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第50話 【BLACK EDGE 其の50 ヒューグ】
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BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第50話
【BLACK EDGE 其の50 ヒューグ】
ヒューグは逃げて行った仮面の人物を追っていた。
「待て!! どこまで逃げる気だ!!」
逃げ足の早いやつだ。全力で追いかけているのに追いつける気がしない。
だが、しばらく経ったところで仮面の人物は息を切らしながら止まった。
「はぁはぁ、どうした? 疲れたのか?」
ヒューグも息を切らしている。そして足を止めた仮面の人物はヒューグの方を振り向いた。
「これくらい温まれば良いか……あとは、お前でウォーミングアップとするか」
仮面の声は女だ。だが、そんなことはどうでも良い。
「俺をウォーミングアップだと……?」
ヒューグは仮面の女の言葉に怒りを表す。
「そうだとも……私の目的はフェア。貴様には要はない」
「ふ、尻巻いて逃げた奴が何を言いやがる」
ヒューグはそう言い、仮面の女に大剣を向けた。
ヒューグに敵う力の持ち主は王都にはいない。こうやってヒューグは軽々しく大剣を振り回しているが、ヒューグぐらいだろう。
仮面の女は左手を服から出す。フードで体全身を隠している大きな服の隙間から手を出す。
だが、その手は不思議だ。
「煙?」
仮面の女の手のひらからは煙が出ていた。
「私の力はグリムの奴とは違い少々厄介でな……」
そう言いながら仮面の女は構えた。姿勢を低くして、左手を奥にひく。左手で攻撃するのだろうか。
ヒューグは念のため防御の体制になる。大剣を前にして盾のように使う。
次の瞬間…………。
仮面の女は再び逃げた。
「あ!! おい待て!!」
ヒューグは女を追う。
「さっきは準備満タン的なこと言ってなかったか!?」
追いかけながらヒューグが言うと、女は全力で走りながら、
「まだ無理だーー!! そんなでっかい武器持ってる相手に、今の音頭じゃ勝てなーい!!」
そう叫んで逃げ続ける。
このまま追い続けても埒があかない。
「こうなったら!!」
ヒューグは大剣を投げた。大剣は空中を飛んで、仮面の女の頭を通過。仮面の女の目の前に落ちて地面に突き刺さった。
「っ!?」
仮面の女は一瞬びっくりして足を止めた。この間にヒューグは追いつく。
「とらえた!!」
ヒューグは両腰にあるナイフ程度の大きさの短剣を取り出すと、両手で一つずつ持つ。
「二刀流!?」
ヒューグは女に攻撃を仕掛けるが、女はヒューグの攻撃を躱す。
ヒューグは女だと思い、手加減はしていたが、それでも避けられるとは思っていなかった。
完全に二本の剣を見切っている。そのまま女は蹴りで反撃してくる。ヒューグはそれを肘で受け止めて、続いての攻撃をしようとするが、その前に、
「っ!?」
女の左手がヒューグの右手を掴んだ。
「熱っつぅぅ!?」
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第50話
【BLACK EDGE 其の50 ヒューグ】
ヒューグは逃げて行った仮面の人物を追っていた。
「待て!! どこまで逃げる気だ!!」
逃げ足の早いやつだ。全力で追いかけているのに追いつける気がしない。
だが、しばらく経ったところで仮面の人物は息を切らしながら止まった。
「はぁはぁ、どうした? 疲れたのか?」
ヒューグも息を切らしている。そして足を止めた仮面の人物はヒューグの方を振り向いた。
「これくらい温まれば良いか……あとは、お前でウォーミングアップとするか」
仮面の声は女だ。だが、そんなことはどうでも良い。
「俺をウォーミングアップだと……?」
ヒューグは仮面の女の言葉に怒りを表す。
「そうだとも……私の目的はフェア。貴様には要はない」
「ふ、尻巻いて逃げた奴が何を言いやがる」
ヒューグはそう言い、仮面の女に大剣を向けた。
ヒューグに敵う力の持ち主は王都にはいない。こうやってヒューグは軽々しく大剣を振り回しているが、ヒューグぐらいだろう。
仮面の女は左手を服から出す。フードで体全身を隠している大きな服の隙間から手を出す。
だが、その手は不思議だ。
「煙?」
仮面の女の手のひらからは煙が出ていた。
「私の力はグリムの奴とは違い少々厄介でな……」
そう言いながら仮面の女は構えた。姿勢を低くして、左手を奥にひく。左手で攻撃するのだろうか。
ヒューグは念のため防御の体制になる。大剣を前にして盾のように使う。
次の瞬間…………。
仮面の女は再び逃げた。
「あ!! おい待て!!」
ヒューグは女を追う。
「さっきは準備満タン的なこと言ってなかったか!?」
追いかけながらヒューグが言うと、女は全力で走りながら、
「まだ無理だーー!! そんなでっかい武器持ってる相手に、今の音頭じゃ勝てなーい!!」
そう叫んで逃げ続ける。
このまま追い続けても埒があかない。
「こうなったら!!」
ヒューグは大剣を投げた。大剣は空中を飛んで、仮面の女の頭を通過。仮面の女の目の前に落ちて地面に突き刺さった。
「っ!?」
仮面の女は一瞬びっくりして足を止めた。この間にヒューグは追いつく。
「とらえた!!」
ヒューグは両腰にあるナイフ程度の大きさの短剣を取り出すと、両手で一つずつ持つ。
「二刀流!?」
ヒューグは女に攻撃を仕掛けるが、女はヒューグの攻撃を躱す。
ヒューグは女だと思い、手加減はしていたが、それでも避けられるとは思っていなかった。
完全に二本の剣を見切っている。そのまま女は蹴りで反撃してくる。ヒューグはそれを肘で受け止めて、続いての攻撃をしようとするが、その前に、
「っ!?」
女の左手がヒューグの右手を掴んだ。
「熱っつぅぅ!?」
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