BLACK EDGE

ピラフドリア

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 第34話  【BLACK EDGE 其の34 等価】

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 BLACK EDGE


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第34話
 【BLACK EDGE 其の34 等価】



 突然雰囲気が変わった。それを感じ取ったのはブラッドだけではないフェアもだ。
 フェアは怯えるようにフェアの服を掴む。



 感じるのは恐怖。
 生物の生死がアリエルの意志で左右してしまう。心臓を握られているような感覚。



 ブラッドとフェアがその場で動けずに固まっていると、アリエルが突然笑い出した。



「ごめんね。魔女だからってなんでも頼みに来る人たちがいるのよ。だからこうやって追い返してるの」



 アリエルがそう言うと、雰囲気がさっきまでのまったりした感じに戻った。



 ほっとする二人。しかし、今のはなんだったんだろうか。



 何度か修羅場を超えてきたブラッドでもこの感覚は初めてだった。圧倒的な強者に睨まれている気持ち。
 あれだけの不気味な感覚を感じれば、逃げるか闘うか、なんらかの行動を取っただろう。だが、ブラッドの身体は動けなかった。



 それがなぜなのか。だが、考える暇はなかった。




「何ができるのか? だっけ、そうね。大抵のことはできるよ」



 それを聞いたフェアはテーブルから身を乗り出す。



「本当!!」



「ええ、でも、力を使うには代償が必要。私の力は等価交換で成り立つの……」



 そう言うとアリエルは立ち上がる。



 そして紅茶の入ったコップを持つと、コップを大きく振り中の紅茶を振り撒いた。



 左から右へ大きく移動したコップは紅茶を吐き出す。紅茶は粒状になり空中を舞う。しかし、



「…………っ!!」



 宙を待っていた紅茶が空中で静止した。まるで時が止まったかのように動きを止めたのである。



「こ、これは…………」



 本当に不思議な力だ。まるで魔法。本物の魔法だ。こんな力が現実で存在するとは……。



 アリエルはコップをテーブルに置くと椅子に座る。すると、静止していた紅茶は線を作り、まるで動く絵のように動き出す。
 そして円を作り出した。



「これはほんの力の一部。この屋敷の中だけという条件を除けば、万能な力よ」



 そんな凄い力が本当に存在していたなんて……。



 アリエルが指を動かすと、近くにあった本が浮かび上がっていた。
 そしてアリエルはそれを掴む。



「私は今、十二の魔導書を持っている。それ単体では効力はないけど特殊な装置に埋め込むことで私の身体とリンクして力を使えるの」



 そんな力を目の当たりにしたフェアは身を乗り出した。



「じゃ、じゃあ、お願いしたいことがあるの!!」



 そう、ブラッドたちがここにきた目的は、



「子供たちの行方を教えてほしい!!」










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