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第145話 【BLACK EDGE 其の145 雪山を超えて】
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BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第145話
【BLACK EDGE 其の145 雪山を超えて】
雪山を降りたブラッド達はジャスマンという港町にたどり着いた。
この村から出ている船に乗り、雪山の大陸コスモスから王都のある大陸に移動する。川を越えた向こう側にあるナンフェア村を目指す。
「じゃあ、船の予約をする前にこいつらを返すか」
ブラッドはそう言って三匹の犬を見た。ソリを引いてくれていたホワイトウルフ達だ。
雪山だけの短い旅だったが、雪崩から助けてもらったりと色んなことがあった。
だが、彼らは借りた犬だ。
本来の飼い主はお店の店主であり、今回はソリの移動を手伝ってもらうために同行してもらっていた。
だから、彼らとはここでお別れなのだ。
「…………ジャック、ロデー、デューク……」
フェアは三匹の犬に抱きつく。
ホワイトウルフは顔が怖いと有名な犬なのだが、フェアはこの子達とかなり仲良くなっていたみたいで、別れを惜しんでいた。それは三匹も同じだ。
抱きつくフェアを優しく舐めている。
そんな様子をブラッドは遠くから見守っていた。
すると、一匹の犬がフェアから離れて、ブラッドの方へ来た。そして短く吠える。
「なんだよ?」
ジーッとブラッドのことを見ている。
「お前は…………ジャックか? ロデーか?」
犬は返事することはない。
「デュークか?」
最後の名前に反応して、犬は吠えた。
デュークだったらしい。
「俺を応援してくれるのか?」
ブラッドが聞くとデュークは吠える。
デュークはダレオさんと雪山を探検したことがある犬で、ダレオさんは昔この犬に救われたことがあると言っていた。
そして今回の旅でも雪崩にあった時、ブラッドを助けてくれたのはこの犬だ。
ブラッドはズボンの裾を上げる。そして噛まれた傷を見せた。
「これがお前が助けてくれた時の傷だ」
雪に埋まった時にデュークが俺を雪から出してくれた。デュークがブラッドの足を噛んで雪から救出してくれたんだ。
「この傷に誓って、必ずフェアを守り切ってやるさ」
ブラッドがそう告げるとデュークは吠えずに、それでも納得したように帰っていった。
そしてブラッド達は犬を返すと、船を予約して船に乗り川を渡り出す。
ここまで来るのにはかなりの時間がかかったが、戻るのにはなぜか時間が早く感じた。
実際に時間は同じ程度だ。しかし、なんだか全てが順調に進み、来た時よりも早く移動できているような感覚があった。
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
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【BLACK EDGE 其の145 雪山を超えて】
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この村から出ている船に乗り、雪山の大陸コスモスから王都のある大陸に移動する。川を越えた向こう側にあるナンフェア村を目指す。
「じゃあ、船の予約をする前にこいつらを返すか」
ブラッドはそう言って三匹の犬を見た。ソリを引いてくれていたホワイトウルフ達だ。
雪山だけの短い旅だったが、雪崩から助けてもらったりと色んなことがあった。
だが、彼らは借りた犬だ。
本来の飼い主はお店の店主であり、今回はソリの移動を手伝ってもらうために同行してもらっていた。
だから、彼らとはここでお別れなのだ。
「…………ジャック、ロデー、デューク……」
フェアは三匹の犬に抱きつく。
ホワイトウルフは顔が怖いと有名な犬なのだが、フェアはこの子達とかなり仲良くなっていたみたいで、別れを惜しんでいた。それは三匹も同じだ。
抱きつくフェアを優しく舐めている。
そんな様子をブラッドは遠くから見守っていた。
すると、一匹の犬がフェアから離れて、ブラッドの方へ来た。そして短く吠える。
「なんだよ?」
ジーッとブラッドのことを見ている。
「お前は…………ジャックか? ロデーか?」
犬は返事することはない。
「デュークか?」
最後の名前に反応して、犬は吠えた。
デュークだったらしい。
「俺を応援してくれるのか?」
ブラッドが聞くとデュークは吠える。
デュークはダレオさんと雪山を探検したことがある犬で、ダレオさんは昔この犬に救われたことがあると言っていた。
そして今回の旅でも雪崩にあった時、ブラッドを助けてくれたのはこの犬だ。
ブラッドはズボンの裾を上げる。そして噛まれた傷を見せた。
「これがお前が助けてくれた時の傷だ」
雪に埋まった時にデュークが俺を雪から出してくれた。デュークがブラッドの足を噛んで雪から救出してくれたんだ。
「この傷に誓って、必ずフェアを守り切ってやるさ」
ブラッドがそう告げるとデュークは吠えずに、それでも納得したように帰っていった。
そしてブラッド達は犬を返すと、船を予約して船に乗り川を渡り出す。
ここまで来るのにはかなりの時間がかかったが、戻るのにはなぜか時間が早く感じた。
実際に時間は同じ程度だ。しかし、なんだか全てが順調に進み、来た時よりも早く移動できているような感覚があった。
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