオはある時にその理由を知るために、ハヤオを寺に連れて行ったことがある。その時は何かに取り憑かれていると言われた。
だが、そんなのは嘘だとすぐに分かった。
だとしても、なぜすぐに出てしまうのか。その謎は解明されない。
だが、ハヤオは兄であるナガオと長い時間湯船に浸かるのが夢だった。
学校帰りの銭湯で兄弟二人で雑談をしながらゆっくり過ごす。それがハヤオの些細な夢であった。
それを知ったナガオはハヤオを連れて銭湯に毎日のように通うようになった。それはハヤオの訓練のためである。
ハヤオはやがて少しずつではあるが、湯船に浸かることができるようになっていった。
そしてハヤオはやっと一人前の銭湯好きになれたのだ。今では5分くらい入ることができるようになった。
しかし、それと同時にナガオも銭湯に浸かることが多かった。
ハヤオが出てからも一人で入り続けているうちに、ナガオさいつしか地元一の長風呂マンになっていたのだ。
そんなナガオにある手紙が届いた。
それは銭湯グランプリへの招待状である。
ナガオはハヤオと共に銭湯グランプリに出場することにした。
それはハヤオもそれなりに入れるようになったという自信をつけさせるため、そして自分が優勝するためである。
だが、会場に向かう途中、ある男に出会った。
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奴が現れたのは、ハヤオがトイレに行っている間。
ナガオがトイレの前で待っている時に現れた。
「貴様がフロ・ナガオだな」
「ああ、そうですけど……どちら様でしょうか?」
「俺か? 俺はオーバーバス…………とでも名乗ろうか」
オーバーバスと名乗った男は、近くの壁に背中をつけて寄っかかる。
「えっと、何か用なんですか?」
ナガオが聞くと、オーバーバスはニヤリと笑った。
「そうだな……」
続く
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