62 / 115
第1話 【王国の外れ 其の1】
しおりを挟む
せかへい 外伝20
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第1話
【王国の外れ 其の1】
満月が暗い街を照らす。王国を囲む結界が月の光に反射して、半円を描く半透明な線を映し出し、それは不気味に青い光を発している。網のような見た目になっている結界の見た目は、結界と結界のつなぎ目である。
オーボエ王国には笛のように細長い建物が多い存在しており、中央には王族の住む城もある。
城はプリンのような崖になっている円状の丘の上にあり、道は一本しかなく、その丘をぐるっと一周する坂道がある。
その上には横並びになった笛のような建物が五個並んでおり、くっついている。
それぞれで高さも違っていて、一番高いものは右から二番目の建物だ。
そんなオーボエ王国であるが、王国にはそんな建物がない地域も存在する。
オーボエ王国の特徴的な建物があるのは中心だけであり、少し離れた場所になると通常の一階建ての建物の並ぶ地域に行き着く。
そこからは中央の高い建物も見える。
そんな王国の外れ、そこにある街で一人の人間がいた。
そいつは屋根の上に登り、夜空を見上げる。
奥に見える高い建物と月が並んで、まるで王国から月の国に行けてしまえそうなそんな錯覚に陥る。
「…………いつか、行けると良いなぁ」
独り言を言う。誰かが近くにいるわけではない。だが、月と王国が近づいて、ふとそんな言葉が出た。
姿は黒いフードを深く被った人物だ。
しばらく夜風に吹かれたあと、立ち上がる。
思い出すのは懐かしい日々だ。あの時は何もかもが新しかった。
どんなことにも興味を持ち、多くのことを彼らと共に楽しんだ。
だが、今はもういないんだ。それでも、時は動き続ける。
フードを被った人物は屋根から降りた。
そして夜の街を歩き出す。
夜の街は人一人いない。静かな街だ。
昼は多くの人が行き交い。歩けば人とぶつかる。それほど多くの人がいた。
夜は自由だ。こうして道の真ん中を歩いても誰にもぶつかることはない。でも、少し寂しくも感じる。
どれくらいの時が過ぎたのだろうか。
しばらく進むと、王国の中でもかなり家の少ない地域にたどり着いた。
森や畑がある王国の中でも珍しい場所だ。そんな場所に三階建ての宿がポツンとある。
宿の前では顔見知りが待っていた。老人と少女だ。彼らは事情を理解してくれている。そして協力してくれた。
あと少し、あと少しであの場所に辿り着ける。
だが、もうあそこには帰れない。だから進む。次の時代のために。
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第1話
【王国の外れ 其の1】
満月が暗い街を照らす。王国を囲む結界が月の光に反射して、半円を描く半透明な線を映し出し、それは不気味に青い光を発している。網のような見た目になっている結界の見た目は、結界と結界のつなぎ目である。
オーボエ王国には笛のように細長い建物が多い存在しており、中央には王族の住む城もある。
城はプリンのような崖になっている円状の丘の上にあり、道は一本しかなく、その丘をぐるっと一周する坂道がある。
その上には横並びになった笛のような建物が五個並んでおり、くっついている。
それぞれで高さも違っていて、一番高いものは右から二番目の建物だ。
そんなオーボエ王国であるが、王国にはそんな建物がない地域も存在する。
オーボエ王国の特徴的な建物があるのは中心だけであり、少し離れた場所になると通常の一階建ての建物の並ぶ地域に行き着く。
そこからは中央の高い建物も見える。
そんな王国の外れ、そこにある街で一人の人間がいた。
そいつは屋根の上に登り、夜空を見上げる。
奥に見える高い建物と月が並んで、まるで王国から月の国に行けてしまえそうなそんな錯覚に陥る。
「…………いつか、行けると良いなぁ」
独り言を言う。誰かが近くにいるわけではない。だが、月と王国が近づいて、ふとそんな言葉が出た。
姿は黒いフードを深く被った人物だ。
しばらく夜風に吹かれたあと、立ち上がる。
思い出すのは懐かしい日々だ。あの時は何もかもが新しかった。
どんなことにも興味を持ち、多くのことを彼らと共に楽しんだ。
だが、今はもういないんだ。それでも、時は動き続ける。
フードを被った人物は屋根から降りた。
そして夜の街を歩き出す。
夜の街は人一人いない。静かな街だ。
昼は多くの人が行き交い。歩けば人とぶつかる。それほど多くの人がいた。
夜は自由だ。こうして道の真ん中を歩いても誰にもぶつかることはない。でも、少し寂しくも感じる。
どれくらいの時が過ぎたのだろうか。
しばらく進むと、王国の中でもかなり家の少ない地域にたどり着いた。
森や畑がある王国の中でも珍しい場所だ。そんな場所に三階建ての宿がポツンとある。
宿の前では顔見知りが待っていた。老人と少女だ。彼らは事情を理解してくれている。そして協力してくれた。
あと少し、あと少しであの場所に辿り着ける。
だが、もうあそこには帰れない。だから進む。次の時代のために。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」
(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。
王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。
風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる