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第232話 【BLACK EDGE 其の232 フリジア村】
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BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第232話
【BLACK EDGE 其の232 フリジア村】
フリジア村に再び立ち寄ったブラッドとフェアは、アリエルの住んでいる屋敷に向かった。
しかし、そこにアリエルはいなかった。だが、
「なにこれ?」
屋根裏に行くと、そこには正方形の黒いテーブルがあり、その上に本が浮いていた。
その本は風も吹いていないというのにページが変わる。そして半透明のオーラを放っている。
「これが魔導書ってことか…………」
ブラッドはそれを見て言った。
クリスからの話であるが、アリエルは魔導書を使い、それで魔術を複数使用するらしい。
魔導書は元々魔術師であり、魔術師の力を本に閉じ込めることでアリエル自身は複数の魔術を使うことができる。
雪山での攻撃もその魔術を使ったものであり、クリスを次の魔導書にしようと狙っていたらしい。
「じゃあ、これを破壊するの?」
「それはやめた方がいいな。クリスがいれば何か手段を知っているのかもしれないが…………」
ここで下手にこれを破壊して、何が起こるのかわからない。魔術師の力を本に封じ込めているということもあり、ここには莫大な力が集まっているはずだ。
「…………今回は留守みたいだしな。次の機会にしよう」
ブラッドはフェアと共に屋敷を出た。
アリエルがいれば、アリエルをぶっ飛ばして、それから話を聞けば良いのだが、いないのならば何もできない。
どこかに出かけているのか。
まぁ、今はアリエルに構う必要もない。彼女は賞金首というわけでもないのだし……。
ブラッド達は外に出た後、この村にある食堂に行くことにした。
この村は小さく、食べ物屋さんは一軒しかない。この前この村に来た時も、その食堂で飯を食べた。
「いらっしゃい、あ、あなた達は」
「久しぶりです」
食器を片付けながらこちらを見たのは、青髪短髪で赤いバンダナを巻いた女性。ガタイも良く力強い身体をしており、左目の下にあるほくろが特徴的な女性だ。
「また来たんだね。旅はどうだった?」
彼女の名前はウティー。この店のオーナーであり、前に店に来た時もよそ者だというのに手厚く歓迎してくれた。
「王都の方から戻ってきたのかい?」
時間的に店にはもう客は少なく、ウティーはブラッド達に料理を出すと片付けをしながら話しかけてきた。
フェアとブラッドが頷くと、
「そりゃー大変だったでしょ~、王都で大事件があったって聞いたよ~」
おそらく赤崎の件だろう。あれだけ大きな兵器が王都に向けて侵攻していたんだ。騒ぎになっていてもおかしくない。
「そうですね…………」
ブラッドは苦笑いしながら返事をした。そんな中、フェアは店を見渡す。
店にあるテーブルが前に来た時よりも増えている。それに出ている食器も前よりも多い。
キョロキョロしているフェアに気づいたウティーは語る。
「そう、あんた達がこの村を出てすぐに新しい子を雇ったのよ。そしたらその子のおかげで繁盛繁盛、今は買い出しに行ってもらってるんだけど、本当、あの子には感謝してるわ」
「それは凄いですね」
フェアはウティーのその子の自慢話を聞かされる。
そして食事を終えた二人は店を出た。
「また来てね~」
「ああ、今回もサンキューな」
ウティーは旅人価格だと言って、かなりの割引をしてくれた。
そして店を出た後、買い出しを終えた後なのだろう。フェアよりも少し年上の少女とすれ違った。
翌朝、ブラッドとフェアは村を出発した。目指すと東北にある隣国マルグリットだ。
森を抜けて、しばらく経つと、何者かの気配を感じる。
「フェア、誰かいるぞ」
「…………敵?」
「分からない。だが、馬車の奥に隠れろ」
ブラッドの指示に従いフェアは馬車の奥に身を潜める。
何者かがブラッド達の馬車を囲んでいる。その数は10以上。
ブラッドは馬車を止めると、そいつらに向けて叫んだ。
「誰だ!! 隠れてないで出て来い!!」
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第232話
【BLACK EDGE 其の232 フリジア村】
フリジア村に再び立ち寄ったブラッドとフェアは、アリエルの住んでいる屋敷に向かった。
しかし、そこにアリエルはいなかった。だが、
「なにこれ?」
屋根裏に行くと、そこには正方形の黒いテーブルがあり、その上に本が浮いていた。
その本は風も吹いていないというのにページが変わる。そして半透明のオーラを放っている。
「これが魔導書ってことか…………」
ブラッドはそれを見て言った。
クリスからの話であるが、アリエルは魔導書を使い、それで魔術を複数使用するらしい。
魔導書は元々魔術師であり、魔術師の力を本に閉じ込めることでアリエル自身は複数の魔術を使うことができる。
雪山での攻撃もその魔術を使ったものであり、クリスを次の魔導書にしようと狙っていたらしい。
「じゃあ、これを破壊するの?」
「それはやめた方がいいな。クリスがいれば何か手段を知っているのかもしれないが…………」
ここで下手にこれを破壊して、何が起こるのかわからない。魔術師の力を本に封じ込めているということもあり、ここには莫大な力が集まっているはずだ。
「…………今回は留守みたいだしな。次の機会にしよう」
ブラッドはフェアと共に屋敷を出た。
アリエルがいれば、アリエルをぶっ飛ばして、それから話を聞けば良いのだが、いないのならば何もできない。
どこかに出かけているのか。
まぁ、今はアリエルに構う必要もない。彼女は賞金首というわけでもないのだし……。
ブラッド達は外に出た後、この村にある食堂に行くことにした。
この村は小さく、食べ物屋さんは一軒しかない。この前この村に来た時も、その食堂で飯を食べた。
「いらっしゃい、あ、あなた達は」
「久しぶりです」
食器を片付けながらこちらを見たのは、青髪短髪で赤いバンダナを巻いた女性。ガタイも良く力強い身体をしており、左目の下にあるほくろが特徴的な女性だ。
「また来たんだね。旅はどうだった?」
彼女の名前はウティー。この店のオーナーであり、前に店に来た時もよそ者だというのに手厚く歓迎してくれた。
「王都の方から戻ってきたのかい?」
時間的に店にはもう客は少なく、ウティーはブラッド達に料理を出すと片付けをしながら話しかけてきた。
フェアとブラッドが頷くと、
「そりゃー大変だったでしょ~、王都で大事件があったって聞いたよ~」
おそらく赤崎の件だろう。あれだけ大きな兵器が王都に向けて侵攻していたんだ。騒ぎになっていてもおかしくない。
「そうですね…………」
ブラッドは苦笑いしながら返事をした。そんな中、フェアは店を見渡す。
店にあるテーブルが前に来た時よりも増えている。それに出ている食器も前よりも多い。
キョロキョロしているフェアに気づいたウティーは語る。
「そう、あんた達がこの村を出てすぐに新しい子を雇ったのよ。そしたらその子のおかげで繁盛繁盛、今は買い出しに行ってもらってるんだけど、本当、あの子には感謝してるわ」
「それは凄いですね」
フェアはウティーのその子の自慢話を聞かされる。
そして食事を終えた二人は店を出た。
「また来てね~」
「ああ、今回もサンキューな」
ウティーは旅人価格だと言って、かなりの割引をしてくれた。
そして店を出た後、買い出しを終えた後なのだろう。フェアよりも少し年上の少女とすれ違った。
翌朝、ブラッドとフェアは村を出発した。目指すと東北にある隣国マルグリットだ。
森を抜けて、しばらく経つと、何者かの気配を感じる。
「フェア、誰かいるぞ」
「…………敵?」
「分からない。だが、馬車の奥に隠れろ」
ブラッドの指示に従いフェアは馬車の奥に身を潜める。
何者かがブラッド達の馬車を囲んでいる。その数は10以上。
ブラッドは馬車を止めると、そいつらに向けて叫んだ。
「誰だ!! 隠れてないで出て来い!!」
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